5_愛知県一宮市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)  

申請No.5
申請日:2022年4月13日
申請/実施責任者:一宮市保健所
場所:愛知県一宮市
居住者:当事者本人(49歳、男、無職)、母(75歳、無職)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:15頭(2頭は手術済み)
手術日:5月18日、25日、6月10日
協力病院:山下獣医科
チケット発行数:7枚(2頭は当事者の費用負担で手術予定、子猫4頭は譲渡決定済みのため除外)
手術頭数:7頭
協働ボランティア:なし

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2年ほど前に隣の空き家が取り壊され、その空き家にいたらしい野良猫が家に入り込んできた。可哀想に思って飼育を始めたが、当初は2~3頭だったと思われる。
  2. 当事者の母は、うつ病を患っている息子が動物に対して優しい心を持ったことが嬉しく、飼育を止めることはしなかった。
  3. その後、猫は出産を繰り返して15頭に増えてしまった。当事者と母はどうしていいか分からず、また、保健所等の行政に相談すると猫が殺処分されてしまうと思って連絡をせずにいた。
  4. かつて付き合いのあった動物病院も今はなく、当事者家族には車などの移動手段もなかった。生活保護受給中で不妊手術をしたくても資金がなく、身寄りも頼れる身内もいない状態であった。
  5. 2022年4月、当事者の母が一宮市保健所に相談したことで事態が発覚。
  6. まずは雄雌を分けて飼育することを指導。当事者は努力していたものの、家が古く猫が自力で部屋を出ることが防ぎ難い構造もあり、完全に分離するのは難しいようであった。
  7. また、当事者の母が生活費を工面して不妊手術費用3万円を準備していたこともあり、まずは明らかに妊娠中である猫2頭について、行政協力のもと4月11日に捕獲と不妊手術を実施。同時に猫の譲渡を進めるよう指導。当事者は猫を手放したくない様子であったが、行政の説得に応じて猫の譲渡を進めることを約束した。
  8. この2頭に続いて、ケンカの絶えないオス2頭も手術することにしたが、当事者の母が用意した不妊手術費用は使い切ってしまう見込みである。現場にはまだ複数の猫がおり、自分たちの食費も切り詰めるほどひっ迫している当事者家族の経済状況を考慮し申請に至る。
  9. 今回手術対象となっていない子猫4頭については、行政職員が知人に依頼し譲渡決定済み。残り11頭の成猫については、当事者が飼育を継続しながら可能な限り里親を探して譲渡する。
  10. 手術後はオス同士のケンカが減り、ケガをする猫も減っている。発情期に雌雄を隔離する必要もなくなったため、猫は屋内をほぼ自由に行き来することが可能になった。
  11. 不妊手術によって尿臭も軽減。現場は特に不衛生な状況ではないが、引き続き清掃等を行ってもらう。
  12. また、生活保護の担当課に連絡して状況を知らせるとともに、万一、衛生状態や猫の数についての変化があった場合には、一宮市保健所に知らせてもらうこととした。
手術日 オス メス 耳カットのみ
5月18日 0 2 0 2
5月25日 1 0 0 1
6月10日 4 0 0 4
5 2 0 7

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者が協力的であったことと、動物病院も事情を汲んで処置してくださったことから、当事者が猫を飼いきれないほど増える事態を防ぐことができ、行政による引き取りも防ぐことができた。
今回手術したメス猫のうち3頭は妊娠中であり、放置した場合には15頭が生まれていた。当事者の経済状態などを考えると、4月中旬に探知してすぐに事態の解決に動き、手を打ったことは非常に良かったと思う。当事者も反省しており、感謝とともに猫の生活環境を改善しようという意欲が出てきたことはとても良かった。


どうぶつ基金スタッフコメント
どうぶつ基金の多頭飼育救済は、ヒトと動物を同時に救うことを目的としています。今回の案件は、それが体現されたようなケースでした。今後も注意して見守っていく必要はありますが、現時点で最良のかたちで支援が完了したのは、申請者である一宮市保健所の尽力があったからこそだと思います。
多頭飼育に至るまでの経緯を見て、どこかで他者のサポートが得られるきっかけがあったなら…と感じました。たった4頭分と感じる方もいるかもしれませんが、食費を切り詰めるなかで4頭分の不妊手術費用を捻出することは簡単なことではありません。
環境省が策定した「多頭飼育対策ガイドライン」には、社会福祉と動物愛護管理の多機関連携の重要性が記されています。こういった動きが全国に広がっていくことで、もっと多くの動物や人が救えると感じました。


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