31_北海道羅臼町(暫定)多頭飼育救済レポート(行政枠)
申請No.31
申請日:2024年8月21日
申請/実施責任者:羅臼町 保健福祉課
場所:北海道目梨郡羅臼町
居住者:当事者本人(75歳、女、飲食業)
居住環境:貸家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給予定(2025年1月より受給開始)
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):80頭(11頭)(手術期間中に11頭の子猫が生まれた)
手術日:9月10日、9月11日、9月12日
協力病院:Mobile VET Office
チケット発行数:80枚
手術頭数:54頭(頭数把握が不十分であった。2頭が手術済み、2頭が捕獲できず、手術前の譲渡も発生したため)
協働ボランティア:ツキネコ北海道
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 20年ほど前、お店の前任のオーナーが飼っていた7頭の猫を譲り受けた。当初は近隣町にかかりつけの獣医がおり、その獣医の指示のもと、予防接種や避妊等が行っていた。
- 飲食店経営が低調になるにつれ、予防接種や避妊等の費用の工面が難しく管理がずさんとなり、徐々に頭数が増えていった。数年前からは自宅兼お店の周辺を多数の猫がうろつくようになり、猫が自宅に出入りしているのを頻繁に目撃されていたが、当初は自分の飼い猫ではないと主張していた。お店は糞尿の臭いが充満して客足が途絶え、開店休業の状態である。
- 税務係から保健福祉課に、当事者が税金を滞納し生活に困窮しているため、福祉の支援等について相談があった。保健福祉課の職員が当事者の自宅を訪問したことにより多頭飼育状態が発覚。
- 各関係機関と連携して多頭飼育を解消していくことに同意が得られ、関係機関からの助言を参考に、猫を外に出さないこと、増やさないための不妊処置を行うことを指導した。
- 当事者宅の周辺には飲食業のお店もあり、不衛生なイメージを脱却する必要がある。また、多頭飼育が当事者の生活困窮の原因となっていること、申請要件を満たしておらず生活保護の申請を検討しているものの申請に至っていないことや、当事者が多頭飼育状態について理解しており、支援申請および今後の連携支援に対して協力的であることから申請を決定。病院までの距離があるため、往診希望にて申請を行った。
- 手術対象のうち2頭がすでに手術済みであり、チケットによって54頭が手術済みとなった。
- 最終的に当事者宅には35頭の猫(全頭手術済み)が残り、子猫11頭を含む45頭はすでにボランティアによって譲渡され、譲渡されたうち未手術の26頭(支援時に捕獲できなかった2頭と子猫11頭を含む)は譲渡先で手術予定である。
- 当事者の自宅1Fは飲食業スペースであり、廃業および負債等の整理を行ってから公営住宅へ転居予定。猫については、ボランティアでの受け入れや保健所への預り等を順次行い、当事者宅に残っている猫を0頭にしていく予定である。
- 支援時に部屋の一部が清掃され、住環境はやや改善されている。今も多数の猫がいるため悪臭はあるが、手術後は悪臭が軽減された。譲渡によって頭数が減ったため、残った猫の健康状態はやや良くなっている。
- ボランティアや各関係機関の指導によってトイレを増やすなどの指導がされ、衛生環境も当初より向上している。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
9月10日 | 11 | 11 | 3 | 25 |
9月11日 | 13 | 6 | 2 | 21 |
9月12日 | 6 | 2 | 0 | 8 |
計 | 30 | 19 | 5 | 54 |
【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
多頭飼育崩壊の支援は初めてのケースで、各関係者、関係機関の連携により、猫の大部分の不妊処置ができたことは良かったが、当事者の生活改善等の支援が継続していること、当事者宅に猫が多数残っていることが反省点である。
どうぶつ基金スタッフコメント
まずは、往診にてご対応いただいた「Mobile VET Office」様に感謝を申し上げます。お引き受けいただいたことにより、80頭もの多頭飼育崩壊は解決に向けて大きく前進しました。ボランティアの尽力によって子猫11頭を含む45頭はすでに譲渡され、当事者宅に残るのは手術済みの35頭です。
当事者が公営住宅に転居予定のため、今後、35頭についても現場から救済されることになります。保健所へ移動される可能性はありますが、どうぶつ基金の多頭飼育救済支援の対象となった犬や猫が保健所や愛護センターに引き取られた場合、譲渡先が見つからなくても殺処分しないことを確約いただきます。本件でも同様に申し入れを行っています。現状確認や指導を継続していただき、さらなる飼育環境の改善と猫たちにとって未来ある救済を実現いただくことを望みます。