4_埼玉県さいたま市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.4
申請日:2025年4月5日
申請/実施責任者:さいたま市動物愛護ふれあいセンター
場所:埼玉県さいたま市
居住者:当事者(61歳、男、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):17頭(0頭)
手術日:4月25日
協力病院:堀どうぶつ病院
チケット発行数:16枚(手術済み1頭を除く16頭分を申請)
手術頭数:16頭
協働ボランティア:なし

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 10年程前、生後2、3日で捨てられていた子猫2頭(オス1頭、メス1頭)を飼い始めた。
  2. はじめに飼い始めた2頭が1歳前後になった頃、2頭の間に子どもが生まれ、その際に生まれた子猫もその後出産した。多頭飼育状態に陥るまでの期間は、飼い始めてから2年程であると思われる。
  3. 当事者によると、8年程前から網戸を破るなどして外から猫が数頭ずつ入ってきて、そのまま居つくようになり、4年前には21,22頭ほどいたとのこと。
  4. 当事者から「生活保護で猫を17頭飼っているが、病気で入院するため猫を引き取ってほしい」との相談がセンターに寄せられたことで発覚。なお、当事者は区役所福祉課よりセンターを案内されて連絡したとのことであった。後日、センター職員が現地を訪問し、多頭飼育で飼養環境が悪いことを確認した。
  5. 2025年3月時点で17頭(オス7頭、メス10頭)が確認できており、最初に飼い始めたオス1頭のみが去勢手術済みである。
  6. ケージを用いて雌雄を分けること、これ以上猫が入ってこないように穴があれば塞ぐこと、里親探しをすること、入院中にお世話をしてくれる人を探すことを指導。
  7. ケージを貸してくれる人が見つかったと話していたが、結局ケージを借りられず、雌雄を分けることも里親探しもできていない状況。今回の入院・手術(2泊3日)は終えたが、猫のお世話は誰にも頼めていなかった。
  8. 2024年11月に相談を受けてから2025年3月末時点まで、猫の数は変化していないものの、妊娠・出産しても死産が多いなどの話もあった。
  9. 生活保護者で体調も悪く、当事者の行動力や経済力では不妊手術を進めることが困難と考えられる。また、猫は土間で飼育されており、土の露出した数か所で糞尿をしていたが悪臭や糞の堆積が酷いなど飼養環境も悪く、行政の介入が必要と判断し申請に至る。
  10. 申請と時を同じくして不妊手術済みだったオス1頭が死亡。猫の総数は16頭となり、チケットを使用して全頭手術済みとなった。
  11. 手術当日、猫を動物病院に運搬した後、センター職員と当事者で部屋の掃除を実施。堆積していた糞やゴミを片づけ、今後も掃除を続けるよう指導を行った。
  12. 手術を受けたうち1頭は、血の止まりが悪かったようで手術翌日の夕方に退院となった(他の15頭については問題はなく手術翌日の午前中に退院)。
  13. 4月30日に当事者と電話した際、病院から帰宅した後、1頭(前述とは別の猫)の調子があまり良くないとのことであった。再度、5月9日に電話で確認すると「だいぶ回復した」とのことだが、引き続き体調を気にかけ、必要に応じて動物病院を受診するよう指導。その他の猫は、手術後も特に問題なく元気に過ごしている。
  14. 手術翌日には当事者が猫砂を購入、トイレも6個設置された。トイレはまだ覚えていないようだが、トイレ以外の場所に排泄した場合には臭い取りのスプレーをかけて掃除している。猫の数に対してトイレが少ないので、今後更に増やすよう指導していく。
  15. 当事者と猫は同じ場所に住み続けていくが、猫はセンターも手伝って里親を探し、徐々に少なくしていく予定である。

手術日オスメス耳カットのみ
4月25日610016
610016

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
3月に多頭飼育崩壊が発覚してから手術まで、比較的スムーズに進めることができたと思う。ただ、11月に当事者から電話で相談を受けた際は多頭飼育崩壊だと分からず、多頭の動物の飼養届出の関係で3月に当事者宅を訪問した際に発覚したため、そこで時間があいてしまった。
当事者は、多頭飼育崩壊になってしまっていることを認知できていないことも多いことから、今後、多頭飼育の相談を受けた際は気を付けたい。


どうぶつ基金スタッフコメント
1頭は亡くなってしまいましたが、残る16頭は全頭手術済みとなりました。遺棄された幼齢の猫を保護した当事者の優しさは責められるべきではありませんが、最初の2頭を不妊手術してさえいれば、悲惨な状況に陥ることもなかったと悔やまれます。
しかしながら、不幸な連鎖はここで食い止められました。センターとつながりができたことで、飼育環境改善に向けた指導も受けることができます。何より相談できる先ができたことが、当事者にとっても猫にとってもよかったと思います。当事者が十分にお世話できる頭数になるまで、少しずつでも譲渡を進めていただき、今回の支援が当事者と猫にとって新たなスタートとなることを願っています。


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