48_鹿児島県阿久根市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.48
申請日:2022年12月6日
申請/実施責任者:阿久根市 市民環境課
場所:鹿児島県 阿久根市
居住者:当事者本人(84歳、女性、無職)長男(62歳、無職)長男の配偶者(61歳、女性、パート)長男の子(25歳、男性、会社員)
居住環境:持ち家戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:15頭
手術日:12月26日、12月28日、1月6日、1月10日
協力病院:森の動物病院
チケット発行数:14枚(1頭は反省の意を込めて当事者本人が不妊手術を実施)
手術頭数:14頭
協働ボランティア:保護施設24

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 当事者と猫との関わりは20年ほど前、野良猫や捨て猫を保護して餌を与えたことがきっかけである。
  2. その後も野良猫が来たり、敷地内に子猫を捨てられるなどして10年ほど前から頭数が増えていった。不妊手術をしなかったため繁殖し、飼育困難となった。
  3. 近隣住民の妊婦の方からの苦情により発覚。この方は猫アレルギーがあり、当事者宅の猫が相談者の敷地内に頻繁に出入りしていることから、手足にアレルギー反応による炎症が見受けられた。しかし、妊娠中のため治療にも通えない状況。猫の侵入を防ぐため可能な対策は施したが効果がなかった。
  4. 当事者には周辺住民の迷惑になっていることを説明し、飼える範囲の頭数を自宅内で飼養することや不妊手術を行うよう指導した。
  5. しかし、当事者は高齢で、家族からの金銭的支援はなく経済的に困窮している。また、近隣住民のアレルギー等も考慮して対応する必要があり申請を決定。
  6. 総数15頭のうち14頭はチケットにより手術済み。残る1頭は反省の意を込めて当事者本人が費用を負担し不妊手術を行った。猫は当事者宅に戻され、当事者が継続して飼養する。
  7. 手術後、猫同士の争いやマーキングが減少した。室外飼育のため運動スペース等は確保されており、トイレの数を増設したことにより飼育環境も改善した。
  8. 今回の支援を通して当事者の意識も変わり、清掃を実施するようになったことで周辺の生活環境も改善された。
手術日 オス メス 耳カットのみ
12月26日 2 1 0 3
12月28日 3 1 0 4
1月6日 0 3 0 3
1月10日 2 2 0 4
7 7 0 14

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
多頭飼育崩壊発覚のきっかけとなった近隣住民(妊婦で猫アレルギーがある方)の方にも定期的に現況報告、当事者への指導状況及び不妊手術済みの報告を行うことができ、納得いただくことができた。
多頭飼育救済支援の申請項目を把握しないまま当事者への聞き取りを行ったため、数回確認する必要が生じて手間取ってしまい、申請までに時間を要した点が反省点である。


どうぶつ基金スタッフコメント
最初はたった1頭。野良猫や捨て猫が可哀想という優しい気持ちから始まった猫の飼育は、30年ほどで近隣から苦情がくる状態となりました。今回、全頭手術済みとなったことで近隣住民の方にもご理解をいただけたとのこと、本当に良かったと思います。当事者もできる範囲で手術費用を負担するなど反省しており、今後は猫のお世話や清掃などをしっかり行いながら、家族や15頭の猫たちと穏やかに過ごせるよう願っています。
多頭飼育崩壊の問題は決して当事者だけの問題ではありません。立派な社会問題であり、2020年度に対応した出雲のケースのように近隣住民にも長年にわたって大きな影響を与えます。多頭飼育崩壊が表面化した時、自治体はこれまでのように当事者の責任として片付けるのではなく、地域のために解決すべき問題として捉え積極的に対応することが求められます。


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