46_長野県阿智村多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.46
申請日:2022年11月16日
申請/実施責任者:飯田保健所
場所:長野県阿智村
居住者:当事者本人(81歳、男、パート)、配偶者(80歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:14頭(申請時は17頭で申請)
手術日:12月13日
協力病院:にじのはしスペイクリニック飯田診療所
チケット発行数:17枚(申請時の総数で発行)
手術頭数:11頭(実際は14頭、そのうち3頭は子猫で譲渡予定で未手術となったため6枚使用せず)
協働ボランティア:一般社団法人猫110番かぎしっぽ

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 30年ほど前、メスの野良猫を1頭保護した。
  2. 不妊手術をしないまま室内外を行き来させていたため、妊娠して子猫を産み、その子猫たちも大きくなって妊娠出産を繰り返していた。
  3. 現場周辺は猫が多く、当事者宅に餌を食べに入ってきてそのまま居つく猫が増え、20年ほどでさらに繁殖が進み多頭飼育状態となった。
  4. 以前は子猫が育たずに亡くなることが多かったが、最近は亡くなることが少なく頭数が増加している。
  5. 近隣住民が猫の糞尿被害について相談したことから、保健所が現地を確認して発覚。
  6. 猫トイレの設置・管理、定点定時の餌やり、不妊手術の実施を指導したが、高齢者の二人暮らしで頼れる親族はいない。当事者はパートで働いているが、生活はかなり困窮していて不妊手術費用の負担は難しく、近隣から猫に対する苦情があることから申請を決定。
  7. 家は屋根が落ちて壁が崩れてしまっており、当事者夫妻は屋外の屋根ありの所で生活している。就寝時は当事者が車内、妻は唯一崩れていないお風呂で寝ている状況。猫が崩れた家の中を出入りしている可能性もあるが、当事者の自主申告により17頭で申請。
  8. 支援時に確認したところ、実際には成猫11頭、子猫3頭の計14頭だった。
  9. 17枚のチケットを発行したが、実際は14頭であったため3枚は未使用。また、子猫3頭は譲渡予定のため未手術となったことから計6枚が未使用となった。
  10. 所有していた別の住居の一部屋が地元の大工さんによって修理され、当事者は建物の中で生活できるようになった。手術済みとなった成猫11頭はこのまま当事者宅周辺に住み続ける。
  11. 子猫3頭も当事者に戻す予定であったが、成猫に混じってなかなか餌が食べられず、里親を探した方が子猫たちにとって良いと考えたことから保健所で引き取った。2頭はすでに譲渡されており、不妊手術は里親にて実施予定である。
  12. 支援後は敷地内に猫トイレを5つ設置。トイレ以外に敷地内でよく排泄する場所についても毎日掃除するようになり、衛生環境は改善されている。
  13. 支援後~チケット有効期限日まで、未手術の猫が残っていないか餌やりの際に確認してもらったが、全頭手術済の猫であった。
手術日 オス メス 耳カットのみ
12月13日 4 7 0 11
4 7 0 11

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
全頭手術できたことは良かったが、隣家からの苦情は糞尿被害からきているため、その問題に関しては継続して見守りや指導をする必要がある。
当事者の自宅は壊れていて居住場所に困っていたが、もう一棟建物を所有していることが判明。一部を修理して家の中で暮らせるようになった点も良かった。当事者自身の生活改善や居住場所については村役場が対応してくれたため、飯田保健所の支援なく改善され、保健所として力不足だった。


どうぶつ基金スタッフコメント
飯田保健所が引き取った子猫2頭はすでに譲渡されていましたが、残っていた最後の1頭についても4/4に里親が見つかり譲渡されたことを確認。これで引き取られた子猫3頭すべてが譲渡され、成猫11頭も全頭手術済みとなりました。
とても喜ばしいことですが、全頭不妊手術はあくまで解決の第一歩です。これからも現場周辺で暮らしていく猫たちへの理解が得られるよう、当事者は努力しなければいけません。行政には、当事者に対する見守りや指導を継続することが求められます。また、現場周辺は猫が多いとのこと。当事者が多頭飼育崩壊に陥った経緯から考えても、周辺地域でTNRを進めることが必要でしょう。


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