43_宮城県大崎保健所多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.43
申請日:2022年11月10日
申請/実施責任者:宮城県大崎保健所
場所:宮城県 大崎市
居住者:当事者本人(82歳、男性、無職)、配偶者(入院中で現場には居住していない)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:8頭(当事者の自己申告により9頭で申請するも実際は8頭であった)
手術日:11月23日、12月13日
協力病院:フォルテ動物病院
チケット発行数:9枚
手術頭数:4頭(残り4頭については捕獲後に当事者が手術を拒否したため実施できず)
協働ボランティア:なし

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2022年1月に当事者宅の庭で野良猫が10頭の子猫を産んだ。その後、子猫を残して親猫がいなくなったため飼い始めた。
  2. その後、1頭が行方不明になってしまったが、残る9頭の子猫が成長して現在に至る。
  3. 2022年9月、近隣住人から猫が庭に糞尿をして荒らすとの苦情が町役場に入ったことで発覚。保健所には町役場から相談があった。
  4. 適正飼養および不妊手術の実施、屋外に出す場合のトイレ設置など周辺環境への配慮についての指導を行ったが、当事者の健康状態(介護認定を受けており歩行困難)や経済状況などから自己解決は難しい。
  5. メスが半数で春に出産ラッシュになる可能性が高いこと、また動物病院も近くになく、行政が支援しなければ周辺の環境悪化につながることから申請を決定。
  6. チケットによってメス4頭を手術したが、オスを捕獲した際に「この猫は命の恩人なので、手術をするなら自分の命を取れ」と言い出し手術を拒否。説得を続けたが、当事者が緊急搬送され入院してしまい対応ができなくなってしまった。このような状況からオス猫の手術は実施できていない。
  7. 支援前はトイレが設置されておらず、玄関等で糞をするなどしてアンモニア臭がしていた。支援後は、使用していないガレージに土をまいてトイレにし、玄関には衣装ケースに土を入れたトイレを設置。臭いが軽減された。
  8. 現在、当事者は長期入院中で退院の目途が立たず。社会福祉協議会の担当者が時々餌をやりに行っているが、猫の姿が確認できていない。しかし、今後も猫の頭数確認や不妊手術の説得を続けていく。
  9. ※2023年5月追記。現在、当事者は退院して猫の飼育を継続しており、猫は当事者宅で暮らし室内外を自由に行き来している。引き続き、オスの不妊手術を勧めているが説得できていない。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月23日 0 3 0 3
12月13日 0 1 0 1
0 4 0 4

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
確認できたメス猫については不妊手術を行うことができ、今以上の環境の悪化は防げた。当事者の話がコロコロ変わり、会話のキャッチボールができず、事前に理解を得ていたが捕獲時に拒否されて全頭を手術することができなかった。また、当事者が入院することになり対応できなくなってしまった。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者が支援途中でオスの手術を拒否したことで全頭手術済みには至っていません。本件の猫は室内外を自由に行き来しています。当事者宅で繁殖しなかったとしても、発情期を迎えたオスが広範囲を移動し、屋外で繁殖する可能性を残しているのです。それでは不幸な命の連鎖は止まりません。行政には当事者の説得を継続していただきたいと強く思います。
高齢者が動物を飼育することに反対はしません。しかし、高齢であればあるほど動物たちが取り残される可能性は高くなります。本件でも当事者が急遽入院しました。社会福祉協議会の担当者が時々餌をあげに訪問していましたが、玄関は施錠されて窓だけが開いていたとのこと。もし窓も鍵がかかっていたら…と思うとゾッとします。猫が「命の恩人」と言うなら、今回のように自分がお世話ができなくなった時のことを当事者はよく考えるべきです。
これは、本件当事者だけではなく全ての飼い主が考え準備しておくべきこと。それができない人間が多いからこそ、行き場をなくして殺処分される犬猫は後を絶ちません。


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