28_茨城県下妻市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.28
申請日:2022年9月7日
申請/実施責任者:下妻市 生活環境課
場所:茨城県下妻市
居住者:当事者本人(72歳、女、無職)
居住環境:貸家/戸建
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:10頭
手術日:11月8日、9日
協力病院:茨城さくらねこクリニック
チケット発行数:8枚(手術済み2頭を除く8頭分を申請)
手術頭数:7頭(1頭は支援前に妊娠が確認されたため急遽ボランティアの費用負担で手術を実施)
協働ボランティア:茨城さくらねこの会

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 13年ほど前に小型犬を購入、同時期に野良猫を1頭保護した。
  2. 5年ほど前に現在の住居に転居し、新たに近所の野良猫を保護した。最初は不妊手術をしていたが、収入が年金のみとなって生活が苦しくなり、不妊手術費用を工面できず繁殖を重ね今に至る。
  3. 当事者の元同僚が当事者と最近になって再会。家が近いことが分かり、当事者の日常生活の手助けで当事者宅を訪問した際に猫の多さに気づき、またお世話も行き届いていないようだと相談が入った。
  4. 市が状況を確認したところ、当事者から「犬1頭、猫1頭を残して他は引き取ってほしい」との希望があったが、まずは里親を探すよう助言。
  5. 当事者は精神疾患を患っている可能性があり、親族とも疎遠で協力を得られる状況ではない。ボランティアに相談したところ、まずは不妊手術を行ったうえで里親を探すことになり申請を決定。
  6. 申請時は10頭だったが、もともと飼育していた手術済の猫1頭が亡くなり総数は9頭となった。
  7. 手術対象8頭のうち申請手続き中に妊娠が確認された1頭については、ボランティアの費用負担により早期に手術を実施。残る7頭はチケットを利用して不妊手術を完了。
  8. 物が散乱していた居間と台所を中心に清掃を行ったが、本人が高齢かつ精神疾患を患っているため現状を維持することが難しい。今後は、地域包括支援センター等関係機関と連携して支援や見守りをしていく予定である。
  9. 犬猫は当事者とこのまま同じ場所に住み続ける。複数頭の猫が白血病に感染していることが判明したが、今のところは元気に過ごしている。金銭面や室内のスペースの問題からトイレの増設やケージの購入は難しく、現在も室内外を出入りしている状態。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月8日
11月9日
3 4 0 7
3 4 0 7

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者宅は猫が増える前から片付けがままならない状態でしたが、可能な限り動物の世話を行っており、糞尿が放置されるまでの状態には至っていませんでした。しかし、これ以上増えれば最悪の状態になることが容易に想定できたため、どうぶつ基金や協働ボランティアにご支援いただき、おかげさまで全頭手術することができました。
また、猫の里親を探して数を減らしていく予定でしたが、複数の猫に白血病の感染が判明し、譲渡が難しくなってしまったことから当事者宅で飼育を継続することになりました。協働ボランティアがフードの支援を行ってくれることになり、また、地域包括支援センター等関係機関と連携しながら生活支援を行っていく予定です。
今回の件を通して、多頭飼育崩壊の危険性が高い飼育者の早期発見が重要であると感じました。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者にとって元同僚との再会は本当に幸運でした。当事者が飼育している犬や猫にとってもまさに救いの神でした。見て見ぬふりをせず行政に繋げてくれたおかげで今回の支援が実現し、不安要素はあるものの今後の見通しが立ったことは本当に良かったと思います。安易な引き取り要請に応じず、彼らが生きる道を模索してくれた行政に感謝です。
複数頭の猫が白血病に感染していて譲渡を残念せざるをえなくなったことは残念でした。他の猫への感染を防ぐため、陽性の猫の隔離や室内飼育を徹底することが理想ですが、現在の環境では難しいのかもしれません。これからは、ボランティアによるフードの支援や福祉部門と連携しての生活支援が行われるとのこと。当事者には、これらのサポートを無駄にすることなく、一緒に暮らす犬や猫の命と向き合っていただいたいと思います。


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