39_北海道上砂川町多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.39
申請日:2023年8月29日
申請/実施責任者:上砂川町役場 福祉課
場所:北海道空知郡上砂川町
居住者:当事者本人(63歳、男、無職)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:6頭
手術日:なし
協力病院:Mobile VET Office
チケット発行数:6枚
手術頭数:0頭(協働ボランティア団体の費用負担により全頭手術済み)
協働ボランティア:非営利型一般社団法人 ねこたまご

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 詳細は不明だが、10数年前から猫2頭を飼育していた。
  2. 当事者が2022年7月に緊急搬送され、病院からの連絡で地域包括支援センターが介入し、支援が始まった。その際に当事者宅に猫が4頭いることが判明。当事者は約3ヵ月ほど入院したが、その間に猫が出産し6頭となった。
  3. 空知総合振興局保健環境部環境生活課、協働ボランティア団体より情報提供があり多頭飼育崩壊が発覚。
  4. 当事者は手術が必要な状況であったが、猫の飼育を理由に治療や施設入所を拒否していた。猫を最優先に考えエサ代や砂代で生活保護費の大半がなくなり、生活が困窮する状況が続いていた。また、生活環境も劣悪で悪臭がひどく、近隣の住民からの苦情もあった。
  5. 当事者の体調からみても今後も猫を飼育しながらの生活は困難であることが明白で、医師より、体力を回復させなければ手術をするにも不可能との診断があった。早急に救護施設へ入所する必要があり、8月28日に当事者は札幌市の救護施設へ入所した。
  6. 当事者の体調により今後の継続しての飼育が見込めないため、不妊手術を行い協働ボランティア団体への引き取りを依頼するため、申請に至る。
  7. 手術後は協働ボランティア団体が全頭引き取ることになっていたが、個体識別が確実であることから耳カットは不要とボランティア団体が判断。チケット使用には耳カットが必須なため、協働ボランティア団体との協議によりチケットは使用しなことを決定。ボランティア団体が費用を負担し、全頭の不妊手術を行った。
  8. 協働ボランティア団体に保護され、全頭の里親探しをしていく。猫たちの飼育環境は改善され過ごしている。

【現場写真(支援前)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)

今回はチケットを使わずに終わりましたが、猫たちは無事に手術を受け、安全な環境で猫を保護していただけることになり安心しています。高齢化の進む現状においては、今後も猫に関するトラブルが想定されるため、対策が必要な際の相談先があることがわかり、大変心強く感じています。地域で適切な飼育環境にない猫が少しでも減るように、今後何かの際にはご協力いただきたいです。この度は、本当にありがとうございました。


どうぶつ基金スタッフコメント

チケットは使用されませんでしたが、手術予定だった6頭はボランティア団体の費用負担で全頭手術済みとなって保護されました。ボランティア団体のもとで飼育環境も大きく改善し、あとは新しい家族を待つばかりです。
当事者は一人暮らしで健康上の問題を抱えており、猫のためを思うなら一刻も早くSOSを出すべきでした。結果だけを見れば、猫たちはボランティア団体に保護され路頭に迷うことなく最良の結果となりましたが、全国には飼い主が病院や施設に入って置き去りにされ、誰にも気づかれることなく飢えや渇きのなかで亡くなってしまう犬や猫がたくさんいます。たとえ周囲が気づいたとしても、今の日本では、飼い主がいなくなった家の中に取り残された犬や猫を救うことがとても難しい現実があります。
法的根拠をさらに強固なものにし、家や車などに取り残された動物をスムーズに救出できることが当たり前の世の中に変えていかなければいけません。それと同時に「飼い主は自分に何かあった時のことを考えておく」ということが常識になるよう動物を飼う人間全員の意識を変えていかなければいけません。


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