8_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.8
申請日:2023年4月25日
申請/実施責任者:鹿児島市生活衛生課
場所:鹿児島県 鹿児島市
居住者:当事者本人(80歳、女性、無職、現在入院中)、長女(53歳、無職)、次女(52歳、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:15頭(当初25頭だったが、成猫の数え誤りや子猫の死亡によって15頭となった)
手術日:2023年5月19日、26日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:15枚(当初の総数25頭のうち、幼齢で手術対象外の子猫10頭を除く成猫15頭分を申請)
手術頭数:12頭(現場の成猫が実際は12頭であったため)
協働ボランティア:NPO法人 犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 当事者が医療保護入院中のため、猫を飼い始めたきっかけや多頭飼育状態に陥るまでの経緯等は不明。当事者宅の支援に入っている相談支援事業所職員の話によると、2023年3月~4月にかけて雌猫3頭が出産し、子猫が10頭が増えた。
  2. 当事者と娘2人の3人世帯であったが、2023年3月に当事者が医療保護入院となった。残された娘2人は精神疾患があり猫の世話を十分に行えないため、相談支援事業所職員から猫の引取りについて相談があり発覚。
  3. 娘2人は猫をかわいがっていて猫を手放す意思は確認できないこと、相談支援事業所職員の声掛けによって部屋の掃除が可能であることから、不妊手術を実施して飼養継続する方向性で決定。
  4. 世帯収入は障害年金と遺族年金のみで経済的余裕がなく、また入院中の当事者が自宅に戻る目途は立っていない。娘2人で全頭の不妊手術を実施することは不可能であると判断し、申請に至った。
  5. 総数25頭のうち幼齢の子猫10頭を除く成猫15頭分を申請したが、実際には成猫は12頭だった。この12頭については全頭不妊手術済みとなった
  6. 申請時にいた子猫10頭のうち7頭が死亡。手術済みの成猫12頭と合わせて、現場の猫の総数は15頭となっているた。成猫12頭は当事者宅にて飼養を継続するが、子猫3頭については里親を探す予定である。
  7. 支援後、猫用トイレが増設されたことと清掃によって室内の臭いが軽減され、飼育環境も改善された。猫も特に変化はなく穏やかに過ごしている。
  8. 未手術の子猫3頭については、里親が見つかった場合は譲渡先で手術を行い、里親が見つからず当事者宅で暮らし続ける場合には手術可能となった時期に再申請を検討している。
手術日 オス メス 耳カットのみ
5月19日 0 1 0 1
5月26日 6 5 0 11
6 6 0 12

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
高齢の当事者と精神疾患を患っている娘2人には金銭的な余裕がなく、多数の猫の不妊手術を実施することができなかったが、どうぶつ基金の支援を受けることでこれ以上の繁殖を回避することができた。
手術が済んだことで、当事者家族だけでなく、当事者宅に支援に入っている相談支援事業所職員も安堵している様子であった。今後も、事業所と連携しながら、残る子猫3頭の不妊手術や譲渡を目指してサポートを続けていく。


どうぶつ基金スタッフコメント
子猫7頭が亡くなってしまったことは残念でしたが、現場の成猫12頭は全頭手術済みとなりました。未手術の子猫が3頭残っていますが、譲渡先が見つかれば里親にて手術を実施、手術可能な時期になっても譲渡先が決まらない場合はチケットの再申請を検討と今後の目途が立っています。家庭の事情から今後のサポートが欠かせませんが、行政からは相談支援事業所と連携してサポートしていくとの言葉もあり、まずは一安心といったところです。
今回の当事者家族のように、高齢の親と事情があって仕事ができず同居している子、という家族は全国に数多くあると考えられます。多頭飼育崩壊の問題もそうですが、福祉が行き届くことで防止・解決できる問題は多いはず。どうぶつ基金としては、今後も「ヒトと動物を同時に救う」支援を続けていきたいとあらためて感じました。


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