5_北海道札幌市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.5
申請日:2026年5月19日
申請/実施責任者:札幌市動物愛護管理センター
場所:北海道札幌市
居住者:当事者本人(67歳、男、作業員)
居住環境:貸家/アパート、集合住宅
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:9頭
手術日:未実施(現状を考慮して提示したチケット使用条件を当事者が拒否したため)
協力病院:Mobile VET Office
チケット発行数:9枚
手術頭数:0頭
協働ボランティア:NPO法人ニャン友ねっとわーく 北海道

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2007年頃、当時の職場にいた野良猫2頭(オス1頭・メス1頭)を保護した。
  2. 保護したメス1頭が出産。このメス1頭については出産後に不妊手術を行ったが、その後は不妊手術や病院の受診はしていない。
  3. 当時は住居があって家族と同居していたが、離婚後は仕事場で寝泊まりするようになった。車が盗まれたことをきっかけに当時の職場を退職しているが、この仕事場では野良猫への餌やりも行っていた。
  4. 車上生活をするようになり、懐いていた猫を一緒に連れて車中や側のガレージで飼養。現在の住居は4か所目である。最大で30頭ほどいたこともあったが、いつのまにかいなくなり、現在は10頭前後で推移。飼養している猫には名前を付けて個体識別はしている。繁殖を繰り返し、生まれてすぐに亡くなったり共食いも発生。
  5. 現在は9頭を飼養(当事者によると、うち3頭が妊娠中)。申請時点で猫4頭を病院へ連れて行ったが、1頭は死亡、1頭は神経症状があり治療中。2頭は猫風邪の治療をして経過良好とのこと。
  6. 近隣住民から猫の糞尿被害について苦情があり、2025年5月に訪問するが不在。7月に再度訪問して飼養状況等を聴取し、不妊手術の実施とトイレの設置について指導を行った。また、札幌市小動物獣医師会の不妊手術の助成パンフレットを渡したところ「不妊手術は自分で行うつもり」との発言があった。
  7. 2026年4月、当事者から子猫を保護した動物愛護団体から相談があり同月に再度訪問したが、前回訪問時から状況は何も変わっていない。前回と同内容の指導にくわえ、「ガレージに猫を入れている」との発言があったためガレージ内でのみ飼養するよう指導を行った。
  8. どの移動先でも近隣住民とトラブルになっているようだが、当事者は相手が一方的に悪いと主張。これまでも猫によるトラブルで複数回居住地を変えており、その度に未手術の猫が周辺地域に散らばっている。
  9. 当事者は「自分が死んだ後に本州にいる息子か娘に遺産を渡して不妊手術をしてもらう」という考えで、このまま放置すると、当事者が居住地を変えるたびに周辺地域に野良猫が増える原因となる。また、当事者は猫の所有権を放棄する意志はなく、屋内飼育について指導しても「猫は外で飼われるのが一番幸せだ」という主張を変えない。当事者に不妊手術を早急に実施する意思がないことから、多頭飼育救済の申請に至った。
  10. 支援決定にあたって、どうぶつ基金から「生まれた子猫は全頭譲渡すること」というチケット使用条件が付されたが、当事者がこの条件を拒否したことから支援は取りやめとなった。
  11. 経済的に全頭を一度に手術することは難しく、今後、数回に分けて当事者自身で不妊手術を実施予定である。
  12. 当事者は2026年6月に引っ越し予定。現在のガレージは引き払うことになり、当事者は車上生活を継続する見込み。

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】
未実施のため写真なし

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
不妊手術が必要であること、病気の猫を治療する必要があることについては一定の理解が得られたが、全頭の不妊手術は実現しなかった。

どうぶつ基金スタッフコメント
支援が実現せず、とても残念な結果となりました。
どうぶつ基金の「多頭飼育救済支援」は人と動物の両方を救うためにあります。繁殖を止めることで、飼い主に考える・行動できる時間を与え、関係者のサポートのもと生活を立て直してもらう。そして、飼養環境を改善し、二度と多頭飼育崩壊は起こさせない、その目的のもと支援を行っています。
本件については、これまでの経緯や当事者の考え方、猫が置かれた状況、支援後に適正飼養に向けた取り組みができるかどうか等を鑑み、「生まれた子猫の全頭譲渡」を支援の条件とする必要があるとの判断になりました。
共食いが発生するような状況に陥っているにも関わらず、自らの考え方を一切変えず、劣悪な飼養環境によって命を落とした猫が多数いることに対する反省もなく、支援の手を払いのけた当事者が考える「猫の幸せ」とは一体どのようなものでしょうか?


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