6_愛知県一宮市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.6
申請日:2022年4月28日
申請/実施責任者:一宮市保健所
場所:愛知県一宮市
居住者:当事者本人(64歳、男、無職)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:7頭
手術日:5月18日、6月8日、17日、29日
協力病院:山下獣医科
チケット発行数:7枚
手術頭数:7頭
協働ボランティア:なし

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2020年、外にいたメスの野良猫が2頭の子猫(メス)を生んだ。その母子の猫に餌を与えた事がきっかけとなり、子猫2頭のうち懐いた1頭を家に入れた。
  2. しかし、管理が不十分であったこと、猫の脱走を防止できるような室内環境ではなかったため発情期中に脱走。妊娠して戻ってきて2頭の子猫(メス)を出産、その後も脱走→妊娠→出産を繰り返し現在7頭となっている。
  3. 発覚のきっかけは当事者から市への「猫の餌やりは触法行為かどうか」という相談であった。相談に至った経緯を聞いたところ、多頭飼育が深刻化している過程にあることが分かった。
  4. 当事者に金銭的な余裕はなく、猫がまだ少数の段階でTNRを勧めるボランティアに猫の餌の支援を願い出るなどもしていた。猫の餌代のため携帯電話も解約するなど、当事者自身による解決は見込めず、さらなる状況の悪化を止めるために申請が必要と判断した
  5. 今回手術したメス5頭のうち3頭は妊娠していた。支援が間に合わなければ狭い場所での出産と育児によるストレスは大きかったと予想される。
  6. 支援前から健康状態はそれほど悪い状態ではない。そのため大きく改善したということはないが、悪化を未然に防ぐことはできたと考えている。チケットによってノミダニ駆除薬も投与することができた。
  7. 当事者は今後も同じ場所に住み続け、7頭の猫の飼育を継続する。
  8. 以前よりも清掃するようになり、糞尿についても早く片付けてくれるようになった。もともと1Kの部屋で飼育スペースはもともと広くはないが、上下運動ができるようにはなっており、今の頭数であれば何とか飼育可能な範囲である思われる。
手術日 オス メス 耳カットのみ
5月18日 0 1 0 1
6月8日 1 1 0 2
6月17日 0 2 0 2
6月29日 1 1 0 2
2 5 0 7

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者は猫を可愛がっているが、金銭的な余裕がなくケガや病気があっても病院に連れていくことは難しい。そのため、これ以上の飼育は行わないよう約束させ、生活保護の担当係とも連携して対応しているが、外猫の餌やりについて近隣住民から苦情があった。
飼い猫だけではなく、外猫への対応についても指導しておくべきであった。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者から市へ相談があったことで発覚しました。相談内容は多頭飼育ではなく餌やりについてでしたが、そこから経緯を聞き出し状況を把握した市の対応は素晴らしいと思います。3頭がすでに妊娠していたことを考えれば、7頭の段階で発見できたことは幸いであり、ここで見過ごしてしまっていたらさらに状況は悪化していたでしょう。
全頭手術済みとなりましたが、当事者は外猫への餌やりを継続しているようです。餌やり自体は悪いことではありませんが、当事者への餌やりマナーの指導とともに周辺の飼い主のいない猫についてもTNRを検討いただきたいと思います。また、他部署と連携して定期的に訪問するなど、当事者が再び未手術の猫を室内に入れないよう注意が必要です。


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