79_北海道夕張市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.79
申請日:2022年2月4日
申請/実施責任者:夕張市営住宅管理センター
場所:北海道夕張市
居住者: 当事者本人(79歳、男、無職)、配偶者(74歳、女、無職)、娘(36歳、女、無職)
居住環境:借家/集合住宅
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:23頭(当初22頭の申請だったが支援後に1頭を新たに発見し23頭となった)
手術日:2022年3月5日、3月22日
協力病院:Mobile VET Office
チケット発行数:17枚(当初の猫の総数22頭から手術済みの5頭を除く17頭分を申請)
手術頭数:17頭
協働ボランティア名:NPO法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 16年前に1頭の野良猫を保護したが、経済的事情で不妊手術を受けさせなかったことから徐々に頭数が増え、親猫の死亡や共喰いという悲惨な状況を繰り返して現状に至る。
  2. 飼い始めからわずか3年程で多頭飼育状態となったが、来客時には猫を靴棚や別室に隠すなどしていたため、誰も多頭飼育状態に気付かなかった。
  3. 飼育開始から10年後、離れて暮らす息子夫婦の訪問によって猫が20頭以上いることが発覚するも、当時は行政機関への相談には至らず。
  4. 2021年12月に配偶者が要介護状態となり、介護環境を整備するために息子夫婦が行政・愛護団体に相談したことで、初めて行政が把握することとなった。
  5. 住宅内における猫の劣悪な飼育状態、また、劣悪な住宅環境によって配偶者の介護に重大な支障がでるため申請に至る。
  6. 3月5日の手術実施前に1頭が亡くなったが、3月22日の支援時に新たに発見された1頭を含めた17頭が全頭手術済みとなった。
  7. 当事者はすべての猫の飼育を放棄したため、ボランティア団体が全頭を引き取った。
  8. 全頭医療行為などを済ませて順次里親募集を行い譲渡予定である。
  9. 移動など環境の変化により体調を崩した個体もいるが医療行為により改善している。
手術日 オス メス 耳カットのみ
3月5日 7 7 0 14
3月22日 1 2 0 3
8 9 0 17

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
夕張市において初めての事例であったが、ボランティア団体の協力を得て滞りなく進めることができた。
反省点としては、多頭飼育崩壊に係る支援体制が市として整備されておらず、今後も同様の事例が出た際の体制構築が組織全体で共有できていないこと。


どうぶつ基金スタッフコメント
たった1頭の猫を保護したところから、わずか3年で多頭飼育状態に陥っています。猫同士の共食いが起こるような悲惨な状況のなか、当事者家族はどのような思いで暮らしていたのでしょうか。
来客時には猫を隠していたため発覚しなかったとありますが、恐らく気がついていた人はいたはずです。その時に誰かが勇気を出して通報していたら、もっと早くに支援の手が入ったかもしれません。また、少なくとも6年前には当事者の息子夫婦が多頭飼育状態を把握していますが、この時も何のアクションもなく放置されています。やっと行政や愛護団体に相談したのは、当事者家族の介護環境を整備する必要に迫られたから…。
どこまでも人の都合に振り回され、地獄のような環境から逃げ出したくとも逃げる自由すらなかった猫たち。今回は幸運にもボランティア団体によって全頭が保護されました。保護された猫たちには、これまで亡くなった子の分まで幸せに生を全うしてほしいと思います。


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