2_青森県十和田市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.2
申請日:2021年2月26日
申請/実施責任者:十和田市 生活福祉課
場所:青森県十和田市
居住者: 当事者本人(49歳、女、無職)、長男(24歳、無職)、長女(21歳、就労支援B型)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:16頭
手術日:3月16日
協力病院:千葉動物病院
チケット発行数:16枚
手術頭数:15頭(1頭の妊娠が確認されたため事前に実費にて手術実施。残りの15頭にチケットを使用)

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 2018年ごろ、祖母(故人)が知人からメス猫1頭をもらって飼い始めた。
  2. その翌年、さらにオス猫1頭を知人からもらう。その後、初めにもらったメス猫が野良猫との間にできた子猫を産んだため全頭引き取る。
  3. どの猫も不妊手術をしていなかったため、最初に飼い始めてから3年ほどで16頭にまで増えてしまった。
  4. 2020年12月に生活保護を申請。同時期に祖母(故人)が介護申請しており、ケアマネージャーからボランティア団体に相談。その後、当事者の姉からも同団体へ相談があり、ボランティア団体が自宅を調査して発覚に至る。
  5. ボランティア団体よりどうぶつ基金の多頭飼育救済について助言を受ける。生活保護受給中で居住者のなかに障がいのある者もおり、これ以上猫が増えると生活がさらに圧迫される恐れがあったため支援を申請した。
  6. 16頭分の手術を申請したが、1頭の妊娠が確認されたため、事前に実費にて手術を実施。残りの15頭はチケットを使用し全頭手術済みとなった。
  7. 猫はボランティア団体が保護し、全頭、預かりボランティアのもとへ引き取られた。
  8. 支援後、現場では簡単な清掃およびゴミ捨てが行われ、当事者家族は同じ住居で生活を継続する。
手術日 オス メス 耳カットのみ
3月16日 9 6 0 15
9 6 0 15

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
生活保護申請時点の調査で関係団体への相談および助言を受けていれば、さらに早い段階で多頭飼育を改善できたと考えられることが反省点と考える。


どうぶつ基金スタッフコメント
妊娠が判明した1頭についてチケット発行に先だって不妊手術が行われるなど、申請から手術実施、その間の予期せぬ事態にもスムーズに対応できたケースです。手術後の猫は、関わったボランティア団体が一旦保護したのち、それぞれ預かりボランティアのもとへ引き取られていきました。今後は様子を見ながら、里親探しが行われることでしょう。すべての猫に新しい家族が見つかることを願っています。
行政からのコメントにもあるように、多頭飼育崩壊の問題を迅速に解決するには多方面との連携が必要です。2021年3月、環境省も同様の内容を盛り込んだガイドライン(※参照)を公表しています。動物愛護行政と福祉行政が手を組み、民間の力を借りつつ、協働して解決を目指す-。こういった連携が当たり前にできるようになれば、最悪な状況に陥る前に救済できるケースが増えていくでしょう。それと同時に、次のステージとして有効な予防的措置についても考えていかなければなりません。

※環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」


 
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