21_埼玉県入間市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.21
申請日:2021年7月6日
申請/実施責任者:入間市 環境課
場所:埼玉県入間市
居住者: 当事者本人(23歳、女、フリーター)、同居人(23歳、男、フリーター)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:25頭
手術日:未実施
協力病院:おおにし動物病院
チケット発行数:22枚(3頭は手術済み)
手術頭数:0頭

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 2018年頃に3頭の野良猫を引き取ったのがきっかけ。その後もかわいそうに思い定期的に野良猫を引き取っていた。
  2. 最初の数頭は不妊手術を行ったが、金銭的に困窮し、その後不妊手術が行えなくなり繁殖してしまった。
  3. 当事者本人が病気療養のため現在のアパートを退去することになり、飼育継続が困難となったため、猫の引き取りを保護猫カフェに相談した。
  4. 保護猫カフェより入間市在住の動物愛護推進員を通じて市に相談があり発覚した。
  5. 全頭手術および耳先カットの同意を得て申請するも、当事者より「やはり耳先カットをしたくない」という理由で取り下げの要請が入る。
  6. 結果、支援に至らずチケットは未使用となった。
  7. 未手術の22頭中20頭は愛護団体の協力により譲渡が決まり、不妊手術も譲渡先で行うことになった。
  8. 残りの2頭は当事者が自己負担で不妊手術を行い、飼育を継続する。

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】
支援未実施のためなし

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
今回は、一度は同意を得られたものの、全頭手術および耳先カットを行うという点で当事者本人と調整ができず、その間に譲渡先が決定してチケットを使用する必要がなくなりました。
また、当事者本人は入院中であったため、同居人を通じて連絡を取る予定でしたが、不妊手術に対する温度差なのか、連絡がつかない、書類の提出がないといった問題も生じました。
今回は、当事者本人の努力および愛護団体の協力によって20頭の譲渡先が決まり、自己負担で不妊手術が可能な頭数まで減らすことができました。しかし、今後の多頭飼育救済において、市の説得に応じず全頭手術および耳先カットに同意を得られない、連絡がつかないといった場合に、放置して退去という最悪のケースも起こりえます。
そのような場合に備え、動物行政を管轄する県および動物虐待の取り締まりを行う警察と連携した対応を検討する必要があると感じました。また、対応が難しいケースについて協議・相談が行える市町村間の協議会の必要性も感じました。


どうぶつ基金スタッフコメント
支援には至らなかったものの、未手術であった22頭のうち20頭に譲渡先が見つかり、譲渡先で不妊手術を受けることになりました。2頭であれば当事者自身で不妊手術可能とのことで申請取り下げとなりましたが、これはたまたま運が良かっただけ。当事者のもとに残った2頭が不妊手術を受けたことが確認できるまで、サポートを継続する必要があります。
行政が懸念しているように、退去時に猫を置き去りにして音信不通、お気に入りの猫だけ手術せずに手元に残す、耳先カットが嫌だから手術は取り止める等、当事者の信じがたい要望や行動は現実に発生します。他部署や他行政機関、ボランティア団体など官民問わず広範囲で連携できれば、難しいケースにも対応できるようになるでしょう。入間市には、ぜひ率先して体制づくりに取り組んでいただきたいです。


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