27_鹿児島県南九州市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.27
申請日:2025年8月26日
申請/実施責任者:南九州市 市民生活課 生活衛生係
場所:鹿児島県南九州市
居住者:当事者本人(60歳、男、会社員)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の犬の総数(うち子犬の頭数):24頭(4頭)
手術日:10月27日、11月10日、17日、26日、27日、12月3日、15日、17日、22日
協力病院:くすのき動物病院
チケット発行数:19枚(手術済み1頭とボランティア団体が保護した子犬4頭を除く19頭分を申請)
手術頭数:19頭
協働ボランティア:なし
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 2010年4月頃、当事者の叔父が亡くなり、叔父が飼っていた犬を3頭を引き取った。
- 不妊手術を施していなかったため頭数が増えていき、近親交配のため育ちが悪く、躾もままならないことから当事者も気が滅入っていたようである。
- 加世田保健所からの情報提供により事態を把握。近隣住民からの苦情をきっかけに、市と保健所職員で現地を確認して情報を共有した。
- 犬は同じ敷地内にある2軒の家に分けられているが、当事者が居住していない方の家は部屋が散らかり、犬も吠え続けていた。また、当事者は躾に関して半ば諦めている様子が見受けられた。
- 餌は室内で与えており、トイレは新聞紙を利用している。餌と新聞紙の掃除は毎日1回必ず行われていた。
- 2018年から保健所が適正飼養に向けて指導を行ってきたが改善は見られず、さらに頭数が増えると当事者の管理能力を超え、生活環境や適正飼養における環境整備を脅かす原因となるため、まずは全頭に不妊手術を行うことが必要と判断し申請に至った。
- 24頭のうち1頭は手術済み、4頭の子犬はボランティア団体が保護し、不妊手術をすることを条件として譲渡を行う約束となっている。残る19頭が手術対象となり、今回の支援で19頭すべて手術済みとなった。
- 給餌やトイレシートの交換は毎日、清掃も定期的に行われていることを確認。
- 発情がなくなったことで餌を食べる量も減った。また、当事者によると「不妊手術の効果なのか躾けやすくなった」とのことである。
- 子犬4頭が保護され、残る20頭は引き続き当事者が飼養する。月齢の若い犬に関しては、保健所の協力のもと譲渡先探しを継続する。
| 手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 10月27日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
| 11月10日 | 0 | 2 | 0 | 2 |
| 11月17日 | 0 | 3 | 0 | 3 |
| 11月26日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
| 11月27日 | 0 | 2 | 0 | 2 |
| 12月3日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
| 12月15日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
| 12月17日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
| 12月22日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
| 計 | 9 | 10 | 0 | 19 |
【現場写真(支援前)】


今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
本件について、市も保健所も長期案件として理解しており、当事者に再三の注意や指導を行ってきました。しかし、当事者の意志が弱く、なかなか行動に結びつかなかったことで、指導側としても非常に歯がゆい想いをする場面が多々あったことを思い出します。
どうしようもない閉塞感が漂うなか、保健所や当事者と協議を重ね、現状を少しでも好転させようとチケット申請に至りました。
結果、2か月間にわたって計18回、動物病院と当事者宅を訪れたことによって当事者との信頼関係が再構築でき、これまでできなかった不妊手術の実施、狂犬病予防注射と犬の登録、犬の逃走防止策を実施できたことは大きな成果ではないかと思います。
自身の生活があるなかで、当事者にも少しずつ行動変容が見られ始めています。
どうぶつ基金スタッフコメント
多頭飼育崩壊を解決するには「全頭不妊手術」が必須です。ただ、経済的な問題、当事者の心の問題、さまざまなことが複雑に絡み合い、「不妊手術」という最初の一歩を踏み出すことができないケースも数多くあります。
本件も、2018年から8年にわたって市や保健所が取り組んできた長期案件です。行政の報告からもその苦労がよく分かります。もしかしたら、今回の支援が無事終了したことに、市や保健所の職員の方がいちばんほっとしているのではないでしょうか。
そもそものきっかけは、当事者が亡くなった叔父が飼育していた3頭を引き取ったことでした。故人が飼育していた犬や猫の引き取りを拒否する家族や親族も少なくないなか、本件の当事者は命を引き継いでくれました。当事者に犬の飼育に関する知識があれば、そして、近くに頼る人がいれば状況は違っていたかもしれません。今回の支援を通して当事者の気持ちにも少し変化があったようです。まずは一緒に暮らす19頭の適正飼養、そして、少しずつでも譲渡を進めて飼育頭数を減らしていくよう、これからは当事者自身がしっかり取り組む必要があります。
市や保健所の皆さまにはこれからも継続的な見守りをお願いしたいと思います。



