福岡県筑紫野市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㊶

申請No.41
申請日:2020年11月30日
申請/実施責任者:筑紫野市 環境課
場所:福岡県筑紫野市
居住者:当事者(60歳、男、一人暮らし)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:57頭(申請時49頭)
手術日:1月14日、21日、24日、28日、2月11日、12日、13日、18日、19日、25日、26日
協力病院:アニモ動物クリニック、さくらねこ動物病院
チケット発行数:49枚
手術頭数:49頭

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 3~4年前に家の近くにいた野良猫2頭を家の中に入れたことから始まった。
    2. その後も何度か家の中に野良猫を入れたり子供を産むなどして現在の頭数にまで増えていった。
    3. 猫が増えたことで共食いやケンカで死んでしまう猫が何頭もいるほか、親猫の育児放棄などで生まれた子猫が死んでしまうこともある。
    4. 近隣住民から「外に干してあるトイレの新聞紙が臭い」と苦情があって訪問したところ、多頭飼育崩壊であることが発覚した。
    5. 手術頭数が49頭と多いことから1病院で全頭手術が難しかったため、今回は「アニモ動物クリニック」と「さくらねこ動物病院」の2病院に分けての手術となった。
    6. 申請にあたって頭数確認をしたものの、壁の裏側や隙間に隠れていた猫を見つけることができず、実際の猫の総数は申請時より8頭多い57頭だった。チケットによる手術済みの猫が49頭、ボランティア等が先に手術していた猫が4頭、残り4頭が未手術で残っている。
    7. 手術前は全ての猫が室内を自由に行き来していたが、譲渡に向けて慣れさせる目的があり、気性の荒い猫については大きめのゲージに入れて個別に餌を与えるようにしている。
    8. 今回手術した49頭のうち7頭は譲渡が決定。現場にはまだ50頭の猫が残っているが、今後も里親探しを継続し、譲渡を進めていく。
    9. 未手術の4頭について、至急の不妊手術を行う必要性はないと行政は判断している。どうぶつ基金からは早急に不妊手術を実施するよう申し入れを行った。
手術日 オス メス 耳カットのみ
1月14日 4 2 0 6
1月21日 4 2 0 6
1月24日 4 2 0 6
1月28日 5 1 0 6
2月11日 3 0 0 3
2月12日 0 3 0 3
2月13日 0 2 0 2
2月18日 0 6 0 6
2月19日 0 5 0 5
2月25日 0 3 0 3
2月26日 3 0 0 3
20 29 0 49

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
チケットが届いてから速やかに動物病院への予約を行い、猫の増加を最低限に抑えることができたほか、運搬中や手術中に何もトラブルが起きず、無事に49頭分の手術を終えることができた。
申請時に壁の裏側や隙間に隠れていた猫を見つけることができず、結果的に未手術の猫が残ってしまった点が反省点である。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者の猫への愛情や想いがまったく伝わってこない案件でした。
ただ野良猫を家に入れ、ただ餌を与え、猫が増えていく過程や猫が悲惨な状態で死んでいく状況をひたすら傍観していたのでしょうか。猫は痩せており、獣医師によるケガや病気の治療を受けた形跡もありませんでした。
行政は、7頭全頭がメスであること、また当事者宅の周辺に集まっていた猫が見当たらなくなったことを理由に、残りのメス猫の不妊手術を急ぐ必要はないと判断しています。しかし、多頭飼育救済においては全頭手術を行うことが最も重要です。多頭飼育崩壊に至った経緯やこれまでの猫の飼養状況からも、未手術の猫7頭(すべてメス)の不妊手術を急ぐべきであるとどうぶつ基金は考えます。
当事者の自宅周辺に最近猫が見当たらないといっても、その状況が今後も続くとは限りません。そして、多頭飼育崩壊に至った経緯を見れば、今後も当事者が新しい猫を室内に入れないとは言い切れません。1頭でも妊娠すれば、早ければ1年後には今回の手術がすべて無駄になります。このことから残り7頭の早急な手術実施を行政に申し入れました。いち早く決断をしていただきたいと思います。


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計