滋賀県草津市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑯

申請No.16
申請日:2020年7月15日
申請/実施責任者:滋草津市役所 生活安心課
場所:滋賀県草津市
居住者: 当事者(70歳、女)、配偶者(70歳、男)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:33頭
手術日:7月12日、8月29日、30日、9月26日、27日
協力病院:ぜろの会 動物病院
チケット発行数:32枚(1頭は不妊手術済みであったため32頭分を申請)
手術頭数:21頭(協力病院とボランティア団体のスケジュールが合わず11頭が未手術となった)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 数十年前に「かわいそう」との気持ちから野良猫に餌やりを始めた。
    2. 自宅や店舗、空き家(当事者所有)に不妊手術をしていない野良猫が住み着き、繫殖を繰り返している。
    3. 店舗での商売が衰退し借金をして猫に餌を与えており、当事者は金銭的に追い詰められている状況である。
    4. ボランティア団体からの相談により多頭飼育が発覚。どうぶつ基金の無料不妊手術チケットを申請し、飼育する猫すべてに不妊手術を行うこととなった。
    5. ボランティア団体は猫の捕獲や動物病院までの運搬・里親探しなどを行い、行政は当事者への福祉的な支援を行うこと役割分担して取り組んだ。
    6. 手術後は13頭を現場に残し、4頭はすでに譲渡済み、4頭は里親を募集中である。残りの12頭についてはボランティア団体で保護されることとなった。
    7. 店舗付き一軒家と2軒の空き家があり、猫は主に空き家の方で生活していたが、その空き家はすでに売却して現在は更地になっている。
    8. 当事者家族は、現在居住している店舗付き一軒家も借金返済のために売却する予定で整理を始めている。猫の数も当事者自身で管理できる頭数となったため、以前に比べて家の中が整頓されている。
    9. 自宅売却後は集合住宅へ引っ越し、猫は引っ越し先住居で飼育できる頭数以外はすべて里親に出す予定である。
    10. 協力病院が月末3日間のみの開院であることから、ボランティア団体のスケジュール調整が難しく、全頭の不妊手術を行うことができなかった。未手術の猫11頭については、今後ボランティア団体が不妊手術を行う予定である。
手術日 オス メス 耳カットのみ
7月25 0 1 0 1
8月29日 1 1 0 2
8月30日 3 5 0 8
9月26日 3 2 0 5
9月27日 3 2 0 5
10 11 0 21

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者には多額の借金があるものの、一定額以上の年金受給があるため生活保護を受給することはできませんでした。しかし、認知面での不安を抱えていることから、今後は地域包括センターが定期的に訪問することとなりました。今回の多頭飼育崩壊の相談をきっかけに、見守り体制が取れるようになった点は評価できると考えています。
ただ、協力病院が月末3日間のみの開院ということもあり、ボランティア団体の方のスケジュール調整が難しく、全頭の不妊手術を行うことができませんでした。未手術の猫11頭は、今後ボランティア団体が不妊手術を行う予定です。
猫が生活していた2軒の空き家が売却されて更地になってしまったため、現在、現場に残った猫たちは当事者宅で生活しています。生活場所を変えるのはなかなか難しく、餌の時間になると空き家があった場所に戻ってしまうようですが、当事者宅に慣れてもらうよう努力しています。


どうぶつ基金スタッフコメント
恐らく最初は数頭だったのでしょう。野良猫がかわいそうという優しい気持ちから始まった餌やりが、多頭飼育崩壊という結果となってしまいました。当事者は猫に餌をやるために借金を重ね、経済的に厳しい状況に追い詰められており、現時点でヒトと猫の双方に支援の手が差し伸べられたことは良かったと思います。
経緯欄にも記載があるように、今回のケースでは行政と民間ボランティア団体の役割分担によってスムーズに支援が進んだことが伺えます。11頭の猫が未手術となってしまいましたが、今後ボランティア団体によって不妊手術が行われます。全頭の不妊手術を終えたのち、当事者と猫たちが新しい環境で穏やかな生活を取り戻せるよう願っています。


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計