埼玉県所沢市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㉙

申請No.29
申請日:2020年10月1日
申請/実施責任者:所沢市 環境クリーン部 生活環境課
場所:埼玉県所沢市
居住者:当事者(80歳、男)一人暮らし
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:約30頭(うち未手術は15頭と申告あり)
手術日:10月10日、24日
協力病院:おおにし動物病院
チケット発行数:15枚
手術頭数:9頭(実際は未手術の猫12頭と発覚。うち3頭が捕獲できず未手術)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 2020年9月に所沢市役所生活環境課に「飼い猫が増えすぎて困っている。これ以上増えると大変なので、半分は避妊・去勢手術を行ったがもう半分がお金がなくできない。どうにか助けてもらえないか」と当事者から相談あり。
    2. 当事者は古美術商を営んでいるが、店舗内にも猫がいて糞尿まみれで臭いも酷く、部屋も荒れているため営業ができなくなった。
    3. 現場には犬も2頭おり、倉庫にはインコが100羽近くいる状況。
    4. 野良猫を見てかわいそうに思い、家の中に入れて餌を与え始めたことがきっかけで猫が増えてしまった。
    5. 当事者は高齢で、店が荒れていて営業もできず現在収入がない状況。貯金を切り崩して餌代等を工面してきたが、限界となり多頭飼育崩壊に至った。
    6. このまま放置するとさらに猫が増え、より一層、生活環境が悪化する恐れがあるため対応が必要と判断。
    7. 猫が30頭ほどいるとの相談であったが、当事者宅を訪問してみると、住居・店舗内が荒れていて2階にも上がれず、その場で正確な頭数把握ができなかった。
    8. 当事者から約半数は手術済みと申告があったため半数にあたる15頭分を申請。しかし、ボランティアと協働して確認作業を行い、手術が必要な猫は12頭であった。
    9. ボランティアの協力を得て捕獲日前日に捕獲器を設置。餌を与えないよう伝えていたが、可哀想に思った当事者が餌を与えてしまい、3頭が捕獲できず未手術となった。
    10. 術後2頭の猫がボランティアによって保護された。現場に残った22頭の猫は、ボランティア指導のもと責任を持って当事者が飼育を継続する。
    11. 術後はトイレを1カ所→4カ所に増やし、糞尿だらけの狭いケージに入れられていた猫も室内へ解放することができた。
    12. 当事者が高齢のため今後の心配はあるが、近隣に住む当事者の弟がフォローするとのこと。
    13. 未手術の3頭については、ボランティア指導のもと避妊去勢手術を行う。
手術日 オス メス 耳カットのみ
10月10日 2 4 0 6
10月24日 3 0 0 3
5 4 0 9

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
事態が深刻になる前に当事者から連絡があり、大事になる前に対応できたと思います。
当事者からの連絡後は速やかに市内のボランティアに相談し、翌日にはボランティアとともに現地調査を行うなど、うまく連携を取ることができました。
未手術の3頭が残っていますが、今後もボランティアと協力してフォローしていきます。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者自らがSOSを出したケースです。
当事者からの連絡を受けた後の所沢市の対応が早かったこと、民間のボランティアとの協働がうまくいったことが早期解決につながった理由でしょう。
しかし、自分でSOSを出せる当事者であるからこそ「なぜもっと早く」といった気持ちがぬぐえません。また「可哀想だから」と餌を与えてしまったことで3頭が捕獲できず、未手術となりました。3頭については、今後、ボランティアの指導・協力のもと不妊手術が行われますが、この3頭からあっという間に元の状態に戻ってしまうことがあるのです。
さらに、猫以外にも犬とインコを飼育しており、インコについては100羽いるという話です。多頭飼育崩壊というと、犬や猫を思い浮かべがちですが、鳥やウサギなどあらゆる動物で発生します。この点についても、しっかりと指導を継続する必要があるのではないでしょうか。


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計