問題は家の中で起こっている!?猫問題セカンドステージへ

 

こんにちは。どうぶつ基金事務局の西田です。
4月30日、平成最後のさくらねこ便りをお送りいたします。
多頭飼育崩壊って、聞いたことありますか?
猫ボランティアをされている方には、多頭飼育崩壊の救済に当たっている方も多くいらっしゃるかと思います。

昨年5月、名古屋市市営住宅で猫が繁殖を繰り返し飼育が行き届かなくなった問題が発覚しました。
それ以降名古屋市の動物愛護センターでは、世話を見切れなくなった猫を手放す人が後を絶たないそうです。
名古屋市動物愛護センターは、2017年殺処分数を76匹までに減らしています。
しかしこの事件が発覚してから飼い主の持ち込みが増え、
悲しいことに2018年12月時点で殺処分された猫は161匹にも上ると発表されました。

特別政令指定都市での殺処分数がワースト1だった名古屋市は、様々な対策を取り、
ボランティアと協力しながら殺処分数を減らしてきました。
ですが、たった1件の多頭飼育崩壊が元になって危機的状況に陥っています。

原因はどこにあるのか?
今日は多頭飼育崩壊についてお話ししたいと思います。

多頭飼育崩壊って一体なに?

多頭飼育崩壊とは、不妊手術など適正な処置を行わないまま繁殖を繰り返し、
適正飼育が出来なくなった状態になることを言います。

※適正飼育:十分な食事と十分な生活空間が与えられ、糞尿の始末、健康の維持など衛生上安全に生活が送れる環境
どうぶつ基金では2018年度14件の多頭飼育救済にかかわりました。

多頭飼育崩壊に陥る人には以下のようなパターンがあります。

●ブリーダー崩壊型
人気の猫種、犬種を大量に生産し、流行が変わると経営困難になり飼育できなくなる状態

●アニマルホーダー型
動物が好きで、引き取り手がいない動物、捨てられた動物を保護し手放せなくなる状態。
また、不妊手術を施さないことで異常繁殖を繰り返し、飼育困難に陥る状態

●ボランティア二次崩壊型
多頭飼育崩壊をした人、団体を救済し、自らの団体が飼養困難に陥る状態

アニマルホーダー型は、人の精神状況、生活の立て直しも考えて、
対処をしなくてはいけないのでとても注意が必要です。
そのため福祉専門職の方との協働が不可欠です。

多頭飼育崩壊はどのように起こるの?

私が関わった多頭飼育崩壊は、目が開けていられないほどの刺激と、
鼻をつく悪臭、積み重なった糞、家中を歩くと靴下に染み込む尿、
どの現場も人も猫も快適に過ごせる環境とはいいがたいものでした。

どうしてここまでになってしまうのか?

<問題1:周囲の人に相談できない環境>
多頭飼育をしていることで後ろめたい気持ちを抱き、その状況が露見しないようにしてしまいます。
そうしているうちに異常繁殖を繰り返し、崩壊に陥ります。

<問題2:不妊手術が高額>
猫の不妊手術には、一般的に15000円から30000円ほどがかかると言われています。
猫が多く増えてしまった後になると、この不妊手術代金を負担することが経済的に困難になってきます。

<問題3:飼い主の知識不足>
猫がここまで繁殖力が高いと知らなかった、1年に何度も出産するとは思わなかったという声が多く聞かれます。
解決策を取らないうちにどんどん数が増えていき、お世話が行き届かなくなり、劣悪な環境になってします。

多頭飼育崩壊はどのようにして発覚するの?

●子供が学校で臭いといじめられ、その後の調査にて発覚
●近所の住人から悪臭、鳴き声がうるさいなどの苦情で発覚
●飼いきれなくなった猫を中外自由飼いにし、近隣住人より糞尿被害の苦情により発覚
●高齢の飼い主が、施設への入居や入院等によって発覚

など、近隣住人からの苦情での発覚が多数を占めています。
飼い主が専門機関に相談して発覚をするという事例は極めて稀です。

多頭飼育崩壊の猫たちは

●十分な栄養が取れずにやせ細り、感染症や病気にかかりやすい子が多くなります。
●近親交配により障害を持って生まれてくる子がいます。
●オス猫はメス猫の発情を促すために、生まれた子猫をかみ殺すこともあります。
●十分な生活スペースが確保できないために、争いがおこり傷を負ってしまう子もいます。
●極度のストレス状態に置かれています。

取るべき対策

私たちは、多頭飼育崩壊は決して防ぐことのできない問題ではないと考えています。
発生源がしっかりとつかめている=おおもとの蛇口を占めて増えないようにする。
きわめてシンプルな解決策です。

しかしながら、行政は飼い主が判明している猫に支援を施すことは不可能な状況です。
そこで、どうぶつ基金では、行政と民間団体と獣医師と協働して、さらなる悲劇を生まないために、
多頭飼育救済枠を設けて、飼い猫の不妊手術も進めています。

2018年度多頭飼育救済を行ったのは14件。
そのうち行政からの申請件数は11件にも上りました。
今年も昨年の件数を上回る勢いで申請が来ています。

どうしようかと考えているうちに、どんどん家の中で猫は増えていきます。
一刻も早く不妊手術ができるよう対処する必要があります。

多頭飼育崩壊は飼い主の責任です。

しかしながら、崩壊してしまった以上、
猫も人も健全な生活が送れるようサポートをしていく必要があります。

さくらねこサポーターに参加してお力を分けてください。

また、多頭飼育崩壊への緊急対応など、
いざというときにどうぶつ基金が迅速に活動できるのは、
皆様より日ごろから継続的にいただくご支援があればこそ可能になります。

度重なるお願いで恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。