7_栃木県宇都宮市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.7
申請日:2026年5月20日
申請/実施責任者:宇都宮市保健所
場所:栃木県 宇都宮市
居住者:当事者本人(73歳、女、無職)
居住環境:貸家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):56頭(12頭)
手術日:6月16日
協力病院:いながき動物病院
チケット発行数:39枚(当初の総数49頭から譲渡予定の授乳中の子猫10頭を除く39頭分を申請)
手術頭数:39頭
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 10年以上前、未手術のオス猫1頭をすでに飼育していたところに、野良猫のメスの子猫3頭を保護して飼育を始めた。
- 雌雄を分けずに飼育し、不妊手術も行っていなかったため、メスの子猫3頭が性成熟するとともに繁殖が始まった。
- 近隣住民から野良猫の多さ(当事者宅の猫との関連性は不明)と、臭い・鳴き声に関する苦情が入る。
- 当事者が生活保護受給者であることが確認できたため、生活福祉課の担当者と一緒に訪問。室内の確認と猫の様子の聞き取りを行うも、当事者は頑なに調査協力と室内への立ち入りを拒否。
- 不妊手術の早急な実施と頭数削減を指導するも改善提案は頑なに拒否され、生活福祉課が当事者の説得を試みるも全く聞く耳を持たず。職員の話を遮る、罵声を浴びせるなど対話が困難な状況であった。
- 当事者の娘も交えた複数回の話し合いを続けて説得し、室内への立ち入り許可を得たため飼育状況を確認。環境改善のため、猫のトイレ設置数の増加と雌雄を分けて飼育の提案、引き取りや譲渡などによる飼育頭数の削減、ケガや病気の際は適切に医療にかけるなど適正飼育を指導した。
- 経済的な理由から当事者が全頭の不妊手術を一度に行うことは困難である。当事者たちは1か月に1~2頭であれば手術できるかもしれないとのことであったが、当事者による実行を待つ間にも更に頭数が増加している(立ち入り調査中にも出産が起こるような状況)。多頭飼育によって動物福祉が損なわれている環境で、対応が急務であると判断したため申請に至る。
- 申請当初の情報では、総数49頭(手術済みは0頭)、うち16頭が子猫(10頭は授乳中、6頭が生後1~2か月)とのこと。授乳中の子猫は譲渡予定であるため手術の対象外とし、生後1~2か月の子猫6頭と成猫33頭の計39頭分のチケットを申請。
- 39頭については予定通りチケットを使用して不妊手術を完了。しかし、申請時に把握できていなかった7頭が発見され総数が56頭であった。申請時にいた授乳中の子猫10頭のうち9頭は残念ながら死亡、残った1頭は現在ミルクボランティアのもとで育成中である。この1頭と新たに発見された7頭が未手術で残ってしまったため、2度目の申請を検討している。
- 手術前日に全頭を保健所で預かり、猫がいない状態で清掃を実施。荷物や汚れ、臭いはまだ残っているが、当初より衛生状態は改善された。清掃は引き続き行ってもらう。
- 手術当日までにトイレを2個増設し、今後も各部屋にトイレを増設してもらう予定。当事者は一日中在宅しており、こまめにトイレの清掃を行っている。現場の衛生状態が改善されるまで29頭の猫を保健所が預かっていることもあり、猫のストレスは軽減されている。
- 適正飼育ができる頭数まで減らすよう説得しているが、当事者は飼育の継続を強く望んでいるため、室内の荷物の整理・清掃、トイレの増設を期日(6/30)までに行って飼育環境を改善するよう指導中。改善が確認できたら預かっている猫を返還予定。万一、改善できない場合は、保健所への引き取りに応じて猫を手放すよう説得している。
- 当事者については、引っ越しも含めた生活環境改善の検討が必要と思われ、地域包括支援センターのケアマネージャーやソーシャルワーカーと面談し、引き続き生活の見守りを行っていく。
| 手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 6月16日 | 17 | 22 | 0 | 39 |
| 計 | 17 | 22 | 0 | 39 |
【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
手術前日に全頭捕獲し、保健所で預かったことで、部屋に隠れていた2頭を見逃すことなく捕獲することができた。申請前に確認した数より頭数が多かったことが反省点。同じ色柄の個体が多く、動きまわるので個体識別が大変難しかった。
どうぶつ基金スタッフコメント
解決に向けて第一歩を踏み出したと言えます。当事者が、室内への立ち入りと調査への協力を頑なに拒否していたこともあり、支援が実現するまで に大変なご苦労があったことでしょう。それでもあきらめずに当事者や当事者家族の説得を続けていただいたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います。
申請をクリアしても「いざ手術」となった時点で当事者が態度を変えて支援が実現しないケースもあり、事務局としても完了のご報告をいただくまで心配していました。
8頭が未手術の状態で残っていますが、すでに2回目の申請が出ており支援の動きは止まっていません。全頭手術済みとなった後は、飼育環境の改善や譲渡先探しが待っていますが、人にとっても猫にとっても良い方向に進むことを願っています。
譲渡が予定されていた授乳中の子猫9頭が亡くなってしまったことは大変残念ですが、この環境を乗り越えた1頭はミルクボランティアの愛情のもと育てられいます。兄弟たちの分もよい家族に恵まれて幸せになってほしいですね。
※当事者が飼育環境を改善できず保健所が猫を引き取る可能性がありますが、譲渡先が見つからない場合も殺処分を行わないことを確約いただいています。



