48_富山県黒部市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.48
申請日:2025年11月26日
申請/実施責任者:富山県動物管理センター
場所:富山県黒部市
居住者:当事者本人(80歳、女、無職)、内縁の夫(75歳、男、土木作業員)、息子(55歳、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):20頭(5頭)(28頭で申請するも実際は20頭だった)
手術日:12月15日、1月20日
協力病院:滑川さくらねこ動物病院
チケット発行数:28枚
手術頭数:15頭(全20頭のうち3頭が手術済み、1頭がチケット発行前に手術実施、1頭が搬送前に死亡)
協働ボランティア:ワンハート野良猫応援隊

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 約35年前、当事者が野良猫を保護して飼い始めた。その後も野良猫や捨て猫を次々と拾っては、不妊手術をせず自然に任せていた。
  2. 当事者の記憶が曖昧で時期は不明であるが、最初に保護して飼い始めてから、あまり長くかからず多頭飼育状態になったと推察される。
  3. 以前もボランティアが関与し、数頭の不妊手術を実施済みとのことだが、どの猫に対して手術したか把握しておらず、手術済みの猫が既に死亡している可能性もある。
  4. 当事者を担当しているケアマネージャーがボランティアに相談し、ボランティアから厚生センターに相談があり探知に至った。
  5. 当事者は認知症のため、息子および内縁の夫と面談。飼養スペースの衛生状況の改善を指導。特に毎日のトイレの清掃、新聞紙交換および増設、ハウスとしている段ボール箱の交換などを指示した。
  6. むやみな繁殖を防ぐため、まずは自己負担による不妊手術を促したが、金銭的負担が大きいことを理由に難色を示していた。特に将来的な子猫の手術については、成猫の手術費の目処すら立っていない現状を憂慮し、頑なに拒否。「長年、母猫の育児放棄で子猫は自然淘汰されているから」と開き直るなどネグレクトの兆候が見られた。病気や怪我をしている猫も見受けられることから、獣医師の治療を受けさせることも指導。
  7. 頭数がこれ以上増えると飼養環境の更なる悪化を招くことは明白であり、全頭の不妊手術を粘り強く指導したところ「金銭的な負担がなければ手術に同意する」とのことであった。認知症の当事者の介護で息子は就労できず、内縁の夫の給与を頼りに暮らしている状況で、生活費に加え介護費用が重くのしかかっている状況。不妊手術を希望する意思は示しているものの、その費用を捻出することは困難である。
  8. 猫の飼養管理に関する意識が乏しく金銭的な余裕もないことから、猫は劣悪な環境下で飼養されている。今後、救済せずに頭数が増加した場合には、更なる事態の悪化を招くことから申請に至る。
  9. 申請時にきちんと頭数が確認できず28頭以下の認識で申請するも、捕獲してみると20頭であった。所在不明の8頭のうち、11月の立入時にいた離乳前後の子猫は捕獲時に確認できず、死体もないことから何頭が死亡したのかは不明。他の猫が食べたのではないかとの当事者は推測している。
  10. 20頭のうち1頭は初回立入時に妊娠が確認され、緊急を要するためチケット交付前に手術を実施。3頭がすでに手術済みであり、子猫1頭は病院へ搬送前に死亡した。この5頭を除く15頭についてチケットで手術が完了した。
  11. 健康状態の悪い個体には投薬を実施しており、改善傾向にある。新聞紙を使用したトイレは、猫砂へ改善。設置数は10個から14個に増加し、今後も適正な数となるよう継続して指導を行っている。床にペットシーツを敷くことで清掃しやすい環境にし、初回立入時と比較して、糞尿の臭いは軽減。猫用ハウスおよび毛布は新しいものに交換されていた。
  12. 19頭の猫は今後も自宅で当事者家族と暮らし続ける予定。適正な管理が可能な頭数を超えているものの、当事者に頭数を減らす意向は見られない。譲渡について継続して指導を行っていく。
手術日オスメス耳カットのみ
12月15日37010
1月20日3205
69015

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者家族の性格や状況を考慮し、まずは猫の不妊手術を優先して進めた。その結果、全頭の手術を実施することができた。手術の実施や飼養環境の改善については、慎重に話し合いを進めており、現在も良好な関係を維持できている。今後は、引取りや譲渡による頭数の減少につなげられるよう取り組んでいく。
手術をきっかけとして猫風邪や耳ダニの治療を受けさせることができ、健康状態が改善した。当事者との関係維持にあたっては、福祉部局の助力が大きな役割を果たした。連携体制を構築できたことは、本件を円滑に進め、全頭の不妊手術を達成するうえで重要な要因であった。
引取りや譲渡に対する抵抗感が強く、子猫の引取りおよび適切な治療が間に合わなかった。当事者家族には飼養環境を改善しようとする意思が見られ、初回立入時と比較すると衛生状態は向上しているが、依然として不衛生な箇所が散見される。さらなる改善には生活環境に対する意識の変化が必要であると考えられる。そのため、福祉部局による生活環境改善支援を併せて進めることが、結果として飼養環境の改善につながる可能性がある。


どうぶつ基金スタッフコメント
恐らく何十年もこの状態で猫が飼育されてきたのだろうと思われる現場です。完全室内飼育ですから、どのような悲惨な状況であろうと猫たちに逃げ場はありません。「子猫は自然淘汰されている」「子猫は他の猫が食べたのではないか」といった発言や猫を手放すことに抵抗していることから、当事者家族は現状が異常な状態であることを認識していない、典型的なアニマルホーダーと思われます。
解決の道筋が見えた今回の申請から支援実施までの短期間で多くの猫が亡くなっており、飼養環境の改善は急務です。幸い、支援後も行政と当事者は良好な関係を保っているとのこと。一歩一歩、本当に大変な歩みではありますが、継続して本件当事者と関わっていただき、飼養環境の改善と譲渡に向けた説得をお願いしたいと思います。
アニマルホーダーが動物に向ける感情は「愛情」ではなく「執着」です。行政等との関わりによってそのことに気が付いてほしいと切に願います。


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