7_神奈川県海老名市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.7
申請日:2021年4月8日
申請/実施責任者:神奈川県厚木保健福祉事務所
場所:神奈川県海老名市
居住者: 当事者本人(50代、男)、当事者の母親(80代)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:47頭(うち未手術の猫3頭)
手術日:実施できず
協力病院:VOC外猫診療所
チケット発行数:3枚(未手術47頭のうち44頭はボランティア団体が手術を実施。残り3頭分を申請)
手術頭数:0頭(手術予定日の直前になり当事者が手術を拒否したため)

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 当事者は約20年前から自主的な近所見回り活動を行っており、その一環として所有者不明の動物(主に猫)を見つけては自宅に持ち帰っていた。
  2. 不妊手術を実施しないまま飼育していたため少しずつ増え、当初は47頭にもなっていた。
  3. 本件は、ボランティア団体からの相談によって発覚したが、当事者の同意が得られなかったため宅内を確認できず。2021年1月14日に初めて猫を多頭飼育していたことを確認した。
  4. ボランティア団体は2020年5月頃より本件に関わっており、これまでに44頭の猫に不妊手術を実施したが、当事者は発言や行動に首尾一貫性がなく、ボランティア団体へ反発的な態度を示して関係性が悪化。当事者が団体による手術・譲渡を拒否している。
  5. 不妊手術の必要については当事者も理解しており、残り3頭はどうぶつ基金の支援による手術を希望したことから申請に至った。
  6. 4月19日にどうぶつ基金よりチケット受理、当事者及び協力病院へ連絡して手術日程を調整。
  7. 4月20日に当事者宅へ訪問し捕獲器を貸出するも、21日に当事者が厚木保健福祉事務所を訪れ手術を拒否。
  8. 以前、4月頃に近所の病院で猫の不妊手術を実施してもらった際、術後管理がうまくできず猫のお腹に穴が開いてしまったことがあり、気温が高いと術後管理が難しく、手術後に何かあっても治療するお金がないことが手術拒否の理由であった。
  9. 職員が手術するよう何度も説得するが、当事者は応じることなく未実施となった。これまで応じてきた現場への立ち入りも拒否されてしまう。
  10. ボランティア団体はこれまでに42頭を保護し、現在も継続して対応を続けている。現場には5頭の猫が残っており、引き続き、行政においても飼養環境の改善や繁殖制限等指導をしていく。

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】
支援未実施のためなし

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
3月時点でどうぶつ基金による支援を受けたいという意思を書面で確認していたが、4月上旬になると当事者の気が変わってしまい手術を実施できなかった。
当事者はもともと気が変わりやすい方であったので、より一層早急な対応をしなければならなかった。


どうぶつ基金スタッフコメント
実施直前になって当事者が手術を拒否するという大変残念な結果となってしまいました。
経緯にあるように、本件は地元のボランティア団体が長らく支援に入っていましたが、41頭の不妊手術を実施してあと一息というところで当事者との関係性がこじれてしまいました。多頭飼育崩壊の対応の難しさはここにあります。
多頭飼育当事者は精神状態が不安定なことが多く、昨日の今日で考えが180度変わることは日常茶飯事です。だからこそ(本件のような当事者であればなおさら)、可能な限り1度で全頭を手術することが求められます。
関係性がこじれたとはいえ、ボランティア団体はまだ継続してサポートを行っているとのこと。大変なことを引き受けてくれている団体のためにも、担当行政には、引き続き当事者と連絡を取り、あきらめずに説得を続けてほしいと思います。


 
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