50_奈良県三郷町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.50
申請日:2021年10月28日
申請/実施責任者:三郷町 住環境政策課
場所:奈良県生駒郡三郷町
居住者:当事者本人(女、54歳、無職、一人暮らし)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:19頭
手術日:11月25日、26日
協力病院:Happy Tabby Clinic
チケット発行数:19枚
手術頭数:17頭(体調不良のため2頭手術できず)

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 5年前に2頭の猫をペットショップで購入、5年の間に気がつけば増えていた。
  2. 近隣住民からの情報提供により多頭飼育崩壊が発覚。雌雄を別の部屋で飼育することや、トイレの数を増やすことなどを指導するが、当事者には不妊手術費用が捻出できないため支援の申請に至った。
  3. 19頭のうち2頭が体調不良によって未手術となったが、この2頭を含め17頭をボランティア団体が引き取ったとのこと。残り2頭は現場に戻り、当事者が飼育を継続する。
  4. 手術後の猫の状態は良好でのびのびと過ごしている。飼育環境は改善されてはいるものの、臭いがまだ残っている状態。
  5. ボランティア団体が17頭を引き取ることについて、行政は知らされていなかった。事前に打ち合わせもなく、手術当日に当事者から聞かされたとのことである。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月25日 4 4 0 8
11月26日 3 6 0 9
7 10 0 17

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
今回、初めての対応だった為、捕獲作業などボランティアの方々の協力に助けられた。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者は、自ら猫を購入して飼育を始めたにもかかわらず、猫には何の関心もなかったのでしょうか。
どうすれば「気がつけば増えていた」という状況になるのか理解ができません。完全室内飼育で飼い主の目が届く状況でありながら、猫が増えていくことに気づかなかったのでしょうか。
今の日本では、どのような人間でもお金を出して「この子が欲しい」と言えば命が買えるのです。ペットショップでの生体販売は多くの問題を抱えていますが、その一端がこのケースです。売る相手は誰でもよく、飼育能力があるかどうかなど気にもしません。規制に反対するのであれば、業界として問題意識を持って取り組んでほしいですね。
また今回は、行政とボランティア団体との関係について考えさせられました。行政は猫の大半をボランティア団体が引き取ることを手術当日まで聞かされておらず、通常行っている団体の飼育環境の確認(※)ができませんでした。結果だけ見れば良かったと言えますが、官民協働のかたちを確立する必要性を感じた一件でした。
※どうぶつ基金では、多頭飼育救済においてボランティア団体等が猫を引き取る場合は、二次崩壊を防ぐ目的で必ず飼育環境の確認を行っています。


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