26_兵庫県尼崎市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.26
申請日:2022年8月23日
申請/実施責任者:尼崎市動物愛護センター
場所:兵庫県尼崎市
居住者:当事者本人(72歳、男性、独居、無職)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:9頭
手術日:9月15日
協力病院:北摂TNRサポート のらねこさんの手術室
チケット発行数:16枚(当初16頭で申請していたが、支援時に9頭しかいないことが判明)
手術頭数:9頭
協働ボランティア:つかねこ動物愛護環境福祉事業部

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 3~4年前にメスの野良猫1頭を家に引き入れた。
  2. 最初に飼い始めた猫が出産をして子猫が1匹生まれた。その1年後、新たにメスの野良猫1頭が家に来るようになり飼い始めた。その猫が子猫を複数頭産み、そこから乱繁殖が始まり、現在の飼養頭数(16頭)に至る。
  3. 近隣住民より「窓の開いている家から猫が出入りしており、子猫もいて繁殖しているそうだ」との情報提供があった。
  4. 繁殖制限と室内飼育について指導を行ったが、当事者は生活保護を受給しており、多数の猫の不妊手術費用を捻出する経済的余裕がない。親族等支援を受けることのできる関係者もいないことから、どうぶつ基金の多頭飼育救済支援を申請することとなった。
  5. 手術後は猫同士のケンカが減った。また、スプレー行動が減少したことにより臭いも減少。支援前に比べてトイレの管理もするようになった。
  6. 猫は全頭現場に戻り、今後も当事者が継続して飼養する。
  7. 当事者から行方不明の猫が7頭いると聞いていたため16枚で申請したが、9頭しかいなかったことが判明。今回の支援で全頭が手術済みとなった。
手術日 オス メス 耳カットのみ
9月15日 3 6 0 9
3 6 0 9

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回手術を実施したメス6頭のうち、3頭が妊娠していた。この機会を逃すと頭数が大幅に増加していたところであり、出産前に対応できたことはよかったと考えている。また、円滑なコミュニケーションをとることができたため、当事者は衛生管理や新しい猫を増やさないなどの指導を受け入れ、手術後の清掃は自ら行うなどの意識改善が見られた。
一方で、当事者は、当初猫の乱繁殖に対し問題意識を持っていなかった。今後も適切な繁殖制限実施に対するさらなる普及啓発が必要であると感じた。


どうぶつ基金スタッフコメント
当初16頭での申請でしたが実際には9頭でした。そのうち3頭が妊娠中でしたが、申請から実施までスムーズに進んだことでこれ以上の繁殖を防ぐことができました。当事者は行政の指導を素直に受け入れているとのことですが、生まれてくることができなかった子猫のことを決して忘れずに、9頭の猫たちを最期までしっかりとお世話してもらいたいと強く思います。
猫や犬の不妊手術の重要性を理解していない方はまだまだたくさんいます。そして、実際に犬や猫が家にひしめき、どれだけ悪臭が立ち込めていようとも何も感じない飼い主もいます。残念ながら、啓発がまだまだ足りないことを認めざるを得ません。そのためには、プライバシーに配慮しつつも、多頭飼育崩壊の事案を積極的に公開し実例を挙げることが重要と考えます。「可哀想」という一面だけを強調するのではなく、問題を提起し解決策を考える冷静さが求められます。


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