14_鹿児島県南九州市多頭飼育救済レポート(行政枠) 

申請No.14
申請日:2025年6月18日
申請/実施責任者:南九州市 市民生活課 生活衛生係
場所:鹿児島県南九州市
居住者:当事者(69歳、男、年金受給)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給なし
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):5頭(0頭)(当初3頭で申請するも実際は5頭であった)
手術日:7月11日
協力病院:くすのき動物病院
チケット発行数:3枚
手術頭数:3頭
協働ボランティア:川辺の猫を守る会  

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2023年年3月頃、庭に来ていた野良猫に餌を与えて飼い始めた。
  2. 同年5月に当事者が入院して家を留守にしている間(同年9月に退院)、庭で飼っていた1頭が開いていたと思われるトイレの小窓から侵入して室内に住み着いてしまった。
  3. そのまま自宅で飼い始めたが、2024年6月には子猫が5頭になり、2025年1月に子猫が9頭、2025年3月に子猫が14頭にまで増えて多頭飼育状態になったが、適正飼養ができていなかったことから子猫が全頭亡くなったり、室外に出て戻ってこなくなったりし、現在は成猫3頭が室内外を行き来する状態である。
  4. 市包括支援センター職員から情報提供があり発覚。その後、加世田保健所と連携を図り、担当職員・加世田保健所・包括支援センター職員の三者で現地確認し、情報を共有した。
  5. 部屋は掃除が行き届いておらず、3頭の猫が室内外を行き来している様子を確認。トイレは居間に置いてある新聞紙にしている様子であった。
  6. 子猫を適正飼養できなかった経緯から、当事者の管理能力の低さを考慮して全3頭の譲渡を検討したが、当事者が飼養の継続を希望したため、それを前提に対応する方針となった。
  7. 飼養を継続する条件として、まずは室内環境を整えるよう指導。散乱した部屋の中を少しずつ片付けるよう依頼するとともに、一般廃棄物処理業者から見積もりを取り、関係者総員で片付けを行う段取りを進めている。室内環境が整えば、適正飼養に向けて加世田保健所と連携して飼い方の指導に当たる。
  8. これ以上頭数が増えると当事者の管理能力を超え、当事者の生活環境および猫の適正飼養における環境整備を脅かす原因となる。まずは不妊手術を実施して環境改善を図っていくことが必要と判断し申請に至る。
  9. 3頭分のチケットを申請していたが、申請時には把握できていなかった2頭が発見され、現場の猫の総数は5頭となった。3頭はチケットによって手術済みとなったが。残る2頭については2度目の申請を予定している。
  10. 最初の訪問時は猫の糞尿等による被害が酷かったが、生活衛生係・包括支援センター・社会福祉協議会の協力のもと、部屋の片づけを行い改善された。新たにトイレを4基設置して当事者がしつけを行うなどし、衛生環境や飼養環境が整い、猫のストレスも軽減された。
  11. 今後については、不妊手術を施した猫のみを飼養し、不用意に招き入れないことを再確認している。当事者も今回の件で安堵した様子であり、生活衛生行政としても適切に飼養ができているか見守っていきたい。

手術日オスメス耳カットのみ
7月11日0303
0303

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
5月に地域包括支援センターより相談があり、現状把握からどうぶつ基金への申請、部屋の掃除、適正飼養に向けての指導など、各方面と調整しながら進めることができた。なお、途中子猫が亡くなってしまったり、捕獲時に新たな猫が発見されたりと、本人の認知と実態に乖離があって再申請の必要があることから、もう少し聞き取りを進めれば防げることだったのではないか、と省みることとなった。


どうぶつ基金スタッフコメント
手術の際の捕獲時に新たに2頭が発見されたため、全頭手術完了とはなりませんでした。未手術のままとなった2頭についてはすでに2度目の申請が出ていますが、行政のコメントにもあるように、多頭飼育救済においては頭数確認が何よりも重要になります。多頭飼育の当事者は頭数を正確に把握していないことが多く、わざと頭数を少なく申告する当事者もいます。申請時の頭数確認は、必ず行政職員が関与することが求められます。
子猫が生まれても育たず命を落としていく…そんな劣悪な環境で彼らは今まで懸命に生きてきました。飼養を継続するのであれば同じことは繰り返さない、彼らの生活環境を良好に保ち、健康で過ごせる環境を提供することが当事者に求められる責任です。今回の支援を通じて、南九州市担当課のほか、保健所や福祉関係部署なども本件に関わることになりました。今回の支援が無駄にならないようサポートを継続していただきたいと思います。


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