55_鹿児島県南九州市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.55
申請日:2025年1月31日
申請/実施責任者:南九州市 市民生活課 生活衛生係
場所:鹿児島県南九州市
居住者:当事者本人(36歳、女、非常勤)、父(74歳、男、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):21頭(0頭)
手術日:2月22日、3月9日、15日
協力病院:くすのき動物病院
チケット発行数:21枚
手術頭数:21頭
協働ボランティア:さつましっぽの会

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 25年ほど前、友人から1頭の猫を譲り受けた。飼い始めた頃は当事者が小学生、当事者の母は2021年に亡くなっており、当事者の父は脳梗塞のため現在ほぼ寝たきり状態であることから詳細は不明。
  2. 飼い始めから20年ほどは、10頭前後を放し飼いにしていたとのこと。
  3. 当事者の母が亡くなった翌年あたりから近隣住民より苦情がくるようになったため、屋内で飼育するようになり現在は21頭の猫がいる。
  4. 当事者には知的障害があり、仕事と病気の父の介護もある。当初はトイレも設置していたが、徐々に管理が滞るようになった。
  5. 現在、オスのケージ内にはトイレを設置してあるが、ケージに入れていないメス用のトイレは設置されておらず室内は不衛生な状況。そのような環境で寝たきりの父も生活していたが、2024年12月に容態が悪くなり現在入院中。
  6. 包括支援センターから保健所へ相談があり発覚。包括支援センター、ケアマネージャー、保健所による現場確認を行ったところ、多数の猫が室内で飼育されていて臭気があり、トイレはあるものの砂が散乱した状態であった。
  7. これ以上の繁殖を防ぐため不妊手術をすること、雌雄を分けて飼育すること、猫の譲渡と進めることを当事者に提案。
  8. 雌雄を分けて屋内の1部屋をメス専用の部屋としたが、間仕切りを破られ出入りするようになったため、現在はオスをケージ内で飼育している。猫が人馴れしておらず、近親交配の疑いのあったことから譲渡は断念した。
  9. 猫がこれ以上増えることは、経済的にも衛生環境的にも避けなければならない。解決のためには不妊手術が不可欠であるが、当事者には知的障害があり、経済的にも当事者が費用を負担することは困難である。
  10. 遠方に居住する親族と相談するなどして対応を検討していたが、今回、ボランティア団体の協力を得られることとなり申請を決定した。
  11. チケットによって全頭の不妊手術が完了した。支援前はオスがケージ内に閉じ込められていたが、支援後はケージから出されている。猫はこのまま同じ場所で当事者が飼養を継続する。
  12. トイレの数も2個から9個に増設され、室内の不用品撤去や清掃等によって衛生環境は改善されているが、アンモニア臭など悪臭はまだ残っている。
手術日オスメス耳カットのみ
2月22日7007
3月9日010010
3月15日0404
714021

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
全頭不妊手術を行うことができた。また、今回の支援をきっかけに、掃除を徹底し、トイレを増設するなど衛生環境も改善されている。しかし、アンモニア臭がまだ残るなど今後も継続した指導が必要である。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者家族には福祉の手が必要であり、猫たちにも助けが必要な状況でした。今回の支援で飼育している全21頭の不妊手術が完了し、完全室内飼育であることから、これ以上猫が増えることはありません。しかしながら、当事者家族の状況から考えれば、譲渡によって飼育頭数を減らすことができれば…と感じます。猫が人馴れしていないことや、近親交配による影響を考慮して断念したとのことですが、今後も当事者と関りを継続するなかで、可能性がある猫がいれば譲渡先探しに着手いただきたく思います。
当事者家族の事情をご存じの方は近隣にはいなかったのでしょうか。「ご近所付き合い」が難しい世の中ではありますが、当事者の母が亡くなった後、当事者への苦情ではなく行政への相談というかたちで表面化していれば、崩壊状態に陥ることを防ぐことができたかもしれません。福祉という面においても、もっと早く何か手を打てていたらと思わざるを得ないケースでした。


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