46_滋賀県長浜市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.46
申請日:2024年12月10日(1回目)・2025年2月10日(2回目)
申請/実施責任者:長浜市 市民生活部 環境保全課
場所:滋賀県長浜市
居住者:当事者本人(81歳、女、無職)
居住環境:貸家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):12頭(0頭)
手術日:2025年3月7日、8日
協力病院:にじのはしスペイクリニック多賀診療所
チケット発行数:9枚(申請後2頭死亡、手術済の1頭を除く9頭分を申請)
手術頭数:4頭(1頭は健康状態により手術不可、4頭は捕獲できず)
協働ボランティア:多賀にゃん
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 29年ほど前、石川県に住んでいた時にペットショップで猫2頭(オス、メス)を購入。21年前に長浜市に引っ越してきた時は3頭だった。
- その後、ブリーダーとしてアメリカンショートヘアの子猫をペットショップに販売していた。
- 6年ほど前、それまで子猫を販売していたペットショップの経営者が高齢のため閉店。猫の受け入れ先がなくなって頭数が増え、猫が室内外を自由に出入りしていたため純血でなくなって売れなくなり、その頃から多頭飼育状態となった。
- 2023年8月、隣家から市に苦情が入る。「猫が敷地内に入り糞をしていく。臭いも気になる」とのことで、地域包括センター職員とともに当事者宅を訪問し状況を確認。
- 当事者には近隣住民から苦情が出ていることを伝え、適切に飼育すること、これ以上増やさないよう不妊手術を実施するよう指導を行ったが、当事者の収入は年金のみで経済的理由から不妊手術費用を負担することは難しく、自宅もごみ屋敷の状態であった。
- 近隣住民が長年迷惑し悩んでいたこともあり、状況の改善に向けて不妊手術を実施し、これ以上の繁殖を防止することで地域の公衆衛生の向上に寄与するものと考え申請に至った。
- 現場の猫の総数12頭のうち手術済の2頭を除く10頭分の申請を2024年12月10日に行うも、手術予定日が大雪となってしまい中止。あらためて2025年2月10日に2回目申請を行った。
- 2回目の申請までに2頭(手術済1頭、未手術1頭)が死亡。猫の総数は10頭となり、そのうち手術済の1頭を除く9頭分を申請。
- チケットを使用して手術できたのは4頭。健康状態の悪かった1頭が手術不可となり、4頭が屋根裏に逃げ込んでしまい捕獲できず断念した。未手術の4頭については、当事者・ボランティア団体と相談して対応していく。
- 2段ケージを3台新設し、既存のものと合わせて4台となった。現在はケージで飼育しており、ケージ内の清掃は毎日行っているため臭いは改善されてきている。猫はケージ内でおとなしく過ごしている。
- 当初トイレは1ヶ所しかなかったが、ケージごとにトイレを設置したほか、寝室にも2ヶ所設置した。
- 猫はこのまま当事者が飼養するが、ボランティア団体と協力して飼育頭数を減らしていく。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
3月7日 | 1 | 2 | 0 | 3 |
3月8日 | 1 | 0 | 0 | 1 |
計 | 2 | 2 | 0 | 4 |
【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者の了解がなかなかえられなかったこともあり時間がかかってしまった。また、9頭の手術を予定していたが、屋根裏まで逃げ込んだ4頭が捕獲できなかった。捕獲できていない猫については、引き続きボランティア団体と協力して対応していきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
子猫の販売を業として行っているにも関わらず、本件の当事者のように専門的な知識もなく、繁殖の管理はもとより猫の健康管理もできない“ブリーダー”とはとても呼べない人間と、そのような人から子猫を購入して販売するペットショップの存在が、日本の動物愛護・動物福祉にとってどれほどの悪影響を与えているでしょうか。
支援後は多頭飼養届出制度に基づく届出を行い、一定程度の飼育環境改善が行われましたが、4頭の猫が捕獲できず未手術のままです。この4頭を放置すればあっという間に元通りになります。行政には、今回の支援が無駄にならないよう状況確認と捕獲を継続していただくことを強く求めます。当事者には当然、飼い主としての責任があります。さらなる飼養環境の改善と、1頭でも多くより良い環境で飼育できる里親のもとに送り出せるよう、行政やボランティア団体へ協力することを求めます。