29_茨城県神栖市多頭飼育救済レポート(行政枠) 

申請No.29
申請日:2024年8月1日
申請/実施責任者:神栖市役所 生活環境部環境課
場所:茨城県 神栖市
居住者:当事者本人(55歳 男 生活保護受給)、母(87歳)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):8頭(0頭)
手術日:11月13日、11月14日、12月5日
協力病院:ノラネコ動物病院
チケット発行数:10枚(手術実施までの繁殖の可能性を考慮し10頭分を申請)
手術頭数:6頭(2頭が死亡、余分に申請した2頭分も使用せず)
協働ボランティア:個人ボランティア

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. もともとは地域の野良猫に餌やりをしており、4~5か月前に人慣れしていた2頭を家の中で飼い始めた。
  2. 当初は2頭のみを飼育する予定であったが、他の野良猫が自由に家に出入りできる環境で、常に置餌があったことから多くの猫が住み着いてしまった。経済的理由から不妊手術をしなかったため繁殖を繰り返したが、飼養環境が不衛生であることから子猫が育たず、全頭死んでしまった過去もある。
  3. ケアマネージャーが自宅訪問した際、猫の数が増えていることに気づいて当事者に話を聞き、すでに手に負えない状態であると判断。市内で活動しているボランティアに相談したところ、どうぶつ基金の支援制度について説明を受け、市に情報共有をした。
  4. 繁殖制限措置や完全室内飼育、飼養環境の改善、里親探しについて指導を行ってきたが、改善はみられず。生活保護を受給していることもあり、当事者が不妊手術を含む医療費を負担することは難しく、不衛生な飼養環境で猫の健康状態も悪い。
  5. このままでは多頭飼育崩壊の規模が大きくなる懸念があり、ケアマネージャー・ボランティア・行政の協力体制が整ったため申請に至る。
  6. 申請後、協働する個人ボランティアが他のTNRや集団手術等で多忙になってしまった。そのため、ボランティアやケアマネージャーの都合、病院の予定等も考慮したうえで手術を11月以降に実施することにした。
  7. 申請当時、当時者の認識では猫は8頭とのことであったが、手術実施までに繁殖してしまう恐れがあることから10頭分を申請した。支援実施時には不衛生な飼養環境や病気により2頭が亡くなっており、繁殖もなかったことから2枚が未使用となり、残る6頭にチケットを使用して不妊手術を行った。
  8. 当事者は全頭を引き続き飼育したいと希望していたため、適正な飼養方法に努めることを条件としてこれを認め、譲渡等は行わないこととなった。しかしながら、当事者の経済状況では適切な獣医療を受けさせる等は難しい。今後、猫の健康状態が悪化する懸念があることから、引き続き、定期的な訪問・聞き取りをし、状況に応じた譲渡等を検討していく。
  9. トイレの増設や清掃により臭い等は軽減され、猫だけではなく当事者の生活のいても良い効果がでている。
  10. 置き餌ではなく時間を決めて給餌・交換するよう当事者へ指導し、猫に新鮮な餌を与えることができている。
  11. 猫については、目やにやくしゃみが目立っていたが、手術後は室内飼いに努めた結果、改善が見受けられた。
手術日オスメス耳カットのみ
11月13日1304
11月14日0101
12月5日0101
1506

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
多頭飼育崩壊が発覚してから、実際に手術を実施するまでに時間を要してしまい、猫が死亡する等、早期解決ができなかった。
今回の事例では、当事者との関係が深いケアマネージャーの協力があったため、トラブル等はなく、スムーズに猫の捕獲から返却までを実施することができた。
現在、人事異動により、当多頭飼育救済枠チケットの制度を理解している職員が少なく経験も浅いため、今回の事例を課内で周知し、多頭飼育崩壊現場に対して迅速な対応が図れるよう努めていく。


どうぶつ基金スタッフコメント
支援実施前に亡くなってしまった2頭は本当に残念でした。救える命をきちんと救うにはどうすればよかったのか、それを考え、次に活かしていくことが求められます。
当事者はもともと地域猫の餌やりをしていました。そうであればなおさら、2頭の猫を飼う決断をしたときに不妊手術をしてほしかったと強く思います。猫に対する優しさや思いやりのある人が、不衛生で医療を受けることもない劣悪な環境で猫を増やしてしまうほど悲しいことはありません。
残る6頭は今回の支援で全頭手術済みとなりましたが、当事者が飼い続けることを希望したことから譲渡先探しは見送られています。行政による訪問や聞き取りが適切に継続され、それによって当事者が飼い主としての責任を全うすることを望みます。


2024年度 多頭飼育救済支援実績はこちら
多頭飼育救済に関するお問合せはこちら

最近の投稿
  • 33_北海道中富良野町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)(往診)
  • 61_和歌山県かつらぎ町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
  • 41_福岡県那珂川市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
  • 54_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済レポート(行政枠)