47_鹿児島県霧島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.47
申請日:2024年12月12日
申請/実施責任者:鹿児島県霧島市 環境衛生課 環境保全グループ
場所:鹿児島県霧島市
居住者:当事者本人(41歳 女 正社員)、長男(16歳 高校生)、長女(15歳 中学生)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):12頭(7頭)
手術日:2月20日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:10枚(手術済みの2頭を除く10頭分を申請)
手術頭数:5頭(2頭が死亡、3頭は室外に出たときに近隣住民がTNRしていた)
協働ボランティア:waco
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 3年ほど前、職場からの帰り道にカラスに狙われていた子猫1頭を保護した。
- 保護した子猫(メス)を室内で飼育していたが、引っ越し準備の際にドアや窓が開けっ放しになっていたことから外に出てしまった。引っ越しが終わった頃にはすでに妊娠しており、その後6頭の子猫が生まれた。出産した猫が2回目の妊娠をした際に不妊手術と堕胎を行っている。
- 生まれた子猫6頭のうち、1頭は手術後に行方不明となり1頭が病死。メス1頭のみ不妊手術を行い、残り3頭は未手術のままであった。この未手術3頭のうち2頭がほぼ同時期に子猫を6頭ずつ出産したが、生まれた12頭のうち6頭が病死している。その後さらに1頭が生まれ、現在は12頭(オス:5頭、メス:7頭)を室内で飼育。
- こども・くらし相談センターから保健所に相談があり、保健所から環境衛生課への情報提供によって多頭飼育崩壊状態であることが発覚。保健所がボランティア団体に協力を依頼し、環境衛生課、こども・くらし相談センター、ボランティア団体の3組織で問題解決に向け動いていくこととなった。
- 屋内飼育の徹底と適正な飼育環境づくり(部屋の整理やトイレの設置)について指導するも、当事者には2名の子供がおり、食費や生活費に多くのお金がかかる。餌はかろうじて与えることができているが、飼養環境の改善費用や不妊手術費用を捻出することができないこと、また、現在の頭数まで増えてしまっていることから申請に至った。
- 手術済みの2頭を除く10頭で申請していたが、申請後に2頭が死亡。3頭については室外に出てしまった際に近隣の方がTNRを行い「さくらねこ」になって戻ってきた(耳カットと腹部の手術跡があることを確認済)。そのため、手術が必要な猫は5頭となり、チケットによって全頭手術済みとなった。
- 猫の健康状態は良く、申請時に肉球をケガしていた猫についても少しずつ良くなっている様子であった。
- トイレも2個設定された。現状、足りているとのことであるが適正な個数まで増やすよう指導している。部屋が清掃されたことで猫たちが動き回るスペースができたが、しみついた臭いは完全には取れていない。猫を外に出さないよう注意しながら定期的に換気等を行うようアドバイスしている。
- 申請時は12頭の猫がいたが、支援前後で3頭が亡くなったため、当事者宅に残る猫は9頭となった。今後も当事者が継続して飼養する。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
2月20日 | 3 | 2 | 0 | 5 |
計 | 3 | 2 | 0 | 5 |
【現場写真(支援前)】


今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
保健所や本市の関係各課、ボランティア団体の力を借り、申請から手術まで大きな問題もなく終わることができた。ボランティアには本当に感謝している。今後も本市の関係各課がサポートしていく家庭となるので、今回の支援が無駄にならないようにしていきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
見て見ぬふりをする人も多いなか、当事者はカラスに狙われた子猫を保護しました。これは決して簡単なことではありません。その子が2回目に妊娠した時には不妊手術と堕胎を行っていることから、不妊手術の重要性も理解していたのだと感じます。最初に生まれて元気に育った子猫4頭をなぜ全頭手術しなかったのか…。さまざまな事情があったのだと推察しますが、ここが多頭飼育崩壊に陥るかどうかの分かれ道でした。
支援前の写真を見ると、狭いケージ内に子猫が押し込められている様子が確認できます。生まれた子猫の多くが死亡していることから、栄養状態や飼養環境に問題があったことは明らかです。人の福祉はもちろんですが、今回の支援を無駄にしないためにも、猫の飼養環境の改善について今後も指導を継続していただきたいと思います。