沖縄県うるま市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑲

申請No.19
申請日:2020年9月3日
申請/実施責任者:うるま市 保護課
場所:沖縄県うるま市
居住者: 当事者(62歳、女、無職)、息子(41歳、アルバイト)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:13頭
手術日:9月20日、10月11日
協力病院:TNRなかぐすく
チケット発行数:11枚(13頭のうち1頭は手術済み、子猫1頭は生まれて間もないため手術できず)
手術頭数:11頭

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 2007年に拾ってきた雌猫1頭を飼い始めた。その後、その猫が出産。生まれてきた猫がさらに繁殖を繰り返し現在に至る。
    2. 数頭は病気や事故によって亡くなったが、当事者が飼いきれない頭数にまで増えている。
    3. 生活保護担当者は多頭飼育について把握していたが、多頭飼育について当事者に聞き取りを行っても、猫の飼育にかかる費用が生活を圧迫しているとの相談はなく「継続して飼育を希望する」との回答だった。
    4. 2020年8月、当事者よりボランティア団体および生活保護担当者へ「猫の頭数が増えたことで生活が困窮している」との相談があり多頭飼育崩壊が発覚した。
    5. 猫は、主にリビングで性別を分けずに飼育。一部の猫については野外と室内を出入りしている。
    6. 多頭飼育によって生活費が圧迫されており、手術を行ったのちに猫を譲渡して頭数を減らし、生活の安定を図りたいとのこと。
    7. 当事者は生活保護受給中で自己負担による不妊手術は難しいため、相談の結果、どうぶつ基金へ支援を要請。行政がボランティア団体と連携し、対象となる猫の手術が実現した。
    8. 半数は里親へ出すことを検討しており、ボランティア団体と相談中。残りの猫については、引き続き当事者が飼育する予定。
    9. 一部外へ出ていた猫についても、手術後は室内飼育を徹底している。
    10. 申請後、手術までの間に成猫が出産してしまい子猫が5頭に増えた。子猫5頭については団体が保護したが、団体もしくは譲渡先にて必ず不妊手術を行うよう申し入れを行った。
手術日 オス メス 耳カットのみ
10月11日 0 5 0 5
9月20日 5 1 0 6
5 6 0 11

【現場写真(支援前)】

仔猫が1匹産まれていた

【現場写真(支援後)】

さくらねこになった猫たち
家も掃除され住みやすい環境になった

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回の手術を通して、当事者の猫の飼育に対する意識が変化した(猫を室外に出さない、オスメスを分けて飼育する等)ことはよかった。手術までの期間に新たに子猫が産まれてしまったため、不妊手術や譲渡について再度検討が必要である。


どうぶつ基金スタッフコメント
このケースでは、生活保護担当者が早い段階で多頭飼育について把握しており、その時点で対処できなかったことが悔やまれます。多頭飼育を把握した段階で、福祉担当と動物問題を扱う環境系部署が連携できていれば、もっと早く解決できていたかもしれません。
多くの場合、多頭飼育崩壊の当事者が自らSOSを出すことは稀です。それはなぜか?
大きな理由の1つとして「行政に相談する=殺処分」というイメージが定着していることが考えられます。殺処分を避けたいがゆえに誰にも相談せず、人の目の届かぬところでどんどん猫が増えてしまう…。そのような悪循環を断ち切るためにも、行政が命を救う解決方法に向けて方向転換する必要があるのではないでしょうか。


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