【ちきゅう部だより】クマのことを考えてみる

どうぶつ基金事務局です。
いよいよ、2023年も残りわずかとなりました。

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どうぶつ基金の1年を振り返ってみますと…
通年で行っている「さくらねこTNR」はもちろんのこと、
北海道佐呂間町での犬多頭飼育崩壊、要望書提出や署名活動など
今年も多くの方のご支援により精力的に活動することができました。

この場を借りて、ご支援・ご協力をいただいた皆様に感謝を申し上げます。
誠にありがとうございました。

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さて、今年はクマのニュースが世間を騒がせた1年でした。
秋田県の親子グマ3頭駆除など、心を痛めた方も多かったのではないでしょうか。

年末も押し迫るなかですが、本日はクマにまつわるニュースを見て
感じたことをお伝えしたいと思います。

※どうぶつ基金は、一般財団法人 日本熊森協会が行っている
change.org.【緊急署名】クマを指定管理鳥獣にせず、人とクマが遭遇しない対策をお願いします

に賛同しています。

クマによる人身被害が例年になく増加し、過去最多となった2023年。

「OSO18」が7月に駆除されていたことが大きく取り上げられたほか、
道路で車を追いかけてくる様子、民家の柿の木に登って柿を食べている様子、
警察官や猟友会に追われて逃げ惑う様子、山中で親グマが急襲してくる様子など
さまざまな映像がニュースとともに流れました。

クマの駆除をめぐって人間社会の意見は真っ二つ。

共生か駆除かの激論となり、クマが可哀想などと言おうものなら
どこかのドラマの決めゼリフ「倍返しだ」くらいの勢いで批判される、
という状態だったように思います。

ネットニュースのコメントを読んでみると、
「北海道にクマはいらない」「クマは全部殺してしまえばいい」
「人間よりクマを大事にするような地域には旅行に行かない」
というような極端な意見も書き込まれていました。

そこで強く感じたのは、
「クマが可哀想」だと思うことは批判されることなのか?
ということです。

ケガをされた方や亡くなった方、そのご家族のお気持ち、
クマが連日出没して外出もままならない地域の方の恐怖を考えれば
軽々にクマが可哀想だと言うことははばかられるかもしれません。

だから、この問題はとても難しい。
だけど、命を奪われた動物を不憫に思う気持ちは大切にしたい。
その気持ちが「考える」ことにつながり、
本当の意味での人間と野生動物の共生につながると思うからです。

先日、朝日新聞で「人間とクマの共生」と題して
3人の専門家の方の意見が掲載されていました。
(12月22日の朝日新聞「オピニオン&フォーラム」です。
ご興味があればぜひ読んでみてください)

その中に北海道の知床の話がありました。

3年かけて80回ほど「追い払い」を続けたクマを
釣り人が置いていたおにぎりを食べてしまったがために駆除したという話です。
駆除した時には悔し涙が出たと書いてありました。

人とクマの境界線を守るために活動している方も、
好んで彼らの命を奪っているわけではありませんが、
人身被害が増加するなか、捕殺・駆除された頭数も右肩上がりとなっています。

そして、12月26日には、環境省が「指定管理鳥獣(※)」にクマを
追加するかどうかを話し合うため専門家会議を開催しました。

【※指定管理鳥獣とは?】
指定管理鳥獣に指定されると捕獲や駆除の費用が補助される。
現在はニホンジカとイノシシが指定されている。

春には「指定管理鳥獣」の指定について判断がくだされるようですが、
すでにクマが絶滅している地域もあります。
環境省には慎重に判断していただきたいと切に思います。

ご紹介した朝日新聞の「人間とクマの共生」に、動物生態学者の方が
クマとの共生に必要不可欠な3つの対策を挙げておられました。

1.生息数を把握すること
2.クマと人間の間に緩衝帯を作ること
3.クマが安心して暮らせるよう、落葉広葉樹を含めた森林を適切に管理すること

クマは森の豊かさの象徴でもあります。
彼らが数多く生息していることは世界に誇れることなのです。

彼らの命と人間の生活を守るためにはどうすればいいのか?
捕殺・駆除ありきではない共生の方法を模索し続けるしかありません。
どうぶつ基金も勉強しながら多角的に考えていきたいと思います。

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