64_埼玉県熊谷市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.64
申請日:2026年1月9日
申請/実施責任者:熊谷市 環境部 環境推進課
場所:埼玉県熊谷市
居住者:当事者本人(54歳、女、パート)、子(29歳、男、個人事業主)、子(26歳、男、個人事業主)
居住環境:貸家/集合住宅
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):24頭
手術日:2月5日、2月9日、2月19日、2月24日、3月4日
協力病院:ほかぞの動物病院
チケット発行数:24枚
手術頭数:24頭
協働ボランティア:なし
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 2019年8月、新聞配達の職に就いていた当事者が配達中に弱ったオスの子猫1頭を見つけ保護。元気になったら元の場所に戻そうと考えていたが、同居する子から元に戻すことはよくないと反対され飼い始めた。
- 2年ほど経った2021年6月、今度は配達先の方から弱った子猫が3頭(うち2頭がメス)いると相談を受け保護した。当事者は不妊手術をするつもりだったが、当時同居していた内縁の夫が手術はかわいそうだと反対。その結果、アパート内で繁殖を繰り返して多頭飼育状態となった。
- 当事者から生活困窮の相談を受けた市議会議員がアパートを訪問。その際に多頭飼育状態であることが分かり、2025年12月、その市議会議員から市へ相談が寄せられ発覚。
- これ以上の繁殖を防ぐため、オス8頭とメス16頭を交互にケージに入れて飼育していたが、ケージ内のスペースが明らかに狭かった。埼玉県動物指導センター所有のケージを当事者に貸し出し、可能な限りスペースを確保するよう指導。また、餌を与え過ぎる面も見受けられ、適切な量に調整するようにも指導した。
- 当事者は24頭の飼育が難しいことを自覚しており、21頭の譲渡を希望していることから、埼玉県のホームページ等を活用して譲渡先を見つけるよう指導した。
- 当事者は2025年12月からパート勤務をしているが、生活は困窮しており、自力で手術費用を賄うことは難しい。子供2名は個人事業主だが、実質はある解体会社の社員と変わらない状況で収入も少ない。餌やりやトイレの管理はきちんとされているものの飼養環境は良いとはいえず、これ以上猫を増やさないためにも不妊手術を急ぐ必要があると判断した。
- 5日間で全頭手術が完了。当初から衛生環境については問題なく、手術したことでオス・メスをケージで分ける必要がなくなった。室内を自由に行動できるようになったことで運動スペースが確保され、ストレスの軽減にもつながっている。
- 全頭このまま当事者宅に住み続けるが、当事者は「譲渡先を探して最終的に飼育頭数を3頭にしたい」と希望している。当事者自身で譲渡先を探すほか、埼玉県動物指導センターのホームページを活用することも決まっている。
| 手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 2月5日 | 5 | 0 | 0 | 5 |
| 2月9日 | 3 | 2 | 0 | 5 |
| 2月19日 | 0 | 5 | 0 | 5 |
| 2月24日 | 0 | 5 | 0 | 5 |
| 3月4日 | 0 | 4 | 0 | 4 |
| 計 | 8 | 16 | 0 | 24 |
【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
発覚から申請・手術まで迅速に対応できた点、県にも協力を依頼して当事者へ適正飼養の指導が的確にできた点は良かった。一方で、猫の繁殖を止めることはできたものの、当事者の生活困窮が解決するかどうかは今後の譲渡次第であり、行政の視点からすると現時点で満点にはできない。
どうぶつ基金スタッフコメント
3頭を保護した時点で不妊手術が行われていれば…と残念でなりません。当初、当事者は不妊手術を考えていたということですからなおさらです。
残念ながら「不妊手術はかわいそう」という考え方はまだ根強く残っています。しかし、不妊手術なしに繁殖を制限することは不可能であり、人が適切に飼育できる頭数にも限界があります。キャパシティを超えた飼育は、何よりも動物を苦しめ、時には命を奪い、そして飼い主の生活も壊れます。もたらす結果を考えれば「不妊手術はかわいそう」という言葉はあまりにも無責任です。
今回の支援で24頭すべて手術済みとなり、猫たちは狭いケージから解放されました。完全室内飼育であるため、これ以上増えることはありません。今後は、1頭でも多く幸せな環境に送り出せるよう、譲渡先探しに力を入れていただきたいと思います。



