16_鹿児島県肝付町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.16
申請日:2025年7月4日
申請/実施責任者:肝付町役場 住民課 年金環境衛生係
場所:鹿児島県肝属郡肝付町
居住者:当事者本人(48歳、男、就労支援B型)
居住環境:貸家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):17頭(10頭)
手術日:7月28日、29日、30日、31日、8月1日、5日
協力病院:中村動物病院
チケット発行数:17枚
手術頭数:17頭
協働ボランティア:犬猫を守る会 天使のおうち
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 13〜14年前に、自宅横の倉庫に捨てられていたメスの子猫1頭を保護した。
- 最初に保護した子猫が大きくなって外に出ていくことが増え、いつの間にか妊娠。1度目の出産で4頭が生まれ、そこから徐々に増えていき増減を繰り返している。
- 4年ほど前にオス1頭を知り合いから譲り受け、さらに繁殖が進んだ。2024年に6〜7頭、2025年には9頭出産。
- 社会福祉協議会から地域包括支援センターに報告があり、多頭飼育であることが発覚。
- トイレの数や室内の空調設定など飼育環境の改善を指導するも、当事者には安定した収入がなく、17頭すべての不妊手術費用を負担することが困難であるため申請を決定した。
- 今回の支援により全17頭の不妊手術が完了。
- 支援前は餌も食べずぐったりしている猫も見られたが、支援後はほとんどの猫が餌、水を口にしており健康状態の改善を感じることができた。
- トイレの数は増設されたが、頭数に対してまだ不足しているため、悪臭など衛生状況は改善されていない。経済状況もあって進んでいないが、トイレの増設については指導を継続していく。また、室内の空調設定についても指導しているが改善がされておらず、こちらも衛生環境とあわせて引き続き指導・支援を行っていく。
- 手術後、1頭がすでに譲渡され、現在は16頭の猫が現場に残っている。当事者は、最終的に飼育頭数を5頭まで減らすことを希望しており、11頭の里親探しを継続して行っている。
| 手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 7月28日 | 0 | 3 | 0 | 3 |
| 7月29日 | 0 | 5 | 0 | 5 |
| 7月30日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
| 7月31日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
| 8月1日 | 2 | 1 | 0 | 3 |
| 8月5日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
| 計 | 7 | 10 | 0 | 17 |
【現場写真(支援前)】


今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
飼育環境の改善が万全ではないため、今後も継続的な支援が必要である。衛生環境の改善など必要な指導を今後も行っていく。動物病院や協働ボランティア、関係機関のご協力もあり、チケット交付から手術完了までスムーズに事業を進めることができた。
どうぶつ基金スタッフコメント
4年前の飼育状態がどのようなものであったか明確ではありませんが、当事者に未手術の猫を譲り渡した知人はあまりにも浅はかではないでしょうか。猫は「物」ではなく「命ある動物」です。飼育管理能力が不足している状態で猫を譲り受けた当事者の責任は当然大きいですが、譲渡する側もその「命」に責任を持たなければいけません。安易な譲渡が何を生み出すかをよく考えていただきたいと思います。
今回の支援によって全17頭の不妊手術が完了し、本件は完全室内飼育であることから、今後新たな猫を当事者がもらい受ける・保護するなどしない限り、譲渡等によって飼育頭数は減っていくものと思われます。手術後は猫の体調も良くなったとのことで喜ばしい限りです。当事者は今後も行政やボランティアの力を借りながら、少しずつでも飼育環境を整え、新たな譲渡に向けて尽力していただきたいと思います。それが飼い主としての責任です。



