35_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.35
申請日:2023年8月3日
申請/実施責任者:鹿児島市 生活衛生課
場所:鹿児島県 鹿児島市
居住者:当事者本人(82歳 男 無職)
居住環境:借家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:15頭(当初14頭での申請だったが捕獲時の状況から15頭であったと推察)
手術日:9月1日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:10枚(子猫4頭を除く10頭で申請)
手術頭数:10頭
協働ボランティア:NPO法人犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 4年前、家の周辺で野良猫の不審死が続いたため、外にいる野良猫1頭を保護して家の中で飼い始めた。その後も近隣の野良猫を保護し続けたが不妊手術を実施しておらず屋内で繁殖。1年間で10頭以上になった。
  2. 当事者のかかりつけ医から「患者の高齢男性が猫を多頭飼養しており、本人から悪臭がする。猫の飼い方で困っているようなので市の方で支援してほしい」と相談があり発覚。
  3. 本人と連絡を取ったうえで自宅を訪問し、多頭飼育状態であることを確認。部屋の清掃やトイレの管理など適正飼養について指導した。
  4. 当事者は不妊手術の必要性を理解しているが、年齢や経済的な理由から手術を実施できず、不衛生な部屋で繁殖を繰り返す多数の猫と生活している。不妊手術を実施して当事者が飼養を継続するという方向性は決定したが、当事者には経済的な余裕がなく全頭の手術を実施するのは不可能と判断。今回の申請に至った。
  5. 当初14頭(うち子猫4頭)で申請するも、支援時には子猫4頭が亡くなっていた。また、捕獲時にメスの成猫1頭が遺体で発見された。今回手術したメス全頭が妊娠中であったこため、死亡した成猫は子猫4頭の母猫であったと推察される。このことから申請時に成猫は11頭おり、子猫4頭とあわせて総数は15頭であった。当事者の話では、これまでも生まれた子猫のほとんどが育たずに死亡しているとのこと。
  6. ボランティア団体と協力して、糞尿の処理、不用品の廃棄、室内の清掃、ノミダニ駆除剤の散布を行ったことで臭いが軽減する等、衛生環境が改善された。また、当事者が管理しやすいよう、住居の1階部分に猫用トイレを4つ設置した。
  7. 手術後の猫は当事者宅に戻り、当事者がこのまま飼養を継続する。
手術日 オス メス 耳カットのみ
9月1日 7 3 0 10
7 3 0 10

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
高齢の当事者は、年金収入のみで貯蓄もないことから不妊手術の実施が困難な状況であったが、どうぶつ基金の支援を受けて当事者宅にいる猫全頭の不妊手術を行うことができた。申請時に確認していた子猫4頭は支援時には亡くなっており、当事者の話では、これまでも生まれた子猫のほとんどが育たずに死亡していたとのことだった。
全頭手術済みとなって繁殖の恐れがなくなり、当事者には安堵している様子が見られた。今後も適正な飼養環境を維持できるよう、引き続き行政とボランティア団体で見守りを続けていく。


どうぶつ基金スタッフコメント
最初は、不審死から野良猫たちを守りたいという優しい気持ちだったのだと思います。だからこそ、当事者にはもっと早く誰かに相談してほしかった。当事者のかかりつけ医からの相談で発覚しましたが、それがなければさらに状況は悪化していたでしょう。
全頭手術はできたものの、支援までに母猫と子猫4頭が亡くなってしまったという残念な結果に心が痛みます。これまでも生まれた子猫のほとんどが亡くなってしまったとのことですが、多頭飼育崩壊の現場ではよく報告される状況です。長期間にわたって多頭飼育崩壊が続いているにもかかわらず頭数がほとんど増えていないということは、それだけ多くの猫が命を落としているということなのです。
このような悲惨な状況をなくすため、これからも「行政」「民間」という立場を超えてともに取り組んでいく必要があります。


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