35_福岡県新宮町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.35
申請日:2021年9月2日
申請/実施責任者:新宮町役場 環境課
場所:福岡県糟屋郡新宮町
居住者:当事者本人(65歳、男性、無職)、配偶者(69歳、女性、無職)
居住環境:借家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:41頭(うち33頭は手術済み)
手術日:10月5日
協力病院:どうぶつ基金病院(福岡)
チケット発行数:8枚
手術頭数:8頭
協働ボランティア名:新宮猫の会

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 10年ほど前の冬に、配偶者が外にいるのは寒いだろうと思い、家の中に3頭の猫を入れた。
  2. 餌をあげていると、他の猫もやってくるようになった。
  3. 近隣住民から糞尿被害の苦情、相談があり多頭飼育が発覚。
  4. 訪問して現状確認を実施。飼育継続の意思があり救済を断られたことから、衛生面の指導や避妊去勢手術の説明、外飼いの猫を屋内飼育するよう指導。継続的に訪問することととしていた。
  5. その間に地域住民が町内のボランティア団体へ相談。団体によって33頭が不妊手術済みとなったが、当該団体と当事者から町に相談があり、今回の申請に至った。
  6. 未手術であった8頭の不妊手術が終わり、すでに手術済みの33頭と併せて全41頭が手術済みとなる。
  7. 手術後は、床に敷いているチラシや段ボールを定期的に変えるようになったことで臭いが軽減された。また、ボランティア団体の協力で猫用トイレが4つ設置された。
  8. 41頭はすべて当事者宅に戻り、当事者が飼育を継続する。
  9. 完全室内飼育となったことで、天候などによる猫の健康状態の変化が減った。引き続き、衛生面についても改善していく。
手術日 オス メス 耳カットのみ
10月5日 3 5 0 8
3 5 0 8

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
今回初めてどうぶつ基金の多頭飼育救済支援事業を利用したこともあり、スムーズにいかないところがありました。
新宮町で準備した捕獲器が大きすぎた、用意した布が小さすぎたなど、課題も新たに見えてきました。これらの課題を解決しながら、不幸な猫を少しでも減らしていきたいと考えています。


どうぶつ基金スタッフコメント
近隣からの苦情や相談を受けて行政が当事者を訪問した際、当事者は行政の救済の申し出を断っています。ここで気になるのは「救済」の内容がどういったものであったかです。例えば「全頭を保健所で引き取る」といった内容であったなら、当事者が断るのも無理はありません。多頭飼育崩壊を起こしているとはいえ、飼育している猫や犬に愛情を持っている当事者が多いのです。
そういったことから行政に不信感を募らせ、行政の指導はもちろん、他団体等からの支援も拒否し、事態がさらに悪化するというケースをこれまで数多く見てきました。
今回のケースでは、関わったボランティア団体が当事者と良好な関係を築くことができたのでしょう。当事者とともに行政へ支援要請を行い、全頭手術済みとなって解決に至りました。室内飼育の徹底や飼育環境の改善といった課題は残っていますが、あとは41頭の猫がその寿命を全うするまで当事者が責任を持って飼育を継続します。
多頭飼育崩壊のスムーズな解決には、行政と民間がそれぞれの持ち味を協力しあうことが大切、そのことをあらためて実感しました。


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