12_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.12
申請日:2025年6月3日
申請/実施責任者:鹿児島市 生活衛生課
場所:鹿児島県鹿児島市
居住者:当事者本人(60歳、女、B型支援作業所通所)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):16頭(1頭)(当初20頭で申請するも、実際は16頭であった)
手術日:6月20日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:19枚(子猫1頭を除く申請時の総数19頭分を申請)
手術頭数:15頭(全頭手術済み)
協働ボランティア:NPO法人犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 50年以上前に捨て猫を保護したのがきっかけ。当事者の幼少期より、家には10頭以上の猫がいた。
- 猫同士の相性から屋内・屋外で分けているが、不妊手術を実施していないため、それぞれの場所で繁殖と死亡を繰り返しており、申請時の飼養頭数は20頭であった。
- 当事者の知人から匿名で「当事者が猫を多頭飼育しており、生まれては死ぬのを繰り返している」と保健所に通報があったため、当事者宅を訪問して今回の件が発覚した。
- 申請に至るまでに当事者にトイレの増設を指導した。
- 当事者は軽度の知的障害を抱えており、生活保護を受給しながら、一人暮らしをしている。当事者には経済的な余裕がなく、周囲に親族や頼れる人もいないため、当事者一人では全頭の不妊手術を実施することは困難と判断し、申請を決定した。
- 申請時総数20頭だったが、屋外飼養していた猫が10頭ではなく、6頭であったため、実際の総数は16頭であった。うち幼齢のため手術対象外だった子猫1頭は支援時には亡くなっており、総数は15頭になった。
- チケットを使用して全頭手術済み。全頭当事者宅に戻り飼養を続けていく。
- トイレの増設・管理により、トイレ以外での糞尿も減り、室内の臭いも軽減し、衛生状態が改善した。室内の片づけも行い飼養環境も改善した。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
6月20日 | 6 | 9 | 0 | 15 |
計 | 6 | 9 | 0 | 15 |
【現場写真(支援前)】


今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
軽度の知的障害を抱えている当事者は、経済的な余裕がなく、協力してくれる人もおらず、繁殖を繰り返す猫の不妊手術を実施できずにいたが、どうぶつ基金の支援を受けたことで、全頭の手術を実施することができた。
初回訪問時、屋内はアンモニア臭が充満し、むせるほどの過酷な状況であったが、支援をきっかけに、室内の清掃やトイレの増設を行い、換気をするようになったことで、室内の臭いも大幅に軽減した。今後繁殖の恐れもなくなったことで、当事者も安堵している様子が見られた。
どうぶつ基金スタッフコメント
当事者は現在は一人暮らしですが、幼少期から多頭飼育の環境であったことを考えると、家族や周囲の方が不妊手術の必要性を知っていればと悔やまれます。知人からの通報がなければさらに事態は悪化していたと思います。また、全頭手術済みになったとはいえ、1頭の子猫が亡くなってしまったことは大変残念です。当事者には障害があるため、周囲のサポートなしに動物の適正飼育は難しいと思われます。当事者はもちろん、猫たちが適正な環境で暮らせるように指導と見守りを継続していただきたいと思います。