【ちきゅう部だより】ちきゅうのはじっこで考える vol13

こんにちは
どうぶつ基金事務局です。

本日は「ちきゅう部だより」の第13弾をお届けします!

2021年の11月より、約1年にわたってお届けしてきた
この「ちきゅう部だより」ですが、残念ながら今回が最後となります。

コロナ禍で旅行に行くこともままならない中、
青崎さんから届く国内外の壮大な自然の写真とメッセージ。
まるで自分もそこへ行ってみたかのように心躍るひとときでした。

また、ほとんど認識のなかったそこにある問題や課題なども教わり、
考えさせられることも数多くありました。

青崎さんからのラストメッセージです。ぜひご一読ください。

*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*

ちきゅうのはじっこで考える vol13:Walk in the Rain

こんにちは。ちきゅうのはじっこを旅するガイド、青崎です。

皆さん、自然の中のトレイルを歩くのは好きですか?

山でも森でも、湿地帯の木道の上でも。
どこまでも続いていく一本の道、気持ちいいですよね。
その先にある景色を見ようと、一歩、また一歩と、軽やかに次の足を
踏み出したくなるようなトレイル。さらに、理想の気象条件を述べるとすれば、
暑すぎず、寒すぎず、穏やかな晴天、ぽっかりと浮かぶ綿雲がアクセントに
なる青空の下、微風を肌に受けながら歩けるような日。最高です。

でもお天気は自分では選べない。気持ちの良い日もあれば、時には、
降り続く雨の中を1日中歩くこともあります。もちろん、ハイカーは、
雨に備え、バックパックの中身を濡れないようカバーや防水袋で覆ったり、
雨粒を弾いてくれるゴアテックス製のレインコートを着たりして
対応するでしょうが、1日中降り続ける雨にあたれば、心は徐々に沈んで
いくのもまた事実。そのうち、フードの隙間から水が肌を伝って入り込んできて、
徐々に服も湿っぽくなるし、期待していた景色は見えず、灰色に染まった
世界が広がるだけだし、濡れると思うと、カメラを取り出す気にもならない。
なんとなく、空の色と同じように、気持ちもどんよりとした気分になってきます。

そんな雨のなかのハイキング、次に踏み出そうとするトレイルが、
ぬかるんでいたらどうしますか?
そのまま、水溜りの中へ一歩足を踏み入れますか?
靴が濡れないようにと、水溜りを避けて、登山道の端へ寄って、
次の足を置くのではないでしょうか?

それはそうでしょう。
濡れた靴下を履いたままで、1日を過ごすのは、どう考えても不快。
水溜りを避けて通れるのであれば、少しでも靴を濡らさないよう、
脇を通りたくなるのは自然な感情です。願わくば、せめて乾いた靴、
乾いた足のままで、歩き続けたい!

でも、ちょっとだけ、その後のことに思いを馳せてほしいのです。
ここを歩く人皆が同じ思いで、脇を通るとどうなるでしょうか。
元から作られたぬかるみのトレイルを避け、30センチだけ右に左に、
道を踏み外して歩く。次に続く人も、またその次の人も。。。

1人に踏まれるだけだったら、むっくり立ち直れる草も、続けて10人に
踏みつづけられたら、もう立ち直れなくなってしまう。10人が歩いた後は、
うっすらと新たな道ができてしまう。
今までより、トレイルの幅が広がってしまうかもしれません。

そう、 靴に水が染み込むのを避けるため、水溜りを避けて横に踏み出した
その1歩は、山道へのダメージにつながる可能性がある1歩なのです。
自然環境へ与える負荷を最小限にしようと思った時、
ぬかるんだ道は「そのまままっすぐ、足を踏み入れて歩く」が、
自然を守りたいなら、出すべき答え。

この考え方を学んだのは、アメリカの野外教育学校でした。私は昔、
アラスカでバックパッキングのクラスを受講しています。机上でなく、
現場で起こることが全てのこの学校では、教室での授業は初日のみ。
2日目には、100リットルの巨大なバックパックを背負い、人の気配のない
原野を数週間旅続けました。地図の読み方も、焚き火のやり方も、
正しいテントの張り方もここで学んだけれど、今思うと、教わっておいて
よかったなと思うのは、「環境に配慮した自然との付き合い方」でした。

Leave No Trace (=足跡を残さない)という指針に乗っ取った行動、
考え方を叩き込まれてたことでした。
たとえば、うっかりゴミを落とさないよう、おやつの小袋は予め家で取りはずし、
大きなジップロックにまとめておく、とか、
たとえば、森の中にいる野生動物に配慮し、グリズリーを驚かせないよう、
常に4人1組になって、声を出しながら歩くように、とか。

人は大自然にお邪魔する小さな存在、歩いた足跡をそこに残して、
微妙なバランスの上に成り立っている自然の秩序を壊すようなことが
あってはならないという考え方に基づいた行動指針を示してくれる
Leave No Trace。

Leave No Trace は、7つの大きな柱によって成り立っています。
「しっかりと計画して準備する」「野生動物を尊重しよう」
「他者のことも考えよう」といった柱の中のひとつに、
Travel & Camp on Durable Surfaces」=負荷の少ない場所を歩こう、
という項目があります。

歩いている場所のダメージを最小限にとどめること。
そのため、決められた登山道がある場所では、その道の上を歩くこと。
ジグザグ道のショートカットはすべきではないし、
ぬかるんだ道であっても、横を通らず、道の真ん中を歩いた方がいい。
今ついている道を、むやみに広げないように。

さて、今年の秋、毎日雨が降り続いた週がありました。海外から2週間の
日本ハイキングの旅にやってきたお客様をご案内していたので、
予定はすべて決まっており、「雨だから今日は中止」など、安易に日程を
変えることもできません。雨が続くハイキング4日目は、長野県の
霧ヶ峰高原を歩く日でした。湿原一帯には、きれいな木道が整備されて
いたのでよかったのですが、湿原にたどり着くまでのゆるやかな丘陵地帯は、
笹藪の中のトレイルが、すでに川のようになっていました。ぬかるみに
なるのは、毎度のことなのでしょう。草原の一本道は、すでに、二重、三重に
広がって、石や土が露出した裸地のように荒れている場所もありました。

私が川の真ん中を、足を水に浸して歩く姿を不思議に思ったゲストが、
休憩時間に聞いてきます。
「水の中歩くの楽しいの?」

ここは学校ではない、楽しみにいらしているゲストである方々に無理強いは
したくないので、何も言わずにいたけれど、私の背中を見て、気づいて
くれた方がいる。嬉しくて、Leave No Trace の考え方に沿って
私は水の中をまっすぐ進むのだ、と伝えてみました。でも、安全が第一だし、
皆さんが無理に水溜りを歩く必要はない、こういう考え方があるのだと
いうことを伝えられただけで嬉しいんですよ、と付け加えて。

すると、休憩時間の後、後ろから、ちゃぷん、ちゃぷん、と、水たまりに
入っていく音が複数聞こえてくるではないですか。
まあ、雨が降りすぎていて、すでに全身水浸しということもありましたが、
ぬかるみを避けずに歩き始めたメンバー。私は嬉しくなって、
大声で「雨雨降れ降れ母さんが~ ぴっちぴっちじゃぶじゃぶ♫」と
歌いながら、歩き続けました。

ぬかるみは、避けずにそのまま歩いていこう。
動物愛護とはかなりずれてしまうこの話を、この場で書くべきなのかどうか
一瞬迷ったのですが。。。
この美しい地球を、自然を守るためにできること、そのためのちょっとした
自分の行動が、誰かに伝わって、その輪が広がっていく嬉しさと心強さを
共有したく、今回の話題として取り上げてみました。

<写真、文 青崎涼子>

参考
Leave No Trace Principle2
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/gxrx5667/17dyafo228gm/imdvi6zs/
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/gxrx5667/didwcoelpsck/imdvi6zs/

*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—* 

あなたのご寄付が、地球を守ります。
知ることは、アクションの始まりです❣
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/gxrx5667/inc178f1duap/imdvi6zs/

毎月のご寄付へすでにご参加いただいているにもかかわらず、
再度のご案内となりました場合は失礼をご容赦ください。

※金額変更はこちらのフォームからお申し込みください。

*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*

最近の投稿
  • 【ちきゅう部だより】第14回 コンゴの水産物-消費と保全-
  • 【ちきゅう部だより】第13回 コンゴのジェンダー問題 -国際女性デーにちなんで-
  • 【ちきゅう部だより】第12回 コンゴのツーリズム事情
  • 【ちきゅう部だより】第11回 コンゴでの暮らし(2) -特殊な医療事情-