猫の脳、虫の脳、ヒトの脳。ネオニコチノイドのはなし。

こんにちは
どうぶつ基金事務局です。

ネオニコチノイド、という言葉を聞いたことがありますか?
実は殺虫剤の成分の種類で多くの製品で幅広く使用されています。

しかしながら、近年、生きものに悪影響があるのではないか、
ということがいわれています。

それはいったいどういうものなのか?
マエキタミヤコさんからのお話です。
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「猫の脳、虫の脳、ヒトの脳。ネオニコチノイドのはなし。」

いのちは不思議です。
からだが小さくて、手も足も動き方も違うのに、
虫の脳に効く薬は、猫の脳にも、人間の脳にも、効いてしまう。

意外でしょうけれど、ざっくり言うと、あんなにちっちゃくても、
虫の脳の仕組みと機能は、猫やヒトの脳とほぼ同じなのだそう。

でもニンゲンは最初は、そんなことあるはずない、と思って、殺虫剤を
作って、売ってしまう。買って、使って、便利だなと思ってしまう。
そのあとから、調べる人、見つける人や発表する人が現れてしまう。
売っていた人と便利に使っていた人は邪魔されたと思って怒ってしまう。

なんのことをいっているのかというと、猫のノミ取りに使われる殺虫剤のことです。
新農薬とも称される、ネオニコチノイド系殺虫剤のことです。
無味無臭で、神経を阻害します。
殺虫剤、農薬、消毒薬、いろいろな呼び名があります。

ノミ取り剤って、ほんと、便利ですよね。
猫の首の後ろに一滴、垂らしただけで、猫の血に入り、その血を吸った
ノミが死んでしまうのです。
あんまり強烈だから、私、動物病院で聞いてみたんです。
のみが吸ったら死んでしまうほどの毒が血に入るのに、なんで猫は大丈夫
なんですか、と。そうしたら、のみは小さいですよね、猫は大きいから
大丈夫なんです、と答えてくれました。

でも、でも、ニンゲンの脳の組織や神経細胞、影響を受ける受容体の
小ささは虫に負けず劣らず小さい、ですよね。猫の皮膚から吸収される
化学物質も、とっても小さい。のみの脳神経、猫の脳神経、ニンゲンの
脳神経も小さい。のみ本体、猫本体、ニンゲン本体の大きさの比較は、
あんまり参考にならない世界なんじゃないかなー、と思うんです。

虫に効くものは、ヒトにも効いてしまうんです。

たった一滴でノミがすぐに全滅するのに、せっかく便利なのに、
猫やヒトの脳まで危ないよ、と言われると、じゃあどうすればいいのよ、
せっかく便利だったのに、と言いたくなる気持ちは、わかります。
それでも、虫の脳をイカれさせてしまう薬は、猫にも人間にも効いてしまう
という科学的事実。これが世界では、今とても問題になっています。

最初はミツバチがいなくなる、と話題になりました。神経がやられ、
帰巣本能が壊れ、命を失うことがわかりました。でもミツバチだけでは
ありませんでした。虫も、プランクトンも、魚も、カエルも、ヘビも、
トンボも、鳥も、哺乳類も、神経がやられることが徐々にわかってきました。

子どもの発達障害の多さにも影響を与えているんじゃないかという
お医者さんも出てきました。
日本では殺虫剤の出荷量が増えたことと発達障害の子どもの数が増えた
ことに相関関係があるという研究者も出てきました。
危険だという人は増えましたが、商品の種類や置いてある棚はますます
増えました。ペットののみとりだけでなく、ゴキブリ退治の薬、カメムシ駆除、
スズメバチ駆除、シロアリ駆除、クモ、ムカデ、毛虫、
ガーデニング用の殺虫剤など、次々と開発されていきました。

ネオニコチノイド系殺虫剤の日本での出荷量は約450トン。
農薬や殺虫剤をまいている全国の水道水とニンゲンの尿からも
ネオニコチノイドが検出されるようになっています。

日本国内では論文の発表数や研究数はとても多く、先行しています。
いっぽう、その日本の論文を引用して、危ないから使うのは控えよう、
やめよう、と制限を議会が決定しているのは外国が先行していて、
日本は遅れています。
日本の議会では、この問題に関する議論はまだ始まっていません。
ということは、ネオニコチノイドは議会にも効いてしまっているのかな。

猫の脳の健康のためには、のみとりも、石鹸で洗って水で流してあげる
ほうがいいのかもしれません。ひっかかないでね、嫌がらないでね、
あなたの脳の健康のためなんだからね、という話を、ちゃんとウチの猫が
聞いてくれるといいんだけどなあ。

文責 マエキタミヤコ

参考資料
埼玉県環境科学国際センター
「ネオニコチノイド系殺虫剤」って何ですか?掲載日:2020年12月12日
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/gxrx5667/p4gs70q7c0kx/imdvi6zs/

Webナショジオ
ネオニコチノイド系殺虫剤を使い始めた1993年に起きたこと
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/gxrx5667/f0r8puwyelfr/imdvi6zs/

産総研
ウナギやワカサギの減少の一因として殺虫剤が浮上
-島根県の宍道湖でネオニコチノイド使用開始と同時にウナギ漁獲量が激減-https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20191101/pr20191101.html

一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト
ネオニコチノイド系農薬全国出荷量
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/gxrx5667/g0czpxkmesy1/imdvi6zs/

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