死亡した奄美の猫No.50(みきちゃん)について

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「世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!」

不妊手術事故で死亡した奄美の猫「みきちゃん」に関しての事実

はじめに

猫の「みきちゃん」は「森にいた」というだけの理由でアマミノクロウサギを絶滅させるノネコとして捕獲され、Aさんのような引き取り手がなければ殺処分されていました。私たちは、改めて奄美ノネコ3000頭殺処分計画に反対の意思を表明するとともに、ここにみきちゃんのご冥福を祈ります。

合掌

現在ネット上で、奄美大島で環境省によって捕獲され不妊手術事故で死亡したネコ「みきちゃん」に関して、様々な憶測が流布され、みきちゃんの飼い主になった譲渡認定者のAさんを批判する嫌がらせの文章が散見されます。

譲渡認定者のAさんは、捕獲後1週間で殺処分されるノネコを救うために奄美大島に出向き講習会を受け、東京の自宅でみきちゃんを家族として迎えようと心待ちにしていました。 島外の全ての譲渡希望者がそうであるようにAさんも「奄美のノネコ」を殺されたくないという思いから立ち上がってくれたボランティアです。

新しい家族を失い、深い悲しみの中にあるAさんや、他の譲渡希望者のことを痛烈に批判する卑劣な攻撃にピリオドを打つためにも、これまで起こってきた事実を記します。

  • どうぶつ基金では、これまで再三にわたり、 奄美大島ねこ対策協議会に譲渡対象猫の不妊去勢手術を譲渡引き受け者側の希望する獣医に執刀させるよう要求してきました。しかし行政側はこれを拒否してきました。
  • 譲渡認定者の希望する獣医師に手術させてほしいと要求した理由は、プロフィールや手術実績も公開されていない見ず知らずの執刀獣医師のスキルに対しても不安があったということ。あまみのさくらねこ病院やほかのボランティア団体の信頼できるエキスパートによる無料手術を受けさせることができれば譲渡認定者も安心できるし、行政の費用(税金)負担軽減に寄与できると考えたからです。
  • 以上のような状況の中で今回の死亡事故は起きました。
  • そこで、譲渡希望者は病理解剖のための遺体の引き渡しを求めましたが拒否されました。
  • そして遺体の代わりに送られてきた死亡診断書と遺体の写真は以下の通りです。
不妊手術後に死亡したみきちゃん
奄美ノネコ(みきちゃん)診断書

猫不妊手術のエキスパート獣医の見解 引き渡しを拒否されたため解剖による判断はかないませんでしたが、診断書と写真から判断した獣医師3名の見解は以下の通りです。

山口武雄 獣医

  1. これまで数万頭のネコの不妊手術をして来たが、この写真の様に内臓が飛び出して亡くなるような事故は一度もない。
  2. 内臓があれだけ飛び出すという事は、相当大きくお腹を切ったと考えられる。通常、不妊手術であれば、お腹の傷は小さくて済むはずで、おそらく手術の際、間違ってじん帯を切るなどのアクシデントが起き、それを縫合する為に傷を大きく開かざるを得なかったと推測される。
  3. この事故は技術的なものであると推測されるが、執刀獣医が病理解剖もせずに死因を猫(みきちゃん)が傷を噛み切ったための出血としている点は、獣医師として、違和感と嫌悪感を覚えざる負えない。

斉藤朋子 獣医師

死亡した猫(みきちゃん)は4ヶ月くらいの幼齢猫です。写真のみからの判断になりますが、この大きさのメス猫で妊娠している可能性は低く、堕胎処置ではなく、通常の不妊手術が行われたと思います。

私はこれまでに約16000件の野良猫の不妊去勢手術を行い、術後はエリザベスカラーをしない術式を採用してきましたが、幼齢であろうと妊娠雌猫であろうと、写真のように傷口を嚙み切り内臓を出して翌日に死亡する症例経験はありません。

死亡に至るまでに猫(みきちゃん)は大きな苦痛を伴ったことは明白です。

術後にエリザベスカラーや腹帯を使用しない方法を取るのであれば、傷口の大きさ、使用した糸、縫合方法に問題はなかったか、術後管理に問題はなかったか、検証すべき点があると考えますが、診断書にはまったくその点の記載がないため、より丁寧な説明を、死亡した猫を譲渡されるはずだったにAさんにすべきであると思います。


足立萌美 獣医師

「写真と診断書の内容が乏しくAさんや他のノネコ譲渡支援者が納得できるものではないため、もう少し詳しい説明とAさんをはじめとする支援者への気遣いをお願いします。

Aさんが認定者になるまでの書類や迎え入れる環境の準備、何よりノネコの殺処分を防ぎたいという気持ちの上で譲渡を希望されたのに対し、十分な説明もないまま死亡診断書と写真を送るという対応には違和感を感じます。


神坂由紀子 獣医師

亡くなった猫(みきちゃん)の遺体の写真と診断書の説明を見た時に、違和感を感じました。 このような事故が、本当に起きるのだろうか? 咬みちぎって傷が開いてしまっての大出血ならば、口や手、身体の被毛がこんなにきれいなはずがない。 術中の事故だったのではと思われます。 当院開業以来、飼い猫や保護猫、TNRの猫の避妊手術で、このような事故は、一件もありません。 4か月齢くらいの猫の避妊手術で、ここまで大きな術創になっていることも、術中に事故があったのではと思われます。 もしこの事故が、執刀獣医の言うように、咬みちぎってなのであったなら、術後の管理がずさんであるということである。 エリザベスカラーや腹帯の装着をせずに、一晩置いて帰った事に問題があるのではないかと思わざるおえない。 当院は、基本的にはエリザベスカラーや腹帯の装着はしない術創の小さな手術であるが、あれほどの術創の大きな手術の子には、エリザベスカラーの装着は、必須である。 譲渡希望者Aさんが、病理解剖のための遺体の返却をお願いしたのに、それが断られた事に感してもさらに疑問が生じました。


ノネコNo.50(みきちゃん)の処遇(経緯)

5月15日(水) :奄美大島ねこ対策協議会(以下、ねこ対協)から申請者への定期報告で収容の連絡を受け、No.50の引き取りを申し出る。ねこ対協から引き取りについての承認が下りる。

5月17日(金)  :  No.50  のマッチングが終了したとの連絡。手術の日程を調整するので、希望する検査があるかどうか問い合わせを受ける。

5月20日(月)   :   避妊手術の他は基本の血液検査、駆虫、検便、爪切り、耳掃除などを依頼。

5月23日(木)  :  No.50の猫の避妊手術

5月24日(金)   :  朝、ねこ対協Bさんから電話があり、No.50の猫が避妊手術後、傷口を喰いちぎって出血多量で亡くなったと言われる。納得が行かなかったので、遺体を東京に搬送するよう に依頼。それが出来ない場合は、傷口の写真となぜエリザベスカラーの装着が行われなかったのか、またどのような経緯で死に至ったのか、担当医による経緯の説明を求める。

5月27日(月)   :  ねこ対協Bさんから遺体は送れないとの返信メールに、遺体の写真と診断書が添付され送られて来た。遺骨のみ送ってもらうよう依頼。

5月30日(木)  :   SNS等での情報発信の際、検査結果等の資料を掲載する場合は、発行元に関して黒塗りをするなどの配慮を求めるメールが申請者全員に送られてくる。

6月5日(水)   :  遺骨を発送したとのメールを受け取る。

6月6日(木)   :   齋藤朋子獣医師よりねこ対協へ今回の事故を受け、島外での手術を受けることを可能とする要望が送られるが、検討した結果、認められないとの知らせを後日受け取る。

6月7日(金)   :  宅急便で遺骨を受け取る。

7月11日(木)  :  新たに引き取りを申請したNo.78の手術について島外での手術を求めるメールを送付する。

8月1日(木):奄美大島ねこ対策協議会よりNo.78の島外での手術、マイクロチップ装着を認める回答がメールで届く。ただし、費用は認定者負担とする。譲渡要領の改訂は後日となる。

 


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