朝日新聞社へお送りした公開質問状の回答書をアップしました。

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「世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!」

朝日新聞社に公開質問状を送りました。

朝日新聞デジタル版「論座」に掲載されました、朝日新聞科学医療部記者・小坪遊さんの文章「野生ネコがもたらす害と人間の責任を考える:奄美大島で始まった『ノネコ管理計画』へのイチャモンに異議あり」に関しまして、4月30日に朝日新聞社長に公開質問状を送りました。

こちらの文章は『週刊文春』4月18日号に掲載された「奄美大島『世界遺産』ほしさに猫3千匹殺処分計画」を「イチャモン」と表現した上で、「事実誤認がある」「的外れだと思う」と一方的に断言しています。

環境省はこれまで、アマミノクロウサギの奄美大島での推定生息数について、2003年度時点で2,000~4,800頭としてきました。どうぶつ基金や他の非営利団体からの質問に対しては、 2003年と同様の調査は2003年以降行っていない(理由は莫大な費用と時間がかかる)ので推定生息数のデータはないと回答してきました。

しかし、実際には2003年の調査よりさらに綿密な調査を2015年に行っており、環境省は2015年時点での推定生息数16,580~39,780頭を把握していた事が朝日新聞の太田記者によりスクープされました。(「環境省が隠していた真実」、その前に立ちはだかる厚い壁に風穴を開けてくれたのは、朝日新聞社の正義だと心より感謝しています。)

ところが、2018年に策定された今回の管理計画には、2003年の2,000~4,800頭という生息数が用いられており、2015年時点で既に同省が把握していた最新の推定生息数16580~39,780頭は全く配慮されていません。

一方で2003年から2015年の12年間、環境省の奄美大島における「ノネコ捕獲モデル事業」で捕獲した、いわゆるノネコの数が2012年7頭、2013年6頭に過ぎないにもかかわらず、アマミノクロウサギによるタンカンなどの農作物食害も出るほど、クロウサギが激増しているという事実は、猫がアマミノクロウサギの生息にとって全く脅威になっていないことを明証しています。

しかし小坪さんの文章にはこのことへの言及が見られません。これをおそらく意図的に無視することが、「ノネコが生態系に影響を及ぼしている証拠」を提示する際に都合がよいからだと推測せざるを得ません。

そこで、朝日新聞自身がスクープした都合の悪い真実は語らず他者の意見を「イチャモン」として罵倒する理由、意図などについて、朝日新聞社に公開質問状を送りました。

公益財団法人どうぶつ基金 理事長 佐上邦久

以下に、回答書と公開質問状の全文を公開します。

回答書
タイトルなし

 


 

朝日新聞社
代表取締役社長  渡辺 雅隆 様

公益財団法人どうぶつ基金
理事長    佐上 邦久

NPO法人ゴールゼロ
代表       斉藤 朋子

学校法人福岡大学評議員・教授
山﨑 好裕

公開質問状

麗春の候、ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、去る4月22日、朝日新聞デジタル版「論座」に掲載されました、朝日新聞科学医療部記者・小坪遊さんの文章「野生ネコがもたらす害と人間の責任を考える:奄美大島で始まった『ノネコ管理計画』へのイチャモンに異議あり」に関しまして、朝日新聞社様の報道姿勢について申し上げたき儀これあり、お手紙を差し上げる次第です。

こちらの文章は『週刊文春』4月18日号に掲載された「奄美大島『世界遺産』ほしさに猫3千匹殺処分計画」を「イチャモン」と表現した上で、「事実誤認がある」、「的外れだと思う」と一方的に断言しています。

また、今回の管理計画には、御社の太田匡彦記者が3月25日付の記事で明らかにしたデータが反映されておりません。環境省はこれまで、アマミノクロウサギの奄美大島での推定生息数について、2003年度時点で2,000~4,800頭としてきました。しかし、2015年時点で既に環境省が推定生息数16,580~39,780頭と把握していたことが、太田記者の取材により明かされたのです。

小坪さんの文章にはこのことへの言及が見られません。これをおそらく意図的に無視することが、「ノネコが生態系に影響を及ぼしている証拠」を提示する際に都合がよいからだと推測せざるを得ません。

こうした問題点を多く含む小坪さんの文章ですが、小坪さん個人ではなく朝日新聞社様のお名前が出ています。都合の悪い真実は語らず他者の意見を「イチャモン」として罵倒することは、言葉による暴力と言えるのではないでしょうか。

以上の意見を踏まえまして、御社で小坪さんの記事を再確認され、正しくない情報を発信されたと認識される場合は「論座」にお詫び文、もしくは訂正文を公開されることを希望します。

私たちの意見にも関わらず、そのまま掲載をお続けになるようであれば、恐れ入りますが、下記の質問にお答え願います。

  1. 『週刊文春』の記事に「事実誤認がある」と判断される明確な根拠を教えてください。
  2. 御社の太田記者の報道によって明らかになったデータに基づいていない、管理計画が正当なものであると言われる理由を教えてください。

以上、よろしくお願い申し上げます。

なお回答を下記あてに書面またはメールにて送付いただきますようお願い申し上げます。

公益財団法人どうぶつ基金 事務局

 

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「世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!」

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