【奄美大島】猫3,000頭捕獲・殺処分の中止を求める要望書を送付
反対署名10万筆まであと少しです。下記ページよりchangeorg.への署名をお願いします!
「世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!」
環境省はこれまでクロウサギの生息数2,000~4,800頭としてきましたが、朝日新聞の情報公開請求により2015年時点で推定生息数は15,221~39,780頭であったことを認めました。
奄美大島で猫の無料不妊手術専門病院を開設した公益財団法人どうぶつ基金、奄美の猫殺処分反対署名 呼びかけ人 NPO法人ゴールゼロ、福岡大学評議員・教授 山崎好裕氏らは、本日、連名で「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」(2018~2027年度)の即時全面的な見直しと、猫の捕獲・殺処分の中止を求める要望書を環境大臣、財務大臣、鹿児島県知事、奄美5市町村長あてに送りました。
以下要望書全文 PDFはこちら
環境大臣 原田 義昭 様
財務大臣 麻生 太郎 様
鹿児島県知事 三田園 訓 様
奄美5市町村長 各位
公益財団法人どうぶつ基金 理事長 佐上 邦久
NPO法人ゴールゼロ 代表 斉藤 朋子
学校法人福岡大学評議員・教授 山﨑 好裕
「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」(2018~2027年度)の見直しと
猫3,000頭捕獲・殺処分の中止に関する要望書
記
盛春の候、関係各位におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、表題にありますとおり、「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」(2018~2027年度)の即時全面的な見直しと、猫の捕獲・殺処分の中止をご要望申し上げます。
理由は以下の三つです。
第1に、上記管理計画には、「希少種に及ぼすノネコの捕殺影響は甚大なものとなる可能性が高い」、「早急にノネコを生態系から排除する対策を講じなければ、在来生態系に大きな影響を及ぼすものと考えられる」などの判断が散見されますが、これらは科学的調査に照らして妥当性を欠いていることが明らかになりました。
環境省はこれまで、アマミノクロウサギの奄美大島での推定生息数について、2003年度時点で2,000~4,800頭としてきました。今回の管理計画策定には、この生息数が用いられており、2015年時点で既に同省が把握していた推定生息数15,221~39,780頭は全く配慮されていません。
一方で2003年から2015年の12年間、環境省の奄美大島における「ノネコ捕獲モデル事業」で捕獲した、いわゆるノネコの数が2012年7頭、2013年6頭に過ぎないという事実は、猫がアマミノクロウサギの生息にとって全く脅威になっていないことを明証しています。
第2に、全国各地の市区町村において犬猫の殺処分ゼロが謳われている現在、奄美大島で行われようとしている事態はまさに時代趨勢に逆行するものであるということです。動物愛護管理法に言う愛護動物からいわゆるノネコのような無主動物を除外するような解釈を行う者もおりますが、これは全く法理を踏まえない妄論と断ぜざるをえません。
同法に規定された虐待関連犯罪は、他人の財産を犯す財産犯の概念とは無関係であり、全くの無主動物や野生動物でも成立することは法理解の常識であるからです。国民の動物愛護の良き気風を守るという同法の保護法益を明らかに侵害することにつながる措置を、今回の奄美でのことのように行政が推進することはあってはならないことです。
第3に、管理計画に伴う約5億円の国民の税金投入は、全くもって世論の理解を得られないであろうということです。本日発売の『週刊文春』によりますと、管理計画に伴う環境省予算として、2018年度は約3,000万円が、2019年度は4,577万円が計上されているとのことです。
これを9年間継続した場合、約5億円が投じられることになり、財政逼迫の折、使用目的に照らして早晩世論の非難が高まることは避けられないでしょう。
とりわけ、奄美に所在する、かつて、実験用のニホンザルを提供していた株式会社の後身の会社にこれらのお金が流れるということになれば、大きなスキャンダルになることは間違いありません。
同じ金額を投じるのであれば、住民、国民が総じて肯える希少種保護の施策のために使うべきです。
以上、関係各位の賢明なご判断を心より期待するものです。なお、環境大臣におかれましては、本件に関する何らかのご回答を下記あてに文章にて頂戴できればたいへん幸甚に存じます。
公益財団法人どうぶつ基金
理事長 佐上邦久 あて
659-0004 兵庫県芦屋市奥池南町71-7
contact@doubutukikin.or.jp.doubutukikin.conohawing.com
以下、環境省より回答を掲載します。(2019年6月10日回答)
※要望書への回答書はメールでいただいております。
公益財団法人どうぶつ基金
理事長 佐上邦久 様
時下、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。また、平素より、環境行政に対しご理解を賜り、誠にありがとうございます。
さて、平成31年4月11日付でお送りいただいた標記の要望書について、記載の理由3点に対し、以下のとおり回答いたします。
第1の理由について
奄美大島のアマミノクロウサギの生息数は、2002~2003年に研究者が広域に人員を配置して計測した結果、2000~4800頭(糞粒数を用いた方法)と推定されました。その後、環境省はアマミノクロウサギの生息の状況をセンサーカメラや糞粒調査により把握しており、マングース対策等の進展により、生息数は増加傾向を続けていることを把握しています。
また、環境省は2015年および2016年にも奄美大島における生息数推定のための試算を行いましたが、推定値はまだ十分に信頼性が高くないと考えられ、混乱を避けるため一般には公表しておらず公式には使用していません。推定された生息数は下のとおりですが、上限値で見た場合には過大評価である可能性が専門家から指摘されており、また、推定結果も上限と下限の推定幅が大きく、今後より一層、推定の精度を高めることが必要な状況です。
・状態空間モデルを用いた方法 2015年:16,580-39,780頭
・糞粒数を用いた方法 2015年:15,221-19,202頭
2016年:6,517-8,221頭
上記のように、解析方法によっても差が大きく、年ごとの差も大きい(もしこの数値が正しいならば、2015年から2016年のわずか1年でアマミノクロウサギの生息数が半数以下になっていることになります)という結果になっています。環境省としては、今後、専門家とも相談しつつ生息数の精度を高める検討を進めて個体数を推定し、一定程度信頼できると判断された段階で公表したいと考えています。
なお、「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」はアマミノクロウサギだけの保護を目的としたものではなく、奄美大島固有の貴重な生態系全体の保全を目的としています。糞分析や自動撮影カメラなどによる調査にて、アマミノクロウサギだけでなく、ケナガネズミやアマミトゲネズミ、固有の鳥類や爬虫類などの希少種が数多く捕食されていることが確認されています。
アマミノクロウサギについては、マングースの防除事業などの効果もあり生息数が増加傾向にあるようですが、その他の希少種に対してもノネコの影響は少なくありません。ノネコの糞分析によりケナガネズミ(出現頻度43%)やトゲネズミ(38%)が検出されたという研究結果もあり、ノネコの捕食による在来生態系への悪影響が確実に存在することから、継続して管理計画を実施する必要があると考えています。
第2の理由について
動物の適正な取扱い等により、動物を愛護する気風を育むことが重要であることと同時に、南西諸島の貴重な自然、とりわけ奄美大島の固有の生態系の保全を図っていくことが重要と考えます。ノネコ管理計画は、かけがえのない奄美大島の生態系と、それを構成するすべての在来野生動植物を守るために行っているものです。
動物愛護管理法の条文にあるとおり、「動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにする」との基本原則の趣旨を踏まえ、引き続き、関係するすべての機関で協力しながら取り組んでまいります。
第3の理由について
ノネコ対策事業に立てられた平成30年度(30,183千円)、平成31年度(45,772千円)予算については事実です。しかし、今後の予算規模については、対策の状況に応じて変わるものであり、「10年間で5億」というような計画は立てておりません。
ノネコ捕獲事業の請負先業者(株式会社奄美自然環境研究センター)は、過去に実験用ニホンザルを提供していたことはありません。株式会社奄美野生動物研究所と奄美自然環境研究センターとの組織的な関係性はなく、「実験用のニホンザルを提供していた株式会社の後身の会社にこれらのお金が流れる」という事実はありません。
以上、返送が遅くなってしまい大変恐縮ですが、要望書に対する回答とさせていただきます。
環境省 自然環境局 野生生物課 希少種保全推進室
奄美生まれ奄美育ちの荒田さんは、クロウサギウオッチングのナイトツアーを27年前から行っています。
生活をかけて27年間、毎晩のようにクロウサギを求めて山に入っている人のお話は、誰よりも説得力がありました。
インタビュー:2018年10月23日20時ごろ、奄美ネイチャーコムにて※参照
週刊文春 奄美大島「世界遺産」ほしさに猫3000匹殺処分計画(ジャーナリスト・笹井恵里子)より抜粋
豊かな森が魅力の奄美大島。ここで始まった「ノネコ管理計画」は、希少動物を守るため、森に棲む猫の“完全排除”を目指している。だが、実態を取材すると、計画の根拠は杜撰な調査に基づいており、さらに世界遺産登録を目論む自治体、環境省の思惑も見えてきた。
クロウサギが増えた理由は、かつて人が野に放って莫大に増えたマングースの駆除が進んだためという見方が強い。補足すると奄美大島におけるマングース対策の環境省予算は二〇一八年度が二億五百万円。一八年度の捕獲数は一匹で、過去最低を記録した。「そろそろマングース駆除事業も終了か」という風向きの中で、「ノネコ管理計画」はスタートしている。
クロウサギの現在の生息数が調査されない一方で、あふれるほどいるはずのノネコは、なかなか捕獲できない。捕獲総数は、月間三十匹、年間三百匹と掲げられた目標数を大幅に下回り、一八年度は四十三匹だ。
「ノネコはそんなにいないのではないか」と、公益財団法人どうぶつ基金理事長の佐上邦久氏が指摘する。
「行政が推定するほどの数はいないでしょう。しかも猫は千年も前からこの地にいたんです。もちろんウサギを捕まえて食べることもあったでしょうが、希少種を絶滅させるほどの捕食をしているとは思えません」
続きは下記から
https://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun/blomaga/ar1750833
- 朝日新聞 2019年3月25日 太田匡彦
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