「アマミノクロウサギ増えすぎて食害深刻」報道を受けて――どうぶつ基金の見解

2025年10月4日付の 奄美新聞 で、
アマミノクロウサギによる農作物被害の拡大が報じられました。

確かに、クロウサギが増え、タンカンなどの食害が深刻化していることは現実です。

一方で、行政は「猫を駆除したからクロウサギが増えた」と説明していますが、
この主張には科学的根拠がありません。

私たち どうぶつ基金 の分析によれば、
クロウサギは何の対策も行われていなかった時期から毎年13~14%の自然増を
示しており、猫の駆除を始めた後もその増加率に変化はありません。

さらに、マングースが存在する奄美大島と、
もともとマングースが生息していなかった徳之島を比較しても、クロウサギの増加率はほぼ同じです。

このことから、マングースの駆除が決定的に効果をもたらしたとも言い難く、
同様に猫の駆除による成果も確認されていません。
(詳細は どうぶつ基金プレスリリース「奄美大島の猫駆除の科学的根拠を問う」 を参照)

むしろ、かつてクロウサギを貴重なたんぱく源として
狩猟していた人々がその習慣をやめたことが、個体数回復の主要な要因と考えられます。

クロウサギが増えること自体は喜ばしいことです。
しかし、総額数億円もの公費を投じて猫の駆除を続けるよりも、
その予算を被害防止柵の設置や農家支援など、食害対策に振り向けるべきです。

どうぶつ基金は、根拠の乏しい駆除政策の即時中止と、科学的で人道的な保全施策への転換を強く求めます。

奄美新聞記事(2025年10月4日)
https://amamishimbun.co.jp/2025/10/04/58411/

どうぶつ基金公式ページ(寄付・声明)
https://www.doubutukikin.or.jp/contribution6/

どうぶつ基金プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000033795.html

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