動物愛護管理法の改正 概要をわかりやすく解説

動物の愛護及び管理に関する法律
法律の概要 環境省ホームページ
法律の全文 e-Gov

愛護動物を虐待したり捨てる(遺棄する)ことは犯罪です。違反すると、懲役や罰金に処せられます。

動物愛護法
  • 愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者
    →5年以下の懲役または500万円以下の罰金
  • 愛護動物に対し、みだりにえさや水を与えずに衰弱させるなど虐待を行った者
    →1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 愛護動物を遺棄した者
    →1年以下の懲役または100万円以下の罰金

愛護動物とは人に飼われている「哺乳類、鳥類、爬虫類に属する動物」および、飼い主の有無にかかわらない全ての「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる」

動物虐待の定義が明文化 ネグレクト(放置)は虐待です。

環境省が動物愛護法44条2の動物虐待の定義について、通知を出しました。
ネグレクト(放置)が明文化され、いままで、あいまいだった虐待の定義が一つはっきりしました。
まだまだ、付け加えが必要な個所があると思いますが、一歩前進です。
餌も水も与えず、飢え死にした動物を目の前にして、今までは虐待の定義がないという理由で立件できないと警察や地方行政が言っていましたが、今後は、立件できるのです。
ざる法とされた動物愛護法の穴が一つ埋められました。


動物虐待を見つけたら下記文書を添えて、警察等に連絡しましょう。
(末端の地方行政まで周知されていないのが実情です。)

飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例)について

環自総発第100205002号

平成 22年 2月 5日

環境省自然環境局総務課長から各都道府県・指定都市

(動物虐待を見つけた時は上記文書を添えて警察等に連絡しましょう。末端の地方行政まで周知されていないのが実情です。)

動物の虐待の考え方

積極的(意図的)虐待

やってはいけない行為を行う・行わせる

・殴る ・蹴る ・熱湯をかける ・動物を闘わせる等、身体に外傷が生じる又は生じる恐れのある行為 ・暴力を加える ・心理的抑圧、恐怖を与える ・酷使など

ネグレクト

やらなければならない行為をやらない

・健康管理をしないで放置 ・病気を放置世話をしないで放置など
動物自身の心身の状態・置かれている環境の状態によって判断される。

飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例)について

1 . 一般家庭

  • 餌が十分でなく栄養不良で骨が浮き上がって見えるほど痩せている(病気の場合は獣医師の治療を受けているか。高齢の場合はそれなりの世話が出来ているか。)。
  • 餌を数日入れ替えず、餌が腐っていたり、固まっていたりして、食べることができる状態ではない。
  • 器が汚く、水入れには藻がついている。あるいは、水入れがなく、いつでも新鮮な水を飲むことができない(獣医療上制限されているときを除く)。
  • 長毛種の犬猫が手入れをされず、生活に支障が出るほど毛玉に覆われている。
  • 爪が異常に伸びたまま放置されている。
  • (繋ぎっぱなしで散歩にも連れて行かず、)犬の糞が犬の周りに何日分もたまり、糞尿の悪臭がする。
  • 外飼いで鎖につながれるなど行動が制限され、かつ寒暑風雨雪等の厳しい天候から身を守る場所が確保できない様な状況で飼育されている。
  • 狭いケージに閉じ込めっぱなしである。
  • 飼育環境が不衛生。常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、アンモニア臭などの悪臭がする。
  • 病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
  • リードが短すぎて、身体を横たえることができない。
  • 首輪がきつすぎてノドが締めつけられている。
  • しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我をさせたりする。
  • 事故等ではなく、人為的に与えられたと思われる傷が絶えない。

2 . 動物取扱業者等

  • ケージが狭く、動物の排泄物と食餌が混在した状態で放置されている。動物が排泄物の上に寝ている。
  • 常時水を置いていない。あるいは、水入れはあるが中に藻が付いていたりして不潔である。
  • 幼齢にもかかわらず、食餌を適切な回数与えず(例えば朝晩の2回のみ等)、また、それで問題ないと説明している。
  • 糞尿が堆積していたり、食餌の残渣が散らかっていたりして、清掃が行き届かず、建物内、ケージから悪臭がする。
  • 動物の体が著しく汚れている。
  • 病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
  • 飼育環境が飼育している動物に適していない(温度・湿度の調整も含む)。例えば、西日が当たるなど建物内の温度が上昇した場合、あるいは、その逆で、冬季に低温となった場合に対応しない。
  • 多頭飼育で、飼育環境が不衛生。常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、悪臭がする。
  • ケージ内で動物を過密に飼育している。
  • 店内の大音量の音楽、または過度の照明にさらされることにより動物が休息できない。
  • しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我をさせたりする。
  • 体調不良、不健康な動物をふれあいや散歩体験等に使用する。
  • 出産後、十分な期間(離乳し母体が回復するまでの間)を経ずに、また繁殖させる。
法律の概要
(1)基本原則

すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。

(2)動物愛護週間

広く国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるため、毎年9月20日から26日までを動物愛護週間とし、国及び地方公共団体ではその趣旨にふさわしい行事を実施しています。

動物愛護週間

(3)動物の飼い主等の責任

動物の飼い主は、動物の種類や習性等に応じて、動物の健康と安全を確保するように努め、動物が人の生命等に害を加えたり、迷惑を及ぼすことのないように努めなければなりません。また、みだりに繁殖することを防止するために不妊去勢手術等を行うこと、動物による感染症について正しい知識を持ち感染症の予防のために必要な注意を払うこと、動物が自分の所有であることを明らかにするための措置を講ずること等に努めなければなりません。なお、動物の所有情報を明らかにするためにマイクロチップなどによる所有明示を推進しています。なお、令和元年6月に改正された動物愛護管理法において、販売される犬及び猫に対し、マイクロチップの装着、所有者情報の登録等が義務化されました。この規定の施行は令和4年6月までとされています。

飼い主の方およびこれからペットを飼う方へ

(4)動物の飼養及び保管等に関するガイドライン

家庭動物、展示動物、畜産動物、実験動物のそれぞれについて、動物の健康と安全を確保するとともに動物による人への危害や迷惑を防止するための飼養及び保管等に関する基準を定めています。また、動物を科学的利用に供する場合は、いわゆる「3Rの原則(苦痛の軽減等)」等に配慮するように努めなければなりません。また、実験動物を利用する際には苦痛の軽減、動物に代わり得るものの利用、数の少数化などの基準を定めています。

動物の飼養及び保管に関する基準等

(5)動物取扱業者の規制

第一種動物取扱業者(動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者)は、動物の適正な取扱いを確保するための基準等を満たしたうえで、都道府県知事又は政令指定都市の長の登録を受けなければなりません。登録を受けた動物取扱業者には、動物取扱責任者の選任及び都道府県知事等が行う研修会の受講が義務づけられています。また、都道府県知事又は政令指定都市の長は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告や命令を行うことができ、必要がある場合には立入検査をすることができます。悪質な業者は、登録を拒否されたり、登録の取消や業務の停止命令を受けることがあります。

また、飼養施設を設置して営利を目的とせず一定数以上の動物の取扱いを行う場合については、第二種動物取扱業者(動物の譲渡し、保管、貸出、訓練、展示を非営利で業として行う者)として、都道府県知事や政令指定都市の長に届け出なければなりません。

第一種動物取扱業者の規制

第二種動物取扱業者の規制

(6)周辺の生活環境の保全

多数に限らず1頭の動物を飼うことによっても、不適正な飼養により、周辺の生活環境が損なわれている事態が生じていると認められる場合、都道府県知事又は政令指定都市の長は、その事態を生じさせている者(飼い主等)に対して必要な措置をとるように指導、助言、勧告や命令等を行うことができます。

(7)危険な動物の飼養規制

国が定めた危険な動物とその交雑種は令和2年6月1日から愛玩の目的での飼養ができなくなりましたが、動物園や試験研究等で飼う場合は、法律に基づき都道府県知事又は政令指定都市の長の許可を受ける必要があり、動物が脱出できない構造の飼養施設を設けるなどして、事故防止を図らなければなりません。また、飼うにあたってはマイクロチップなどによる個体識別措置が義務づけられています。

特定(危険)動物の飼育規制

(8)犬及び猫の引取り等

都道府県、政令指定都市又は中核市は、犬及び猫の引取りを行うとともに、道路、公園、広場、その他の公共の場所において発見された負傷動物等の収容を行います。

犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況

動物愛護管理行政事務提要

(9)基本指針と推進計画

動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するため、環境大臣が基本指針を、都道府県は推進計画を定めます。

動物愛護管理基本指針

ペットの災害対策

(10)動物愛護推進員と協議会

都道府県知事等は動物の愛護と適正な飼養を推進するため、動物愛護推進員を委嘱するとともに、動物愛護推進員の活動を支援するため協議会を組織することができます。

(11)罰則

愛護動物 をみだりに殺し又は傷つけた場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されます。また、愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処され、遺棄した者も、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

*愛護動物とは
1 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2 その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

虐待・遺棄の禁止