【さくらねこ便り】今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?③

こんにちは、どうぶつ基金事務局です。

どうぶつ基金が連名しているオンライン署名、
「大阪市の街ねこ事業(地域猫活動)の条件である自治会長の 「合意書への署名」というハードルをなくしてください」
は多くの皆様にご指示をいただき、署名数15,000筆も目前となりました。

1月17日には、署名発起人の大阪さくらねこの会・代表原田玲子様をはじめ、
参議院議員・串田誠一氏、大阪市議会議員・杉田忠裕氏、弁護士・細川敦史氏、
そしてどうぶつ基金理事長(佐上邦久)と役員が参加し、
大阪市との団体協議が行われました。


2024年1月17日 団体協議の様子

協議の場にはテレビ局の取材が入り、
協議前後に複数のメディアから取材を受けるなど
注目度の高さを実感しました。

団体協議を通してあらためて分かったのは、
大阪市が主張する「自治会長の合意書」の必要性の根拠の脆弱さ…
引き続き、自治会長の合意書への署名撤廃を要望してまいります。

※団体協議の詳細は以下をご一読ください。
「大阪市と団体協議をしました」(署名ページお知らせ)

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このオンライン署名に賛同されている「特定非営利活動法人ねこだすけ」の理事長、
工藤久美子さんに「地域猫活動」がどういうものかをお伺いする
『今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?』シリーズ。

本日は第三弾をお届けします。


「特定非営利活動法人ねこだすけ」工藤久美子理事長

第三弾となる今回は「地域猫活動の法令の根拠」についてです。
ぜひご一読ください!
(本記事は、上記署名サイトに寄稿されたものを許可を得て転載しています)

以下より第一弾、第二弾をお読みいただけます。
第一弾:【さくらねこ便り】今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?①
第二弾:【さくらねこ便り】今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?②

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地域猫セミナーの講師として「地域猫活動」の普及啓発にも
ご尽力されている工藤さんに地域猫活動の法令の根拠について
解説していただきました。

Q.基本指針とは何ですか?

A.基本指針は、環境省の自治体向けの告示です。
法に準じるものであり、動物愛護管理法の規定に基づき策定され、
地方自治体の施策執行の根拠となります。
正式には
「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」
といいます。2006年に策定され、2020年に最終改訂されました。

Q.ガイドラインとは何ですか?

A.ガイドラインは言わば、手引書、マナーブックのようなものです。
正式には「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」といいます。
人と人との距離や人と犬や猫の距離が近く、人と犬や猫とが共生していくために
種々の配慮が必要となってくる住宅密集地(集合住宅を含む)において、
人と犬や猫が調和した快適な居住環境の維持向上、人と犬や猫が共生できる
町づくりを図るための基本的なルールを示すことを目的として
2010年に環境省が作成しました。

Q.基本指針とガイドラインはどちらが法令の根拠として上位なのですか?

A.ガイドラインは当然、法に基づいた内容ですが、
残念なことにその内容が見直される事はなく、その法的位置付けは極めて曖昧、
とも言えます。
一方、基本指針は動物愛護管理法改正に合わせて改正されることから、
法令の根拠として重要なのは基本指針です。

Q.基本指針の改正の過程について教えてください。

A.基本指針は、動物愛護管理法改正とともに見直され、改正されます。
地域猫活動に関する記述では、2020年の最終改正では、講ずべき施策が、
従来の
『ア 住宅密集地等において地域住民の十分な理解の下に飼い主のいない猫への
不妊去勢の徹底や給餌若しくは排せつ物の管理等を実施する地域猫活動の
在り方に関し検討を加え、適切な情報発信を行うこと。』
に加えて
『イ 生活環境被害の防止や犬又は猫の適正飼養の観点から、所有者等のいない
犬又は猫に対する後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことに
ついての普及啓発の強化や、地域猫活動に対する理解の促進等を通じ、
所有者等のいない子犬及び子猫の発生を防止するための取組を推進すること。』
が新たに付加されました。
元来あったアにも「地域住民の十分な理解の下」と言う文言がありますが、
その後に「地域猫活動のあり方に関し検討を加え」とあります。
しかし、アの文言のみからは、何を何の目的で検討するのか、読み取れません。
それを明確化したのが、素案の改正案のイの文章です。

改正案では
『生活環境被害の防止や犬または猫の適性飼養の観点から、所有者等のいない
子犬子猫の発生を防止するためには、所有者のいない犬または猫に対する
後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことについて
普及啓発を強化すること。』
と「地域猫活動」という文言が無く、餌やりは望ましくないという方向性
ばかりが強調されていました。これでは餌やりは望ましくないと唱えるだけで、
所有者のいない猫発生の根本的な予防策である、不妊手術した猫を地域で見守る
地域猫活動普及の妨げになると強く危機感を頂き、文言の改正を環境省に働きかけ
その結果、文言が下の現行の基本指針のように変わりました。

「生活環境被害の防止や犬または猫の適性飼養の観点から、所有者等のいない
子犬子猫の発生を防止するためには、所有者のいない犬または猫に対する
後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことについて
普及啓発の強化や地域猫活動に対する理解の促進等を通じ所有者等のいない
子犬及び子猫の発生を防止するための取り組みを推進すること

※青字部分が追加された文章です。

この
『地域猫活動に対する理解の促進等を通じ所有者のいない子犬及び子猫の発生を
予防するため取り組みを推進すること』
の文言がなければ、無責任な餌やりは望ましくないという猫の問題の解決には
程遠い方策だけが広がるところでした。ですが、さすが環境省は国の機関として
プライドをお持ちでしょうから、文言を追加し変更をしてくださいました。
基本指針の文言である地域猫活動への「理解の促進」を行政は重んじるべきです。


餌やりNGは問題解決を遅らせるだけ。

より詳しく遡って解説すると「ガイドライン」が2010年年に公表された直後から
「合意」という文言は将来に必ず地域猫活動を阻害すると危惧し、国会議員にも
改正を働きかけました。
多くの方々の働きかけもあり、その結果、2013年の「基本指針」、
同じ環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」にはじめて
「地域猫対策」の文言が盛り込まれた際には、「合意」ではなく「十分な理解」と
変わり、現在の「理解の促進」という表現に至ります。

ガイドラインは具体的に、とても細かく書かれたいわゆる手引書ですので、
これを参考にする行政も多くいらっしゃると思います。しかしながら、その後に
発布された二つの告示、法改正に併せ改正される基本指針、こちらをまず
文字通り基本として行政は進めるべきでしょう。

一一ガイドラインの「合意』という文言に危機感を抱いた地域猫活動の先駆者の
長年のロビー活動の末、より法令の根拠として重視すべき基本指針の改廃が
重ねられたことを初めて知りました。
その結果、基本指針の文言も「合意」→「十分な理解」→「理解を促進」と
変化しています。ガイドラインを受けて策定された大阪市の街ねこ制度は、
その後改正を重ねた基本指針を全く無視しているという謗りは免れません。

Q.環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」とは何ですか?

A.動物愛護管理法に基づく国民向けの基準です。
「飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の
住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う
地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施
するよう努めること。」と述べられており、ここからは「不妊去勢手術を施して、
周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等
を行う地域猫対策」という地域猫活動の定義
が導き出されます。

Q.なぜ大阪市は基本指針等の告示ではなく、手引書に過ぎない
ガイドラインを根拠として「理解」ではなく「合意」に
こだわっているのですか?

A.理解できません。
ガイドラインを信頼し、それに従うのであれば、先の文章に書きました
「地域住民の理解の促進」「飼い猫を捨てることは犯罪になることを周知し、
捨て猫の防止を徹底していく必要がある」という部分も採用すべきでしょう。
大阪市のような大都市が旧態依然とした「合意」、自治会長の「合意書」という
制度を採用していることに少々驚きました。

現状に即した、自治単位としての自治会の枠を超え、ガイドラインでなく
基本指針にのっとり、形式的書面の「合意書」はおろか、「合意」ではなく
「理解と協力」「広報」という要件で、地域猫活動を推進していくことが
住民の理解に資することになるのは明らか
です。

一一大阪市の街ねこ制度がガイドラインをうけて策定されていることの法令の
根拠が乏しく、不当であることがより浮き彫りになりました。

地域猫活動を語り、活動する方々のうち、一体どれだけの人がガイドラインや
法令の根拠である環境省告示の基本指針を熟読し、理解しているでしょうか?
地域猫活動草創期から現在に至るまでの先駆者の皆様方のロビー活動、
政策提言の歴史を知り、このバトンを受け継ぐ私達が先ずは知り、深く学び、
伝え、一人ひとりが声をあげていくことの大切さを再認識しました。

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いかがでしたでしょうか。

TNR活動や地域猫活動を行ううえで、法的根拠を理解していることは重要です。
活動に賛成する人・反対する人、行政等の利害関係者と相対する時、
論理的に説明できなければ理解を得ることはできません。

今回の要望内容や団体協議の内容はもちろん、第三弾までお届けした
『今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?』シリーズは、
全国の他の行政へのロビー活動にも応用可能なものではないでしょうか。

同じ問題を抱えるボランティアの方は多いはず。
まずは大阪から、日本の動物愛護行政を変えていきましょう!

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住民全体の利益に資する環境改善活動である「地域猫活動」を拡充するために、
広く全国の皆様からの署名をお願い申し上げます。

1つ1つの声は小さくとも、たくさん集まれば大きな声になります。
ぜひとも、全国の皆様のお力をお貸しください。

署名活動サイトはこちら
https://www.change.org/osakasakuraneko