【さくらねこ便り】今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?②

こんにちは、どうぶつ基金事務局です。
すでにご存じの方もおられると思いますが、残念なご報告です。

去年2月、呉市の山の中で野良猫をバールのようなもので殴り、
刃物で刺すなどして殺したとして逮捕・送検された男性が
「送致するに足りる十分な証拠がない」として
先月27日付で不起訴処分となりました。

「猫を殺したことに間違いないが、愛護動物にあたらない
野猫(ノネコ)だから罪にならないと思っていた」

猫を狩猟鳥獣に指定した環境省ですら、
飼い猫、野良猫、地域猫、ノネコを明確に分類できていない状況で
「省令」が都合よく解釈され、動物愛護法がないがしろにされる…。
法令が動物虐待の免罪符のように使われてしまった悪しき前例です。

今後、同様の事件が起きないよう、そしてこのおかしな状況を是正するため、
鳥獣保護管理法の狩猟鳥獣からノイヌ、ノネコを削除するよう要請を続けます。

もうすぐ賛同者が50,000人に達します!
どうかこの署名活動を広くシェアしてください!

猫や犬の殺害犯罪をなくすためノネコ、ノイヌを狩猟鳥獣から削除してください。
https://www.change.org/SaveNoneko

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さて、どうぶつ基金が連名しているオンライン署名、
「大阪市の街ねこ事業(地域猫活動)の条件である自治会長の
 「合意書への署名」というハードルをなくしてください」
は多くの皆様にご指示をいただき、署名数15,000筆も目前となりました。

このオンライン署名にはさまざまな方が賛同されていますが、
特定非営利活動法人ねこだすけ」の理事長、工藤久美子さんもそのお一人です。


「特定非営利活動法人ねこだすけ」工藤久美子理事長

地域猫セミナーの講師として、全国の「地域猫活動」の普及啓発に尽力されている
工藤さんに「地域猫活動」がどういうものかをお伺いする
『今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?』シリーズ。
第二弾となる今回も「地域猫の現状」についてお聞きしています。
ぜひご一読ください!
(本記事は、上記署名サイトに寄稿されたものを許可を得て転載しています)

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現在の地域猫活動の形態

『現在の地域猫活動は、およそ3つに形態に分類されます。

 1. 行政による登録ボランティア制度、登録団体制
 2. 既存の不妊手術助成金申請制
 3. 登録制度、IDなど何も設定しない緩やかな活動支援制

以下、それぞれの形態の概略です。

 1. [登録制]
予め行政講習会を受講し、行政に登録した個人や団体が行政と協働し活動する形態。
人口が多く予算や人員が不足している地方自治体で、限られたリソースで
きめ細やかな市民サービスを展開できる効果が期待できます。

<具体例>
 ・練馬区「登録ボランティアグループ制度」
登録希望者は2名以上で、区の方針などの説明を受け、自治会長、班長に
説明に行く。職員も同行し、長の理解が得られたら登録の申請が可能となる。

  ・板橋区「猫の登録ボランティア制度」
個人、団体いずれも申請可能。区の講習会受講、区の方針に賛同、協力できる
こと。自治会長の関与は不要。

  ・中野区「地域猫共生推進員制度」
中野区民である個人対象。区の講習会受講、区の方針に賛同、協力できること。
板橋区と同様、要件は講習会受講のみで自治会長の関与も不要。

 2. [助成金申請制]
住民誰もが既存の不妊手術費用助成金を利用し、活動が可能です。
意欲的な自治会が主体となり活動することもあります。個人向けの助成金制度とは
別に、対象を自治会に特化した助成金制度を別個に創設する行政も出てきています。
そこでは不妊費用の助成のみならず、広報などの支援も行政が担います。
自治会が助成金制度を利用し活動主体となることの最大の利点は、
自治会主導の活動であることから、自ずと地域住民に広報されるという点です。

 3. [緩やかな活動支援制]
東京都で言えば世田谷区、港区がこれにあたります。
ID、腕章、講習会、自治会長の同意などの要件が何もありません。
例えば、港区の「地域地域猫活動協力者」、世田谷区の「動物連絡員」は
区民どなたでも気軽に参加できるシステムです。』

一一ひと口に「地域猫活動」と言っても、1.登録制、2.助成金申請制、
3.緩やかな活動支援制 と様々な形態があることが分かりました。

1.の登録制では申請の要件として行政講習会の受講のみの所と、それに加え、
自治会長の了承を課している例もあります。自治会長の了承を課す場合は
自治会長の意向次第で活動始動が阻まれる場合があります。

2.の助成金申請制は、意欲のある住民がいれば、自治会長の個人的意見に
左右されず自由度と柔軟性の高い活動が展開できます。さらに、もし自治会が
主体となると活動が広がり、町の環境は大きく変わります。

3.の緩やかな活動支援制は活動に参加する方に行政講習会の受講すら課さず、
より多くの住民が活動に参加できます。

11月大阪獣医.jpg
大阪での一斉TNRの様子。一代限りとなった命を地域で見守る、それが地域の環境改善につながります。

今回問題になっている大阪市の街ねこ事業は、地区指定の申請の際、
自治会長の合意書を添付して、活動する組織代表の氏名・住所・電話番号、
組織構成員の氏名・住所を申告する必要があり、1.登録制の中で自治会長の
承諾を要する態様に近いと思います。

それぞれの形態について、より詳しく解説していただきます。

【登録制】
 上に述べたように、限られた予算・人員できめ細かい市民サービスが展開できる
ことから、全国で登録ボランティア制度、団体制度を採用している行政は徐々に
増えてきております。また、問題となっている「自治会長の了承、地域の合意」、
これは少なからず自治会長の個人的意見に左右されます。
さらに、加入率の低下している自治会未入会の住民の意見は反映されません。
それを避ける為にも「行政と協働している登録ボランティア」をまず認定して、
その後、必要に応じて自治会長あるいは住民へ広報を行う。
すでに行政と協働しているボランティアであれば、自治会としても苦情は
出にくいでしょう。 何らかの登録制度を検討中の地方自治体は、今後はこの方法、
つまり「自治会長の了承や合意」などを要件としない登録制が一番お勧めです。

一一地域猫活動先進地である東京でも、活動の展開を阻害しかねない
「自治会長問題」があることが明らかになりました。

【助成金申請制】
 誰もが活動主体となれる助成金申請制ですが、自治会が活動主体となるメリットは
やはり大きいです。

 大田区は対象を自治会に特化した助成金制度を創設しています。

 地域猫活動にご理解頂けない自治会長は、東京ではほぼ聞いておりませんが、
どこにでも一定数はいらっしゃると思います。地方からのご相談が多いのですが、
現在受けている広島県の方、関西のURの方からはかなり強硬な反対があり、
難儀していらっしゃいます。このような事態は、まず活動支援として行政が
活動の説明、説得に動くべきでしょう。その際、自治会への特別助成金制度が
あれば大きな説得材料となります。

一一全てを民間の善意に任せるのではなく、地域猫制度の拡充のために反対する
住民に対して、住民全体の利益になる公共性、公益性ともに高い環境改善活動
であることの説明等、行政のサポートが1番必要とされる場面です。

東京都新宿区のある自治会での大きな成功例があります。
自治会長自ら捕獲、搬送。また自治会説明会、捕獲講習会も開催されました。
そして住民の方々の参加でおよそ120匹以上の猫の捕獲手術を行いました。
この町は東京都のモデル地区ともなり、助成金で不足した費用は自治会費と
ご寄付で賄い、
現在も住民ボランティア様が「猫たより」の制作・配布を
続けています。しかしながら、隣町からの猫の流入が絶えず、それを解決すべく
自治会長が隣町の自治会長に2年超しに何度も掛け合いまして、
ようやく隣町も活動を開始しました。

一一新宿区の自治会、素晴らしいですね。
自分達の町の問題を誰かに丸投げするのではなく、自治会長を中心に住民自ら
主体的に資金調達までして活動を継続。そのうえ、別の自治会長の啓発までして
活動を広げています。理想的な活動ですがスムーズに始まったのでしょうか?

 住民からの意見や要望があれば、必ず自治会役員会会議・総会にかけ、議論し
決をとります。もし、一連の意思決定のプロセスも定められておらず、
話し合いと決をとるプロセスすら経ずに自治会長単独の反対意見が通るとしたら
非常に不公正です。公共制の高い制度の実施の諾否を決めるまでの権限は、
任意団体の代表にすぎない自治会長にはありません。住民からの要望があれば、
ボランティアが自治会役員会や総会で活動の主旨を説明する機会を設ける。
あるいは、行政職員に説明に来てもらうなどのプロセスや手順が
定められていなくてはなりません。

 地域猫活動に限らず、どのような物事や制度に対してでも、自治会長の理解度や
熱心さは異なって当然です。だからこそ、合意という文言にとらわれない、
理解と協力・広報という緩やかな要件が求められます。住民全体の利害に関わる
地域問題解決活動、環境改善活動であるのに、自治会長単独の判断で決める事、
これがそもそも間違っています。自治会長に過大な権限と責任が偏在しないよう
敢えて型にはまり過ぎた制度の枠組を持たない地域猫活動が、次に説明する
緩やかな活動支援制です。

一一大阪市でも、市職員が活動の主旨の説明をしに自治会長のお宅や自治会会議
などに出張して下さいますが、あくまでも中立の立場で、積極的に活動を
推奨する説得などはしないとの回答を得ています。
住民の要望が出てからの自治会内での話合いのプロセス・手順も特に
定められておらず、それぞれの自治会にお任せしてある、とのことです。
把握をする術はありませんが、会議にかけられることなく黙殺され、
潜在化している住民の声も多いかも知れません。

動物愛護とTNRー3.jpg

【緩やかな活動支援制】

 東京都港区の例が挙げられます。
港区の基本的な考え方は、広く人材を求めること。一部の猫好きやボランティア
だけではなく不特定多数の方が「地域猫活動協力者」として参画を促進すること
を志向しています。

 保健所、支所に手術助成金の申請に来た方にまず活動のご案内をし、
地域猫活動者としてリスト化します。地域猫活動協力者を通して、餌やりさんや
猫の個体識別・地域の状況あるいは区役所への苦情、相談などの把握が可能となります。

 職員も機動力が高く何か問題が起これば、協力者に連絡し、情報共有、一緒に
現場リサーチに参ります。区民全体に同じサポートを支援する主旨で、
地域猫活動協力者には、ご希望に応じて地域猫バッグ、地域猫餌皿を配布しています。
このバッグにも餌皿にも「港区は地域猫活動を支援しています」と言う文言が
入っております。この発信ツールにより、地域の方々に活動広報が可能となり、
港区が活動支援していることも明確に伝わります。

 港区がなぜ、このような緩やかな方法を取っているのか?

 考えられる理由としては、今回の署名に繋がる
「住民の合意」「自治会長の了承文書」が必要となれば、それはまさに一部の住民、
自治会長の判断で地域猫活動が進められなくなる危険性があるから。自治会長の
独断で活動開始、あるいは拒否が可能となることは誠に理不尽だからです。

 国、都道府県、市町、都内23区が推進している活動を、その様な方法で開始か
否か決める事は他の多くの市民の意見を黙殺することにも繋がり、加えて
その決定により町内住民間に亀裂を生みかねません。

 活動に賛成な方とそうでない方、その方達の間に感情的対立を生む可能性、
それを避けるためにも活動のご説明、そこからご理解を頂き、そしてご協力へと
進んで行く。区民誰でも始められるように、何の制度も制限も持たず、
登録もIDも発行せず、広報や苦情対応など必要な支援を十分に行う方法を
取っていると思います。

一一何度も同じことを繰り返していますが、公共性の高い事業の実施の諾否を、
選挙で選ばれた訳でもない任意団体の代表である自治会長の一存に委ね、
必要とする市民サービスが受けられない住民の不利益がかえりみられないのは
道理に反しています。

・支援の方法も区職員と動物愛護推進員のボランティアが相談し合い、知恵を
絞って随時柔軟に改良を重ねています。改良の例として助成金の増額。
港区は助成金は、設立当初から区外問わずどこの病院でも使用可能でした。
助成額は雄5,000円、雌8,000円→雄17,000円、雌25,000円に増額して
もらいました。

・苦情対応についても「区としてマナーを守った餌やりは禁止してませんので、
場所を変えるよう相談してみます。」とあくまでも中立の立場をとり、
餌やり禁止看板を掲示したりはしません。苦情者の意見を尊重しながら、
餌やりさんに対しては餌やりの時間、場所、方法の変更を相談し、必要に応じて
啓発に努めます。公園についても同様です。公園での活動の決まりごとも、
餌をあげたらとにかく片付ける、これのみです。
片付けてさえいれば、まず問題となりません。
これは港区の区としての方針だと感じております。

・港区の特に優れた点は、飼い猫、犬は保健所が担当。飼い主のいない猫、地域猫
については区内5つの支所の協働推進課が担当となっております。この協働推進課は
自治会担当でもある為、自治会長へのご説明、自治会会議でのご説明、これも
推進課がアレンジしてくれます。このシステムに変わって自治会へのご説明が
実に容易になり、強く推奨したい運用形態です。以上の例からも、地域猫活動開始の
決定を、自治会長や一部の住民の判断に任せる、この方法は何よりも市民への
公平性に欠け、活動の広がりを阻害するものと思わざるを得ません。

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一一どんなに素晴らしい制度でも定期的に見直しが必要です。港区では区職員と
ボランティアが随時相談しながら運用形態を柔軟に見直し、最適化していく。
地域猫と自治会を区の同じ部署が担当していくことの利点など、非常に風通しの
良い制度運用を採用していることが分かりました。

東京都の特別区である23区内の事例と 政令指定都市である大阪市の制度を全く
同列に語ることは難しいですが、地域猫活動始動の際の自治会長への権限と
責任の偏在を避けるため、住民の要望が出た後の話合いや意思決定の手順確立の
必要性などの具体的な課題も見えてきました。

ただ、特別区と政令指定都市の相違はあれど、東京都港区の人口は約25万人。
270万人の政令指定都市である大阪市にも適用可能な利点は多々あるように
思えます。

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いかがでしたでしょうか。

地域猫活動は地域の環境改善活動でもあり、上記にもあるように、国や都道府県も
推進している活動です。その活動が、一部の住民やたった一人の自治会長の判断で
「開始」か「拒否」が決定されてしまうことの理不尽さ。

「町会長の署名した合意書」とは、一人の人間に根拠なき多大な権限を与え、
また抱えきれないほどの大きな責任を押し付けるものです。

従来お伝えしているように、飼い主のいない猫の問題は行政が主体的に解決すべき
問題です。その責任を果たすべく、大阪市には英断を求めたいと思います。

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住民全体の利益に資する環境改善活動である「地域猫活動」を拡充するために、
広く全国の皆様からの署名をお願い申し上げます。


1つ1つの声は小さくとも、たくさん集まれば大きな声になります。
ぜひとも、全国の皆様のお力をお貸しください。
署名活動サイトはこちら
https://www.change.org/osakasakuraneko
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