11_長野県木祖村多頭飼育救済レポート(行政枠) 

申請No.11
申請日:2025年6月2日
申請/実施責任者:木祖村 住民福祉課
場所:長野県木曽郡木祖村
居住者:当事者(70歳、女、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給なし
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):46頭(0頭)(当初約40頭で申請していたが、46頭いたことが判明)
手術日:7月4日、8月9日
協力病院:しんけん動物病院
チケット発行数:18枚(手術済み22頭を除く18頭分を申請)
手術頭数:18頭
協働ボランティア:木曽ネコ会 

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. かなり前に知人から猫をもらって飼育を始めたが、その時期は不明とのこと。当事者および家族への聞き取りによると、2019年頃から多頭飼い状態となっている。
  2. 当事者には精神疾患があり、猫にのみ心を開いていると思われる。近所や親戚との付き合いは高齢の当事者の母が行っていた。
  3. 現場の猫が未手術で室内外を自由に行き来していることにくわえて、当事者が外で猫の餌を撒いているため野良猫も集まっている。いずれも不妊手術をしていなかったことから爆発的に猫の頭数が増えた。
  4. 2023年、近所から糞尿被害を受けていると相談があったことから現地確認を行い発覚。
  5. 餌のやり方、室内飼育、不妊手術について、保健所および村担当者に何度か指導するも全く聞き入れてもらえず。この時点ですでに共食いが発生する悲惨な状況であったが、当事者は「猫を不妊手術をすると自分も猫も不幸になる」と考えており、生まれた子猫がすぐに死んでしまうことについても「生まれ変わる」として特別な感情は持っていないようであった。
  6. しかし、生活費の全額を負担していた当事者の母が当事者の妹宅へ転居したことで状況が一変する。母の転居後、当事者の年金だけでは生活費と飼育費用の全額を賄うことができず生活が困窮。これまで否定的であった不妊手術について村やボランティア団体に相談があり、当事者の経済状況から申請を決定した。
  7. 現場には40頭ほどの猫がいるとみられ、手術済み22頭分を除く18頭分を申請するも実際は46頭であった。チケットはすべて使用され、18頭が新たに手術済みとなった。46頭の内訳は、不妊手術済41頭(チケットによる手術18頭、村補助金による手術23頭)、手術前に譲渡された子猫2頭、手術前にボランティアが保護した猫2頭、捕獲できず未手術となった猫1頭、である。
  8. 譲渡された2頭については里親が、ボランティアが保護した2頭についてはボランティアが費用を負担し、しかるべき時期に不妊手術を実施予定である。未手術の1頭については捕獲でき次第、ボランティアの費用負担(一部は村の補助金から補填)で手術を行う。
  9. 支援前は当事者の生活が困窮して餌が購入できず、猫は痩せて健康状態も悪かったが、ボランティアのサポートにより改善した。衛生環境や飼育環境についても、ボランティアの助言によって同様に改善している。
  10. 当事者と猫はこのまま同じ場所に住み続ける。健康状態の悪い猫は一時的にボランティアが保護しているが、回復したら当事者に戻す予定である。

手術日オスメス耳カットのみ
7月4日78015
8月9日2103
99018

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
課題となっていた多頭飼育崩壊問題解決に向け、前進することができた。
ただし、当事者がボランティアや行政に頼りきりで、自身の行動から現状を招いたことについて理解している様子がみられない。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者の不妊手術に対する考え方、そして自分が飼育している猫の生死の受け止め方などをみていると、説得するのは難しい状況だったのではないでしょうか。申請に至るまでの行政とボランティアの苦労は大変なものだったと想像します。
共食いという悲惨な状況に陥っているにも関わらず、救済と改善を拒んでいた当事者が不妊手術を受け入れた理由は、「猫のため」ではなく自身の経済的な困窮でした。怒りを通り越して悲しくなりますが、理由はどうあれ、共食いが起こる地獄のような場所で暮らしていた猫たちの環境を変える大きな一歩になったと思います。支援後も42頭の猫が当事者のもとに残りますが、猫の健康状態や飼養環境はボランティアのサポートによって改善が進んでいるとのこと。本件当事者には継続した指導とサポートが必要であり、今回の支援を無駄にしないためにも行政やボランティアの皆様には今後も関わり続けていただくことを願います。
過去の事例から、多頭飼育崩壊と人間の福祉の問題は密接に関係していると考えています。「飼い主の責任」という一言で片づけられない地域の問題でもあり、ガイドラインからさらに一歩進んだ対応を考える時期にきているのではないでしょうか。


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