51_山形県山形市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.51
申請日:2025年11月28日
申請/実施責任者:山形市 山形市動物愛護センター  
場所:山形県山形市
居住者:当事者本人(72歳、女、パート)、長男(37歳、男、パート)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):20頭(3頭)(25頭で申請するも実際は20頭だった)
手術日:12月19日、1月16日、30日、2月13日
協力病院:スペイクリニック山形
チケット発行数:24枚(当初申請した25頭のうち手術済み1頭を除く24頭分を申請)
手術頭数:19頭(実際の総数20頭のうち1頭は手術済みのため)
協働ボランティア:なし

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 当事者の娘が段ボールに入っていた捨てられていた猫1頭を保護、2009年9月頃から飼育を始める。当時は経済的にも多少余裕があり、不妊手術を行って室内で飼育していた。
  2. 2015年4月、義父が家の周りにいた野良猫5頭を可哀想に思い室内に入れた。そのうち2頭は不妊手術をしたうえで室内で飼育し、残りの3頭については知り合いを通じて譲渡した。
  3. 2021年5月にも当事者が家の周りにいた野良猫を保護したが、同時期に義父と夫を亡くして収入源を失った。さらに、当事者の闘病によって医療費の支払いが増えたことから生活が困窮。手術費用が捻出できなかったことから繁殖を繰り返し、2025年7月には25頭にまで増加した。
  4. 2025年7月15日、当事者宅周辺の住民から山形市動物愛護センターへ、当事者宅に複数の猫がおり、その猫による糞尿被害や花壇が荒らされるなどして困っているとの相談があり発覚。
  5. 室内飼育を徹底すること、市の不妊・去勢手術費用の補助金制度を活用するなどして不妊手術を行うこと、市の掲示板を利用するなどして譲渡を進めて、自分で管理できる頭数まで減らすことなどを指導した。
  6. しかし、当事者の生活が困窮していることから補助金制度の活用は断念。また、飼育頭数を減らすために譲渡についてアドバイスを行うも、頭数が増えて1頭ごとに細やかな管理ができていないことから、現場の猫の多くが当事者ですら触れない状況であるため譲渡も難しい。
  7. これらのことから既存の行政支援の範囲では解決できないと判断。センターの行政獣医師による緊急的な不妊手術の実施も視野に入れて検討していた矢先に、同様の多頭数飼育崩壊事案が複数件発生し、より深刻な事案を優先したことで本件の対応が遅れていた。この遅れがさらなる被害拡大に繋がることを懸念し、多頭飼育救済制度への申請を決定。
  8. 当初25頭と申請していたが、実際は20頭(うち子猫3頭)であった。そのうち1頭は手術済みとのことであったため19頭が手術対象となった。この19頭すべてにチケットを使用し、18頭(オス7頭、メス11頭)に不妊手術を、手術済みであった1頭に耳カットを実施した。
  9. 堆積した糞や長年放置されていた粗大ゴミ等については、センター職員の協力のもとすべて廃棄。定期的な清掃が習慣となったものの、畳や襖に染み付いた悪臭は除去できていない。現在、各部屋にトイレを設置できるよう数を増やしているところである。
  10. 多頭飼育のためすべての猫を管理しきれておらず、爪が伸びている猫も散見されている。
  11. 支援後に子猫1頭が譲渡され、現場の猫の総数は19頭となっている。将来的には引っ越しを希望しているが資金の目途が立っておらず、当面の間、今の場所で当事者が飼養を継続する。
手術日オスメス耳カットのみ
12月19日2204
1月16日2316
1月30日1304
2月13日2305
711119

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当市の支援メニューだけでは解決の糸口も見出せなかったが、民間の力を借りることで生活困窮者への対応の幅を広げていくことができた点については、100点を付けたいところではあるが、長年染み付いた悪臭の除去という課題が残っている。
また、多頭のため当事者がすべての猫を管理しきれていない状況が今もなお続いており、大多数の猫が人馴れしていないなかで、今後どうやって譲渡を進めていくのかという難関もまだ残っている。
しかしながら、本事案については、どうぶつ基金の協力を得たことで飛躍的に対策が進み、全頭不妊手術が完了したことでようやくスタートラインに立てたものと認識している。


どうぶつ基金スタッフコメント
家族が健在であった頃は、捨て猫を保護しても不妊手術や譲渡ができていたようです。優しさからスタートした捨て猫や野良猫の保護は、当事者の経済的困窮とともに多頭飼育崩壊という最悪の結果に至りました。どこかで立ち止まることはできなかったのか、相談できる人や場所はなかったのかと残念でなりません。
行政の報告にもありますが、今回の支援によって全頭手術済みとなったことで、解決に向けて大きく動き出しました。飼養環境の改善や適正飼養については道半ば、また、人馴れの問題で譲渡先探しも難航が予想されるなど、今後もさまざまな課題があります。しかし、当事者は自身の責任において、その課題を一つ一つクリアしていかなければなりません。行政には、引き続きその過程を見守り、適切なサポートを継続していただくことを求めます。


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