19_東京都昭島市多頭飼育救済レポート(行政枠)
申請No.19
申請日:2025年7月24日
申請/実施責任者:昭島市 環境課
場所:東京都昭島市
居住者:当事者(54歳、男、無職)、配偶者(39歳、パート)、長女(19歳 フリーター)、次女(17歳 学生)、三女(16歳 学生)、長男(14歳 学生)、次男(13歳 学生)、三男(12歳 学生)
居住環境:貸家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給中
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):30頭(0頭)
手術日:8月25日、8月28日、8月29日
協力病院:おおにし動物病院
チケット発行数:30枚
手術頭数:30頭
協働ボランティア:昭島地域の猫の会
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 20年ほど前、3頭の捨て猫を保護した。
- 多頭飼育状態に陥るまでの期間は不明。拾った3頭はオス1頭とメス2頭だったが、子猫だったこともあり不妊手術をせずに飼育していたところ、どんどん増えてしまった。
- 以前から生活福祉課の担当者が当事者へ猫の頭数を減らすよう指導しており、譲渡によって頭数が減ったこともあるが、不妊手術をしていないため元通りになってしまう。
- 2024年、生活福祉課の担当者や学校関係者が訪問。その後、学校関係者から環境課に相談が寄せられたことにより発覚。猫の頭数は不明だが、経済的に不妊手術を自力で行うことが困難であることや、生活環境に影響が出ているとの情報が寄せられた。
- 当事者の家庭事情により先延ばしになっていたが、2025年7月に環境課が当事者宅を訪問。不妊手術とあわせて飼育環境や衛生環境の改善が必要であることを把握した。
- しかし、当事者は生活保護を受給しており、自力で不妊手術を行うことは困難である。飼養環境にも悪臭等の問題が発生していること、また、8月に転居を予定していることから早急な介入が必要と判断し申請に至る。
- チケットを使用して全30頭の手術が完了した。1頭は開腹後に手術済みであることが判明し耳カットのみを行ったが、飼い主は身に覚えがないとのことで詳細は不明である。
- 猫は人懐こく、極端に痩せていたり毛並みが悪いなど明らかに健康状態の悪い猫はいないと思われたが、高齢のオス2頭については、手術時に栄養失調がみられるとのことで点滴が行われた。
- 支援終了時点において、部屋の清掃状況や臭いについてはあまり改善が見られなかった。トイレが増設され、糞尿がたまっていた台所奥のトイレも綺麗になったが、まだ清掃が行き届いていないトイレも見られた。
- 猫は引き続き当事者が飼養することになっており、30頭の猫は当事者宅に戻された。しかし、家庭の事情等により転居の予定が8月→9月に延期となったほか、住宅事情から転居先へ猫を連れていくことができなくなったとしてボランティア団体に相談があり、団体主催で譲渡会を開催することになった。
- 譲渡会には当事者も参加したが、新たな飼い主への受け渡し等は団体が行うため、猫は一旦、ボランティア団体のシェルターに移動。その後、25頭が譲渡され(ボランティア団体経由:16頭、当事者が直接譲渡:9頭)、譲渡先が見つからなかった5頭もボランティア団体が保護した。※その後、12月26日時点で5頭のうち4頭が譲渡され、譲渡先が見つからない猫は1頭のみとなった。
| 手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 8月25日 | 6 | 4 | 0 | 10 |
| 8月28日 | 10 | 0 | 0 | 10 |
| 8月29日 | 3 | 6 | 1 | 10 |
| 計 | 19 | 10 | 1 | 30 |
【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
2024年の時点では10数頭と聞いていたが、支援時には30頭にまで増えていた。早期介入が重要であることは重々承知しているが、支援では当事者の同意と協力のもと、居住空間や私生活に踏み込まなくてはならず、非常に難しさを感じた。当事者の転居が契機となったが、2024年中に手術ができていたらという思いがある。
また、当市では前例がなく手探りでの対応となったが、病院やボランティア団体の協力によって、チケットが交付された後は速やかに手術を行うことができた。完全室内飼いで人懐こい猫だったこともあり、運搬などは特にトラブルなくスムーズに行うことができた。
当事者が転居先へ猫を連れていくことができなくなり、譲渡先探しに苦慮したが、ボランティア団体が緊急譲渡会を開催してくれたほか、平行して当事者自身も譲渡先を探し、25頭を譲渡することができた。残った5頭についてはボランティア団体が保護したが、その後、12月26日時点で4頭が譲渡され、飼い主の見つからない猫は1頭のみとなった。
どうぶつ基金スタッフコメント
本件は、生活福祉課が長らく関わっていたほか、発覚したきっかけは学校関係者からの相談でした。多頭飼育崩壊の家庭に子供がいる場合、悪臭などを理由としていじめが起こることもあり、より慎重な対応が求められます。今回はボランティア団体のご尽力もあり、30頭中29頭に譲渡先が見つかるという最良の結果になりました。12月末時点で1頭の譲渡先が見つかっていませんが、ボランティア団体に保護されており、適切な飼養環境で里親を待つことができています(どうぶつ基金では、ボランティア団体が保護する場合、その飼養環境を行政を通して確認しています)。
当事者家族は30頭の猫を手放して転居し、新しい生活を始めました。自分たちが招いた結果と手放した30頭の猫のことを生涯考え続けていただきたいと思います。
「全頭不妊手術」以外に多頭飼育崩壊を解決する手段はありません。いくら譲渡を繰り返して一時的に頭数が減っても、蛇口が閉まらない限り解決することはないと本件が示しています。全国の自治体で、多頭飼育崩壊の早期発見・早期対応に向けた体制づくりが必要ではないでしょうか。



