長崎県長崎市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑫

申請No.12
申請日2019年10月4日
申請/実施責任者:長崎市市民健康部動物管理センター
場所:長崎県長崎市
居住者:当事者本人(54歳、男、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護受給の有無:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:27頭
手術日: 10月14日、11月17日
協力病院:ありあけペットクリニック
チケット発行数:19枚
手術頭数:18頭(使用するはずの猫が手術前に譲渡された為)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 同居していた母が寂しくならないよう当事者が数年前に野良猫を保護して猫1頭を飼い始めた。
    2. 猫を放し飼いにし猫が自由に家屋内外を出入できる居住環境であったため、猫が徐々に増え今年2月に母親が死亡後4月時点では12頭だったが、6月以降複数の成猫から子猫が生まれ今年7月になり27頭になった。
    3. 当事者は弟と二人世帯。定期就労ができておらず、世帯収入は同居する弟の障害年金と就労収入のみとなっており、滞納解消および家計改善支援で平成28年から長崎市社会福祉協議会内の長崎市生活支援相談センター(長崎市委託:生活困窮者自立支援事業)が関わっていた。
    4. 当該相談センターへ当事者から「地区の民生委員から猫のふん尿などの問題から猫の数を減らすよう言われている、猫が増えて困っている」と猫の多頭飼育の問題について相談があった。
    5. 相談を受けた当該相談センターが長崎市内の動物ボランティアに相談し、協力を得ることができるようになり、長崎市動物管理センターへの相談に至った。
    6. 長崎市生活支援相談センター及びボランティアが当事者への支援を行う前までは、猫が家屋の内外を自由に行き来しており、家屋内はごみが散乱し、猫のふん尿による悪臭等により衛生状態が悪い状況だった。
    7. 長崎市生活支援相談センターとボランティアの協力により家屋内を片付け、現在は家屋内の1室をフェンスで2つに分け、オスとメスを分けて飼育している。
    8. 当事者はボランティアを主体とする家屋内の片づけ及び猫の不妊手術のための動物病院への搬送等の支援を受けて、家屋内の清掃等に努めるようになるとともに、猫の適正飼養への理解を示し完全室内飼いで飼育するようになった。
    9. しかしながら、当事者は定期就労が出来ていない状況であり、当該世帯の収入は少なく猫の飼育に必要な費用について、ボランティアが支援している状況である。
    10. 長崎市生活支援相談センターによる家計改善支援等を継続して行う必要があるとともに、ボランティアの協力による猫の里親探し、当事者に対する就労支援等の他の支援方法も検討する必要がある。
    11. なお、今後とも適宜、長崎市生活支援センター、ボランティア及び長崎市動物管理センターとの連携、協働による適正飼養の指導等を行う必要性がある。
    12. 不妊手術の前に譲渡された猫2頭(ボランティアを介し譲渡された猫1頭、長崎市動物管理センター主催の譲渡会に当事者及びボランティアが参加し譲渡された猫1頭)
    13. どうぶつ基金の多頭飼育救済支援で不妊手術を行った猫18頭及び、別途ボランティアの支援で手術をした猫7頭は全頭当事者宅にて完全室内飼育。現在、当事者宅で飼育中の猫25頭
    14. 現在、当事者宅で飼育中の猫25頭
手術日 オス メス 耳カットのみ
10月14日 6 2 0 8
11月17日 4 6 0 10
10 8 0 18

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
・長崎市生活支援相談センター、ボランティア及び長崎市動物管理センターの協働によりどうぶつ基金の多頭飼育救済支援の猫の不妊手術を実施することができた。
・今回の件は、当事者に対する福祉的な支援として長崎市生活支援相談センターがボランティアや行政といった社会資源を活用して、当事者への支援を行ったことまた、ボランティアの熱心な支援が得られ、当事者が長崎市生活支援相談センター、ボランティア及び行政への信頼感を強めて行き、猫の不妊手術等の適正飼養、衛生状態の改善へとつながった。
・当事者宅の猫の飼育状況は、一室をオスとメス用に区切って完全室内飼いとされているが、当事者世帯の状況から、今後とも長崎市生活支援相談センター、ボランティア及び長崎市動物管理センターとの連携の下での継続的な支援が必要な状況にある。
・支援が成功した大きな要因は、優良な市民ボランティアの存在があり、ボランティア(市民)、長崎市生活支援相談センター(福祉)、及び長崎市動物管理センター(行政)の三者の連携、協働が可能となり、どうぶつ基金の支援が得られたことにあると評価しています。
・反省点といたしましては、当初どうぶつ基金の事務局から出張手術のご提案を頂いておりましたが、日程調整等が難航し断念せざるを得ず、大変ご迷惑をお掛け致しました。また、どうぶつ基金事務局の皆様には事務的な手続きに関しまして、ご教示、ご助言を頂き大変ありがとうございました。
・どうぶつ基金の事務局の皆様の心のこもったご支援、ご丁寧な対応に心から感謝いたします。


どうぶつ基金スタッフコメント
行政、ボランティア、どうぶつ基金の協働が大変うまくいきました。特に行政の皆様のあきらめない姿勢には感銘しました。引き続き当事者と猫の支援をよろしくお願いいたします。

 


現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計
沖縄県国頭郡 7 14 0 0 21
宮城県宮城郡 13 24 0 0 37
群馬県太田市 52 15 0 0 67
沖縄県沖縄市 7 1 0 0 8
群馬県富岡市 11 12 0 0 23
神奈川県小田原市 8 5 0 0 13
埼玉県川越市 30 23 0 0 53
兵庫県川西市 10 16 0 2 28
東京都中央区 2 11 0 0 13
茨城県かすみがうら市 54 45 0 0 99
大阪府松原市 3 3 0 0 6

 

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