北海道苫前町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑳

申請No.20
申請日:2020年9月18日
申請/実施責任者:苫前町 住民生活課
場所:北海道苫前郡苫前町
居住者: 当事者(60歳、女)、世帯主(59歳、男)、父(84歳)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:約100頭
手術日:10月13日、14日
協力病院:Mobile VET Office
チケット発行数:100枚
手術頭数:56頭(現地の降雪状況を考慮して予定頭数の約半数で終了となった)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 10年前に近所の猫が子猫を産み、エサをあげたのがきっかけで子猫2頭を家にいれ保護した。
    2. それ以降、繁殖の繰り返しや猫を捨てていかれるなどして増えていった。
    3. 当事者は餌をやり続けることはできるが、不妊手術をすることはできず、健康管理や衛生面の問題も多い。
    4. 近親相姦で血が濃くなったためか障がいを持つ猫が増えて保護が難しく、金銭的な問題もあって親戚に相談した結果、NPO法人ツキネコ北海道に協力してもらう事になった。
    5. 今回は協力病院が現場から離れていたため、獣医師が現場に赴いての出張手術となった。現場近くの町内集会施設を手術場所とし、初日は屋外の猫を捕獲して手術を行い、2日目は屋内の猫を集中的に行った。
    6. すべての猫の不妊手術を行いたかったが、雪が降ってしまうと猫の捕獲・運搬が困難になってしまうため、約半数の不妊手術で終了した。来年度の雪解け状況を見て残りの不妊手術を行うか協議中である。
    7. 半数は里親へ出すことを検討しており、ボランティア団体と相談中。残りの猫については引き続き当事者が飼育する予定。
    8. 一部外へ出ていた猫についても、手術の後からは室内飼いを徹底している。
    9. 手術後の猫が密集している場所の変化は特にないが、半数近くの猫を不妊手術する事ができたので、経過を観察しながら繁殖が防げているかを確認していく。
手術日 オス メス 耳カットのみ
10月13日 17 14 0 31
10月14日 14 11 0 25
31 25 0 56

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
不妊手術は苫前町では初の事例だったこともあり、場所の確保に苦心し捕獲と運搬に時間を要した。
また、不妊手術の作業規模や1日に行える頭数等が把握できず、日程調整等に時間がかかってしまったことからチケット分の不妊手術を行うことができなかったため、自己評価点は60点とする。
次回からは、猫の頭数や季節、協力団体等を考慮して効率よく実施できるように日程調整や作業を行いたい。


どうぶつ基金スタッフコメント
約100頭の大規模多頭飼育崩壊です。
始まりはたった2頭の子猫。当事者宅に猫を捨てていく人もおり、すべてが当事者の責任とは言えませんが、やはり最初に不妊手術をしていればここまでの数になることはなかったでしょう。
不妊手術をすることに対して「自然の摂理に反する」等の意見もありますが、猫は野生動物ではありません。ましてや野良猫はヒトが作り出したものです。人間社会のなかで生きるしかない彼らを尊重するためにも「殺されるために生まれる命」を増やさないことが重要だと考えます。
残念ながら、この案件では予定頭数の半分しか手術が実施できていません。北海道という場所と季節を考えれば仕方のないことかもしれませんが、早急に残りの猫の手術を実施しなければあっという間に元に戻ってしまいます。56頭に不妊手術を行った実績を無駄にしないためにも、行政に対しては協議ではなく早急な対策を求めます。


現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計
茨城県笠間市 6 3 0 0 9
長崎県大村市 6 6 0 29 41
群馬県富岡市 21 21 0 0 42
北海道根室市 8 6 0 0 14
兵庫県太子町 16 21 0 01 38
沖縄県うるま市 16 21 0 1 38
千葉県白子町 15 10 0 0 25
埼玉県飯能市 15 14 0 0 29
茨城県龍ヶ崎市 3 4 0 0 7
千葉県白子町 4 5 0 0 9
北海道むかわ町 9 11 0 0 20
茨城県かすみがうら市 15 13 0 0 28
青森県三戸町 3 8 0 0 11
北海道江別市 23 12 0 0 35
埼玉県坂戸市 14 9 0 0 26
滋賀県草津市 16 10 0 0 26
北海道千歳市 13 14 0 0 27
鳥取県日南町 13 17 0 0 30
沖縄県うるま市 5 6 0 0 11

 

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